介護士はランクアップを喜ばない
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第1章完結まで書き上がりました。順次投稿していきます。
開拓村の拡張は順調に進み、駆け出し冒険者の生活を支えながら、いくらか経験も積ませる事にも役立っていた。
1ヶ月ほど経過を見守る一方、俺たちは聞き取り調査を進め、「蛇」の本部がある場所を絞り込もうとした。なるべく大勢に話を聞くほうが、より正確な情報が得られるだろうという事で、俺たちは頑張っちゃったわけだが、成果は今ひとつだった。
どうやら「蛇」は、わざわざ遠回りして、現れる方向をバラバラにしているようだ。かなり慎重な連中である。
しょうがないので、警備隊と協力しながら(つまり警備隊からの指名依頼で)制圧された村の解放を進めていった。その結果――
「おめでとうございます。ランクが上がりました。」
俺はAランクに昇格した。
マクセンがBランクに、アルテナがCランクに、それぞれ1つずつ昇格している。俺はその中心人物として、多めに評価を受けたらしい。この1ヶ月でどんどんランクが上がっていった。
「やっと兄貴の強さが正当に評価され始めたっす。」
マクセンは、俺のほうが上のランクになった事を喜んだ。
「私たちのランクも一緒に上がってるし、もしかしてSランクパーティーになれるかもしれないわね。」
アルテナは自分のランクが順調に上がっている事を喜んだ。
嬉しそうな2人に対して、俺は肩をすくめる。
他人からの評価など、どうでもいい事だ。俺がやりたい事には関係ない。たとえGランクのままでも、世界を見て回るのに何の問題もない。まあ、ランクが上がれば嘗められる事は減るだろうし、そしたら少しは有利に働くかもしれないが。
とにかく、俺が言いたい事は、つまり、他人からの評価を気にして行動を変える事はないという事だ。誰になんと言われても、やりたい事をやる。それが幸せへの近道なのだ。本当に求めるものと、できればあったほうがいいもの、その区別をしっかりつけておく事が大事だ。二兎を追う者は一兎をも得ず、という事にならないように、優先順位をハッキリ持っておく事は大事なのだ。そうしないと、本当に求めるものに到達する前に、他のことに振り回されてしまう。
介護士としてダークサイドに墜ちたときの俺が、まさにそうだった。相手から感謝されるなんて事は、どうでもいい事だったのだ。俺の目的は、家族を介護する時に備えて学ぶ事だったのだから、何を言われても「家族がこういう状態になるかもしれない」と真摯に学ぶ姿勢を持っているべきだった。
今なら分かる。あのとき俺は、老人たちに感謝するべきだった。家族がこういう状態になったらどうすればいいか。その練習をさせてくれるのだから。幸運にも、俺は全く別の理由で正解に到達した。俺を今の状態にしてくれた居合には、感謝しかない。だから居合が大好きだ。
……と、そんな事を考えていると、急報を告げる使者がやってきた。
やってきたのは、警備隊の兵士だった。
だいぶボロボロの格好をしている。
「ジャイロ殿! 助けてください!」
立っているのもつらいのか、俺を見て安心したのか、ボロボロの兵士は崩れ落ちるように床に倒れ、すがりつくようにして俺の足下へ這いつくばった。
「どうした?」
「仲間が……! 敵に捕まりました……!」
作戦の成否や進捗状況についての情報は、軍事機密だ。
だが、悔しそうに床を殴りつける兵士を見れば、機密漏洩を責める気にもなれない。
「任せろ。
移動しながら状況を聞きたい。可能ならそのまま戦闘に参加して欲しいが、走れるか?」
「死んでも走ります!」
兵士はガバッと立ち上がった。
フラフラしているが、それでも気力と覚悟に満ちている。
「よし、行こう。案内してくれ。」
「はい!」
走り出した兵士を追って、俺たちはギルドを出た。
読者様は読んで下さるだけで素晴らしい!(*≧∀≦*)b
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作者は感謝感激しつつ、小躍りして喜んでおります。(o´∀`o)キャッキャッ♪