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介護士は決断する

読んでくれてありがとうございます.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.

楽しんでくれると嬉しいです。


読者様には申し訳ない事ですが、不定期更新になる予定です。

 アルテナの暴走を加速させる。

 なおかつ村人を救い、村を制圧している「蛇」を殲滅――いや、排除する。そうだ。殲滅する必要はない。追い払うだけでもいい。仲間を連れて戻ってくるかもしれないが、その頃には警備隊が到着しているだろう。さもなければ村人を連れて逃げてもいい。どうせ殲滅しても、連絡がとれなくなった事を不審に思って調査しに来るだろう。そうなれば増援が出てくるかもしれない。つまり結局同じ事だ。

 殲滅だと敵を逃がさないようにする工夫が必要だが、排除なら逃げられても問題ない。これで勝利条件はかなり緩くなった。


 とはいえ、アルテナの暴走を介助(かそく)するには、どうすればいいか?

 村人を救いたいアルテナは、考えもなく突っ込んで、村人を人質に取られるだろう。この結果を回避するには、アルテナには考えて突っ込んで貰わなくてはならない。だが、そのために村人を見捨てるふりができない奴だ。ポンコツめ……とは言えないだろう。家族が犠牲になるかも知れないのに、それでも見捨てろというのは酷なことだ。

 ならば、考えもなく突っ込んで、なおかつ村人を人質に取られない方法を用意するしかない。


「アルテナさん。敵に突っ込んで下さい。」


 まず大前提として、アルテナの暴走が「暴走」ではなく「作戦」であるという観点に立たなくてはならない。介助される側の立場に立つ。これが介護士の基本姿勢だ。

 そして介助するポイントを見極め、できるだけ少なくしなくてはならない。歩こうとする老人に、手足の動かし方や、どこを掴むかまで細かく指示していたのでは、いくら歩いてもらう方向で介助しても反感を買う。できなくても、できるつもりで動くのなら、そういう前提で「さりげなく」助けることが必要だ。


「村人を人質に取られるわけにはいきません。

 そのためには、アルテナさんが『村人を助けたい立場である』という事を隠さなくてはなりません。

 だから、アルテナさんそのものを隠します。」


 遮音結界や認識阻害など、隠蔽系の魔法を使うことにする。

 無味消臭、振動遮断、熱量同調、電磁気同調、触知阻害、光学迷彩、それと念のために存在解像度低下もかけておこう。これで五感では見つからないだろう。気配同調と魔力隠蔽も……ついでに探知妨害と魔力同調もかけて、第六感とか探知魔法とかにも引っかからないようにする。

 母から教わって色々な魔法を使えるようになった俺だが、まだ訓練が足りないので戦闘中に素早く発動することができない。やっても目くらまし程度の威力しか出ないのだ。だが、俺の魔力は強いらしい。母にも言われたし、死役所の所員にも言われた。だから時間を掛けてじっくり魔力を練り込めば普通よりも威力が高くなるし、休まずに普通より多くの魔法を使うこともできる。

 だが、これだけやると、さすがに俺も魔力が枯渇寸前だ。


「アルテナさんは今、たぶん誰にも発見されない。だから、自由に攻撃してください。

 ただし、村人を守るのはアルテナさん1人の役目です。俺たち2人は敵を攻撃することに専念しますので。」

「分かったわ。」

「なるべく目立たないようにお願いします。敵をこっちに引きつけるので。」

「ええ。」


 すでに「さりげなく」の範囲ではなくなっている。これ以上の指示は控えるべきだろう。

 俺は、次にマクセンを見た。


「マクセンは敵を撹乱してくれ。走り回って暴れればいい。ただし敵に囲まれないように。一撃離脱ですぐに姿を隠して、別の場所から奇襲、というのを繰り返してくれ。例のアレを使ってくれればいい。今いくつある?」

「手榴弾っすね。分かったっす。今は15個ずつっすね。」


 手榴弾。前世の知識にならってそう呼んでいるが、要するに魔法の手投げ爆弾である。

 地面に魔法を設置して、獲物が通過すると発動するという魔法の罠がある。それを地面ではなく小石に設置したのだ。爆発だけでなく、冷凍、石化、電撃など、様々な魔法を施した物を、各15個。

 暇なときに作ってマクセンに渡しておいたものだ。俺も同じ物を持っている。魔力が枯渇寸前でも、訓練不足で素早く魔法を使えなくても、これがあれば代用できる。まあ、使い捨てで数に限りがあるというのが難点だが。


「兄貴はどうするっすか?」

「全体が見える場所から狙撃する。」






 行動開始だ。

 まずは偵察から。村人の位置、敵の数、装備、配置、物資の保管場所などを把握する。

 そうしてみると、思ったよりマズイ状況だという事が分かった。


「何がマズイっすか?」

「敵の配置が、村全体に均等だ。」


 盗賊団なら、ほとんどのメンバーが1カ所に集まっている。居心地のいい場所に集まって思い思いに過ごし、ごく少数を見張りに立たせるというのが典型的な配置だ。見張りを素早く倒してこっそり侵入し、奇襲を仕掛けるということが容易にできる。

 だが、そういう偏りがない。つまり、どこから攻めても常に一定の戦力(複数)で対応できる布陣だ。応援が駆けつけるのも早く、警戒網が均一で広いのでこっそり侵入するルートもない。


「これは軍隊のやり方だ。」


 テロ集団の中、おそらく幹部に、軍のやり方を知っている奴が居る。

 ただの無法者の集まりではない。訓練された軍隊だと思ってかからないといけない。


「……という事は……。」


 冒険者を襲っているのは、死ねば装備が手に入り、生け捕りにすれば洗脳して仲間を増やせるから。

 だがそんな「蛇」が農村を制圧したら、どうするか? 農民に大人しく農業をやらせる? そんなバカな。農民を鍛えて戦力にしようとするだろう。それも、大人よりは、扱いやすい子供を。

 まともに部隊として組織し、軍隊のように集団戦をやらせるなら、子供なんて力が弱くて役に立たない。だがゲリラ戦なら、奇襲して相手がうろたえているうちに素早く攻撃できるだけの運動能力があればいい。それは子供にナイフを持たせれば十分なのだ。

 だから重要なことは、身体能力ではなくメンタル。殺人をためらわないメンタルを作ることだ。つまり、かなりエグい事が起きている。

読者様は読んで下さるだけで素晴らしい!( ・`д・´)キリッ


なお、評価とかブクマとかしてくれると、作者が喜びます。(o´∀`o)

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