護士は顔を見る
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「結局、お前らは何がしたかったんだ?」
拘束した「蛇」のメンバーに話を聞くことにした。まず素手で組み伏せているのをロープで縛って椅子に座らせ、俺もその正面に座る。相手に視線を合わせるのは、介護の現場でも話すときの基本だ。それ以外の場面でも同じだろう。……いや、どこかの居酒屋では客より低い位置から見上げるように注文を取るというマニュアルがあったな。まあ、ともかく組み伏せたままでは話は聞けないという事だ。
洗脳されていない「蛇」は何によって行動しているのか。単なる私利私欲で動いているのなら、もっと盗賊らしい顔つきになるはずだ。その人の人生は、その人の顔に出る。老人を見れば分かる。元教師なら元教師らしい顔、元社長なら元社長らしい顔というのがある。たぶん表情筋の使い方が、職業によって何となく傾向があるのだろう。
たとえば教師らしい顔というと、むっつりした表情で、頬が下へ垂れている。規律を重んじて淡々と毎日をこなしてきた顔つきだ。目はぱっちり開けていて、視線は全体を見渡すように遠くへ向けられ、首はあまり動かさない。これは教室内の生徒を見渡す癖が付いているのだろう。
たとえば社長らしい顔というと、たいていは頬が少し痩せていて、眉間にしわが寄った難しい顔をしている。現役時代には重圧があったのだろう。反面、よく笑顔を見せてくれる。対外的な仕事のたまものだろう。目つきは教師ほど鋭くないが、力強さがある。
たとえば農民らしい顔というと、丸っこい顔をしていて、なんでもない時にもうっすら笑顔になっている。顔の日焼けはそれほどでもなく、首から襟元にかけての日焼けがものすごい。帽子をかぶって炎天下で作業してきたのだろう。
で、肝心の、盗賊らしい顔というと、目つきだけですでに嫌らしい。ギョロッとしていて、こちらを品定めするような目つきだ。口元は傲慢な感じで笑みを浮かべ、自分は捕食者であるという態度が顔に出ている。ただ、他人から物資を奪わないと生活できないような連中だから、あまり太っている奴はいない。
では、この「蛇」はどうか?
眼光には怒りと恨みを浮かべており、にらみつけるような下三白眼。頬の筋肉が発達しており、歯を食いしばって日常を過ごしていることが分かる。どう見ても私利私欲ではない。恨み辛みだ。
「何か許しがたい事があって行動を起こしたんだろう?
だが黙って行動だけすると、お前らはただのテロ集団になってしまう。
国だって戦争をするときは大義名分をかかげて宣戦布告するものだ。お前らの大義名分を聞かせてみろ。」
そう言うと「蛇」は憎々しげにゴーファ公爵をにらんだ。
「俺たちは捨てられた! 裏切られたんだ!」
堰を切ったように、怒濤の主張が始まった。
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