介護士は犬獣人に会いたい
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「とりあえず、犬獣人に会いに行こう。」
アーネスは、マクセンをちらっと見て言った。
「あー……俺の血筋の獣人をたどる気なら、どこに居るか分からないっすよ。」
マクセンは犬獣人のクォーターだ。
聞けば犬獣人の血筋は、母方の祖父だという。だが母親が父親である人間のところへ嫁いできた関係で、母方の祖父母とは疎遠になっている。
「別に仲が悪いとかじゃないんすけど、犬獣人は基本、草原を走り回るような種族っす。
遊牧民みたいに移動しながら生活してて、マジで今どこにいるか分からないんすよ。」
遊牧民は、家畜の餌になる植物を求めて回遊する。植物は移動しないから、年単位で同じ場所をぐるぐる回っている。しかも植物は逃げないので、1回移動したらしばらく同じ場所にとどまる。
だが、犬獣人はその肉食バージョンだ。食糧になる動物を求めて移動する。動物は移動するから、それを追って移動する犬獣人も、どこに行くのか分からない。とはいえ、非常に大雑把に言えば、犬獣人も同じ場所を周回している。それは食糧になる動物が、その餌になる植物を求めて移動するからだ。
しかし長い紐を振り回すのと同じように、食糧になる動物の移動に振り回される犬獣人は、遊牧よりも広い範囲を(言い方は悪いが)ほとんどデタラメに移動する。動物はすぐに移動するので、犬獣人の移動の周期も短い。ほとんど毎日移動する。
「そういうわけで、犬獣人の集団と合流できるかどうかは、ほとんど運任せっす。」
兄貴には申し訳ないっすが……とマクセンは頭をかく。
そんだけ走り回ってれば足も速くなるわけね、とアルテナは納得していた。
「まあ、犬獣人の本来の生活はそういうものだ。
だが中にはマクセン殿のような変わり者もいて、ギルテールにも私が知る限りで2~3人は犬獣人が暮らしている。いずれも冒険者なのだが。」
むしろギルドで見かけないか、とアーネスは尋ねた。
「見た事ないな。」
たぶん見た事ない。見たかもしれないが、気づかなかった。
だが相手が冒険者なら、会うのは簡単だ。依頼を出せばいい。
たとえば犬獣人への指名依頼を出してもいいし、犬獣人に会いたいという依頼を出してもいい。犬獣人の集落に合流したいとか、その案内を頼みたいとかの依頼だと、マクセンの口ぶりからしてたぶん誰も引き受けないだろう。
指名依頼には少し依頼料が余分に必要だから、ここは「犬獣人に会いたい」という依頼を出しておこう。そうすれば、犬獣人を探し出して連れてくるような事は難しくても、自分が犬獣人である場合には何も準備しなくていい。
依頼の達成条件は、犬獣人の生活習慣や文化について一通り教えて貰う事、としておくか。再現できるほどの情報量は得られなくても、ある程度のまとまった情報が得られるだろう。少なくともマクセンに聞くよりは。なんせマクセンはもうほとんど人間だから仕方ない。
読者様は読んで下さるだけで素晴らしい(*´ω`*)
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((o(。>ω<。)o))




