介護士は薬草を採取する
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読者様には申し訳ない事ですが、不定期更新になる予定です。
本日2回目の依頼は、薬草採取だ。
「コツは、生えてる場所を把握しておく事っす。
ほら、そこにあるっすよ。」
マクセンは依頼を受けずに俺の指導をしてくれている。
今回は同時にできる依頼がなかったらしい。
「兄貴、それは雑草っす。」
むう……。
見分けがつかない。
「マクセンの経験と助言がないと無理だな。」
持っていったら全部雑草とかの事態になりそうだ。
「半分くらい雑草ってのは珍しくないっす。
だから、分からなかったら必要量の2倍取っていけば大丈夫っす。」
「なるほど。」
マクセンは便利_φ( ̄ー ̄ )メモメモっと。
「兄貴。」
突然マクセンが緊張した声で呼んだ。
どうした?とは聞かずに、俺は周囲を伺う。短い付き合いだが、こういう時はそういう事というのは分かる。
ほどなく、魔物の群が姿を現した。
「グルル……!」
リーダー格らしき個体が唸り声をあげている。
大きめの犬のような魔物だ。野犬の群。ただし魔物。運動能力が犬より高い。単体ならともかく、群は危険だ。連携して襲ってくる。最初の個体を防いでも、すぐに次の個体が襲ってくるので、対処しきれなくなる。
だが、考えている暇はない。
「ガウッ!」
吠えて、魔物が一斉に襲ってきた。
犬の相手は初めてだが、俺のやることは変わらない。攻撃の瞬間を察知して、受け流し、かいくぐり、回剣して真っ向から斬り伏せ、袈裟斬り、切り落とし、突き刺す。時には先手を取って、攻撃動作が始まる直前(相手は攻撃動作に入ろうとしているから対応が遅れる)に先制攻撃を仕掛ける。
「うおおおっ!」
マクセンは必死に剣を振り回している。だが、動きがデタラメだ。
こいつ、剣術はからっきしだな。斥候としては優秀そうだが、攻撃役としてはイマイチか。盾役も無理だな。
魔物の群は、早々に俺への攻撃を諦めて、マクセンに集中した。
「うひいいい!
なんで俺のとこばっか!?」
おや? ちゃんと状況が見えている。焦っても視野が狭くやらないとは、さすがベテランだ。
まあ、見捨てるのはもったいないから、助けよう。
「むんっ! はあっ! とうっ!」
こっちに向かってこないから、一方的に攻撃できる。
間もなく魔物の群は撤退した。
「助かったっす~。
兄貴、さすがっす。強いっすね!」
「鍛えたからな。」
1億年ぐらいね。
居合の動きを介護技術に取り入れることはできるが、その逆はできない。せいぜい介護の場面で居合の動きを確認し、定着させるぐらいだ。何百年も磨かれてきた居合の技術に比べて、介護の技術なんてまだ数十年しか歴史がないのだから、派生も自然淘汰も全然足りないのは当然である。
「それにしても、魔物が増えたっすね。」
「そうなのか?」
「10年前は、もっと少なかったっす。
俺が落ちぶれたのも、魔物が増えたことに対応できなかったからっすよ。」
立ち直ったマクセンの、ここが凄いところだ。
魔物が増えたせいで落ちぶれたのではない。それに対応できなかった自分の責任だと認識している。人生において、これこそが重要だ。他人や環境のせいにしていては何もできない。自分にできることを探して、自分にできる範囲で改善するしかないのだ。そのためには、物事を自分の責任として考える必要がある。マクセンには、もうそれができている。
「兄貴? なに笑ってるっすか?」
「お前はもう大丈夫だと思って。」
「は?」
「こっちの話だ。」
「はあ……?」
さて、完了報告に行こう。
それにしても、魔物が増えた、か。餌が豊富で数が増えたのだろうか? 前世でも、猪が多いと熊が増えていた。だが、豚コレラで猪が激減した時は、熊の餌が不足して人里に出てくる事が増えた。なら、むしろ餌が足りなくて魔物が増えているのか?
まあ、難しいことを考えるのは、偉い人に任せておけばいいか。若者は目の前のことを頑張ればいいのだ。戦略なんて、経験豊富なジジイどもが考えればいい。だから議員だってジジイばっかりだ。若い議員も増えていたけど、ろくな事しなかったしな。失言したり泥酔したり不倫したり……。
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