介護士は心を折りにいく
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「くそっ! ふざけるな!」
ブライアンは倒れたまま寝返りを打つように転がって、その勢いで剣を振り回した。
俺が躱した隙に立ち上がり、再び猛然と斬りかかってくる。そこに片腕になったゴライアスも交じって……。
「……ふあぁ~……。」
「よくやるわね……。」
「あいつ、けっこう体力あるっすね。」
「だが、そろそろ終わるようだよ。」
アーネスとアルテナは、メイドたちの給仕を受けてティータイムに突入している。アーネスに至ってはあくびまで出る始末だ。
一応介添人のマクセンは立ったまま観戦しているし、証人のゴーファ公爵も同じだが、あくびをしたい気持ちはみんな同じだった。正直俺も同じ気持ちだ。
それというのも、ブライアンがひたすら剣を振り回し、俺が躱して剣を突きつけるというのを、ひたすら延々と繰り返しているだけだからだ。もう1時間近くやっているだろうか。ゴライアスはとっくにリタイアしている。
「ぜー……ぜー……! く……くそ……! なぜだ……! なぜ……!」
もうブライアンは体力の限界らしい。とうとう剣を振り回すこともできなくなって、その場にへたり込む。
ここまで諦めない根性は大したものだ。
だが、そろそろいいだろう。仕上げにかかるとしよう。
ブライアンの胸倉をつかんで引きずり起こし、にやりと笑って顔を近づける。
「まだやるか?」
ブライアンは左手で俺を殴りにかかった。剣は右手にあるが、この距離では使えない。
俺はブライアンの胸倉をつかんでいる手を伸ばして、その拳を躱す。
そしてブライアンが左手を戻すより先に、再び顔を近づける。これでブライアンの左手は、俺とブライアンの体に挟まれて動かせない。
「まだやるか?」
再び尋ねると、ブライアンは右手の剣で俺を突き刺そうとしてきた。
角度が悪くてまったく力が入らないはずだが、それでも刃物だから頑張れば刺さるだろう。
もちろん黙って刺されてやるつもりはない。再び体を離して、突き出された剣を躱すと同時に、その剣の側面をたたいてブライアン自身の首へ押し付ける。
あわててブライアンが手を止めた。
その瞬間に、再びブライアンを引き寄せる。これで左手に続いて剣も封じた。
「まだやるか?」
三度尋ねると、今度は剣を手放して右手で殴り掛かってきた。
もちろん同じように躱して、同じように封じる。
「まだやるか?」
ブライアンは膝蹴りを試みた。
だがその気配を察知して、俺はブライアンの足を踏む。
「まだやるか?」
ブライアンは反対の足で膝蹴り。
俺はそれも足を踏んで封じた。
「まだやるか?」
ついにブライアンはかみついてきた。
俺は素早くブライアンを押しのけ、続けざまに引き寄せて、頭突きで応じる。
「かぺっ……!?」
変な声を上げて、ブライアンの顔が凹んだ。
「まだやるか?」
ブライアンはプルプル震えて何か言おうとした。魔力が動く。
「ジャイロ殿!」
真っ先に叫んだのはアーネスだった。
「兄貴!」
「ジャイロ!」
「いかん……!」
ほかの3人も口々に。
直後、ブライアンが爆発した。自爆の魔法だ。
死なばもろとも、ということか。最後まで見栄っ張りで、最後まで気配まるだしな奴だ。
「移乗介助ッ!」
対象をAからBへ乗せ換える。慣れ親しんだ動作で、俺は爆発の威力そのものを介助した。
向かってくる力を前から後ろへ移乗するなんて、むしろ動かない老人相手よりも簡単だ。ほとんど自力で移動してくれるのだから。俺はわずかにその軌道を修正してやればいい。
「ぶ、無事か……。」
「馬鹿な……どういう……?」
「爆発を曲げるとか、相変わらず無茶苦茶っすね。」
「非常識だわ……。」
へなへなと座り込むアーネス。
驚くゴーファ公爵。
あきれる2人。
ともかく、決着はついた。本当ならあきらめたブライアンを奴隷商人にでも売り払おうかと思っていたのだが、まあ、ある意味で見事な最期だった。
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作者は感謝感激しつつ、小躍りして喜んでおります。(o´∀`o)キャッキャッ♪