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介護士は避難する

読んでくれてありがとうございます.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.


楽しんでくれると嬉しいです。


読者様には申し訳ない事ですが、不定期更新になる予定です。

 さて戦後処理だ。

 まずは殺された1人の大人に手当を試みる。だが、脈がなく、瞳孔が拡散していて、呼吸も止まっていた。すでに手足は紫色(チアノーゼ)を通り越して、真っ白になっている。死亡状態だ。


「…………。」


 俺は首を横に振って、黙祷する。

 次にアルテナの隠蔽魔法を解除して、覆面も外させる。


「アルテナ……!」


 数人の村人から声が上がった。

 これでひとまず決着だ。


「2人とも、よくやってくれた。」

「兄貴、聞いてないっす。」


 アルテナが家族との再会を喜んでいた。

 先に拘束されている大人たちを解放していく。すぐにアルテナもそれに加わった。


 アルテナに村人の相手を任せ、殺された人の埋葬を村人とともに頑張って貰う。

 その間に、俺とマクセンは敵を拘束して1カ所に集めた。

 マクセンが攻撃した敵は、すでに死んでいる者も多い。その死体は埋めて隠すことにした。残り少ない魔力を使って土魔法で穴を掘り、死体を投げ入れて手作業で埋め戻す。

 俺が攻撃した相手は、まだ1人も死んでなかった。

 生きている奴は、拘束したまま脱衣介助からのくすぐり地獄の刑だ。これで洗脳を解除する。そのまま待機させて、あとで警備隊が来たら引き渡そう。


「さて、知っての通りの状況だ。

 『蛇』の増援が来るまでに、どのぐらい余裕がある?」

「丸1日です。」


 すぐに答えが返ってきた。

 すでに彼らは洗脳を解除され、こちらに協力的だ。

 そして、やはり軍隊風。定期連絡が密で、異常への対処も早い。


「丸1日か。」


 すぐに移動しなくてはならない。

 警備隊が来る前に「蛇」の増員が来てしまう可能性がある。というか、高い。そうなったら防ぎきるのは無理だ。次は確実に村人を人質にとられる。

 今回は、敵にとって「突然わけのわからない攻撃を受けたので、混乱しながらも対処しようとして、うまくやられてしまった」という状況だ。

 次は、敵にとって「準備万端で村を制圧しに来る」という状況だ。こちらは村を奪われないように守らなくてはならない。こういう態度・立場・目的の違いは、行動の違いに出てくる。こちらがわずかな人数しか居ない事にはすぐに気づくだろう。そして俺たちを無視して村人を人質に取ろうとする者も、すぐに現れる。


「そういうわけで、俺たちは引き上げる。死にたくないからな。

 村人が一緒に避難するというなら、道中の護衛ぐらいはしてもいい。アルテナはどうする?」

「避難するように説得してくるから、ちょっと待って。」

「わかった。」


 おそらく「蛇」の幹部に元軍人がいる。これは間違いないだろう。

 敵ながらあっぱれと言うべきか、動きの素早さに部隊としての練度が出ている気がする。警備隊の動きが遅いのは、元々「蛇」を想定していないからだ。盗賊団対策として定期的に山狩りをしていたり、隣国との緊張が高まっている事に対して見張りのために陣地を作って部隊を駐屯させたりしているが、領地の中にテロ集団が居るという想定はしていなかったはずだ。

 しかもこの領地では、徴兵制があって、通例4年で辞めることができ、むりやり誘拐や脅迫みたいな手で兵を集めることをしない、というかなり人道的な領主である。村が制圧されたと聞けば、村人の心配をするだろう。人質にされた場合のことを考え、無視して攻撃という選択肢はないはずだから、慎重にならざるを得ない。それは動きも鈍ろうというものだ。


 さて、それよりも、ここから先の介護は、今まで俺がやってきた身体介助とはレベルが違う。

 集団に対しての生活支援だ。こういうのは介護士よりも役所の人のほうが適任だと思うが、乗りかかった船という事もある。彼らがある程度おちつくまでは、できるだけの事をしてやろう。

 こんな事なら、ケアマネの勉強をしておけばよかったかもしれない。そうすれば少しは役所的な視点を持つことができただろう。

 とにかく準備不足も甚だしいが、彼らの受け入れ先について考えなくてはならない。


「誰か手伝ってくれ!」


 村人が呼んだ。

 見れば、老人を荷車に乗せようとしている。足腰が弱いから荷車で運んでしまおうという事だろう。


「任せろ。」


 移乗介助なんて簡単だ。


「僕につかまって下さい。体を倒しますよ。」


 上半身を倒しながら、下半身を持ち上げる。いつもの空中臥床介助と同じ動きだ。ただし、今回は相手が怖くないようにゆっくり動く。10秒ほどかけて、電動リクライニングソファみたいにゆっくりと動かし、老人の足を荷車に乗せてやる。


「こっちも頼む!」


 別の所でも同じことが起きていた。


「すぐ行く。」


 30分で介助が必要な人をすべて介助した。

 この忙しさは、前世を思い出す。ひたすら身体介助に没頭するこの感じ。夜勤明けで一斉に老人を起こしていく時に似ている。

 大変な事になって悲壮感を漂わせる村人たちの中にあって、俺だけが「日常」を感じていた。


「ジャイロさんは落ち着いていて凄いですね。」


 私なんか取り乱してしまって、とアルテナが言う。


「取り乱すのもいい事だと思いますよ。それだけ相手の事を大事に思っているという事でしょう? この村に知り合いがいない俺と、家族がいるアルテナさんでは、反応が違って当然です。

 緊急事態に見せる態度こそ、その人の本質ではないかと思います。アルテナさんは愛情深いのですね。」


 俺は「いいね」を送る。


「そんな風に言っていただけると、救われます。」


 アルテナがはにかむ。

 いつもの仕草をやったせいか、俺も本当に落ち着いてきた。村人の受け入れ先なんて、俺の仕事じゃない。警備隊への連絡もしないといけないし、ついでに頼んでしまおう。こんなの領主の仕事だ。

読者様は読んで下さるだけで素晴らしい!( ・`д・´)キリッ


なお、評価とかブクマとかしてくれると、作者が喜びます。(o´∀`o)

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