介護士はフラグを見つける
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ブライアンとゴライアスの事は、ゴーファ公爵が後始末を引き受けてくれた。いい人だ。
その間に、俺はアーネスの案内で獣人に会う事になった。
「獣人といっても色々で……知っての通り、特徴となる獣の種類が違うと、能力や生活スタイルがまるで違う。極端な例では、魚の特徴を持つ人魚と、鳥の特徴を持つ鳥人だ。」
「人魚は海の中で暮らすのよね。水中でも呼吸できるらしいし、便利よね。」
「鳥人は木の上に家を作るって聞いた事あるっす。空を飛べるとか羨ましいっす。」
アルテナとマクセンが、それぞれに興味を示す。
まだ若いアルテナはともかく、マクセンほどの熟練冒険者でも見た事がない種族とは。なんともそそられる話だ。ぜひ見てみたい。
だが、2人が見た事のない種族というのなら、かなり遠くへ行かないと見られないのだろう。まずは近くで見られる獣人からでいい。
「全部の種族を見て回りたいな。」
「それはまた時間のかかる話だな。」
「そうだろうけど、急ぐ必要もないし。」
「そう言って貰えると助かる。『蛇』の動きも未だに活発で、警備隊も忙しい。私も隊長として出撃せねばならないから、案内できる時間も限られている。」
最近のアーネスは本当に忙しそうだ。ほとんどギルテールの街に戻ってきていない。
それは同時に警備隊がギルテールを不在にするという事だ。そのせいか、最近ちょっと治安が悪くなっているような気がする。犯罪件数の推移などは分からないが、どうも雰囲気のよくない連中が目に付くようになった。
「うむ……。」
とアーネスは同意を示し、周囲に視線を配る。
浮浪者のような格好をして、気配はごろつきのような勢いがある――そんな連中がちらほらと見えている。
「……何事も起こらなければいいが……。」
おいおい。それはフラグってやつだ。
そうっすね、と同意するマクセンとアルテナを後目に、俺は苦笑する。
「何かおかしいか?」
アーネスが不思議そうに言う。
「おかしいのではなくて、困っているんだ。」
引き寄せの法則というものがある。
思っている事が実現するという法則だ。信じた通りの結果を引き寄せるから、引き寄せの法則という。ここで重要なのは「願った通りの結果」ではなく「信じた通りの結果」を引き寄せることだ。
人間は、言語を使う生物だ。その言語というのは、大脳皮質によって作られる。いわば理論・理性の領域だ。ここでは「考える」ことはできるが「信じる」ことはできない。
人間の脳は、大脳皮質の内側に大脳辺縁系という部分がある。感情を作り出しているのは、この部分だ。ここでは「信じる」ことはできるが「考える」ことはできない。基本的にこの部分は「生命の危険があるかどうか」を瞬時に判断するのが本来の役割だ。反射的に判断するため、蛇だと思って驚いたが、よく見たら紐だったという事もある。つまり、考える行程はすっ飛ばされる。一瞬でも早く反応しなければ、いざという時に命を守れない。
さて、こうなると「考えて願った内容」と「信じている内容」とが違ってくる事がある。蛇と紐を見間違える例もしかりだが、成功したいと願っていても「どうせ失敗するだろうな」と信じてしまうのも同じだ。
そして結果は「信じている内容」に沿ったものが引き寄せられる。だから、いくら成功したいと思っていても、本気で成功すると信じていなければ、成功する結果を引き寄せられない。
ということは、「何事も起こらなければいいが」と思っている時点で「何か起きるかもしれない」という不安がある。何か起きる、何事も起きずには終わらない、という事を信じてしまっているのだ。そうすると、何かが起きてしまう結果が引き寄せられる。これがフラグの正体だ。
だから、狙って「望んだ内容を信じる」というのは非常に難しい。不可能ではないが、それには強い自己肯定感が必要だ。どうせうまくいくと信じ切って油断しているぐらいの心が必要なのである。
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