介護士はマタタビを探す
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「毛生え薬の材料になるのニャ。」
猫獣人がドヤ顔で言う。
育毛剤か? 確かにそれは凄い技術だ。ハゲを幻影魔法で隠せるといっても、その魔道具は高価で、普通の平民には手が出せない。金持ちなら買えるが、王宮に出入りするような金持ちだと、逆に買わない。なぜなら王宮では魔法を禁じる結界が張られている。これは警備上の理由だ。中に入ると自動的に全ての魔法が効果を失うので、ハゲがバレてしまう。
だから毛生え薬とやらを売るとしたら客層はかなり限られる。材料の調達法からして、安価に大量生産できるものでもなさそうだ。かといって、自分たちで使うようにも見えない。
「なるほど。
それで、毛生え薬なんかどうするんだ? 自分たちで使うんじゃないだろ? そんなにフサフサ、モフモフなんだから。」
猫獣人たちは手首・足首から先が猫のそれになっているタイプで、尻尾もある。あの手で、薬の調合なんて、どうやってやるのだろうか?
ともかく、そんなフサフサ・モフモフなので、ハゲていない。毛生え薬なんかが必要そうには見えない。
「売るニャ。」
「売るのか。」
「そうニャ。」
やはりそうか。
おそらく顧客は、王宮に出入りするような連中だろう。どこかのハゲた貴族か、それともハゲた豪商か……。
「売ってどうする? 猫獣人を街では見かけないし、現金なんて必要なのか?」
「人間の行商人が来るニャ。
いつもマタタビを売って貰うニャ。」
「マタタビ……。」
ドワーフに酒、猫獣人にマタタビ、という事か? そんな所まで猫なのか……。
「マクセン。マタタビってどこで手に入るんだ?」
「それなら開拓村で、ちょっと前から栽培してるっすよ。」
「マタタビを? なんで?」
「樹皮を入浴剤にするらしいっす。」
「ほう? そんな使い方があるんだな。」
樹皮を布袋に入れて使うらしい。神経痛や足腰の冷えに効くのだそうだ。
それにしても入浴剤とは。風呂が独自に進化しているようだ。いい事だ。
「他には? 葉っぱとか果実とかは?」
「さあ? 捨てるんじゃないっすか?」
「確認してきて貰っていいか?」
「了解っす。」
マクセンはすぐに走り去った。走らせたら頼りになる奴だ。
「なんニャ? マタタビが手に入るニャ?」
「かもしれない。
別のルートから手に入るなら、毛生え薬は作らなくてもいいだろ?」
「構わないニャ。」
待っている間に猫獣人と兎獣人について、その文化を聞いていた。やはり人間の文化とは色々と違うようで、興味深い。ちなみに薬の調合は、指の代わりに爪を使ってやるらしい。猫と同じく、出し入れ可能な爪だ。多少は横にも動かせるようで、人間の指のように途中で曲げることはできないが、それでも器用に色々な道具を使えるらしい。
で、しばらくすると、マクセンが戻ってきた。
「兄貴、面白い事が分かったっす。」
そう言ってマクセンは果実を取り出した。
茶色の、毛が生えた、野球のボールより少し小さいぐらいの果実だ。
これは――
「キウイフルーツじゃないか。」
そういえばホームセンターで苗を見かけた事がある。こんな所に普通に売っているのかと驚いたものだ。比較的簡単に栽培できるらしく、1株から1000個も収穫できる場合もあるという。そういえば、マタタビの近縁種でもあって、猫害を受ける事もあるんだったか。
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