介護士はリハビリを思い出す
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山の外にいる鳥獣人たちを退けて、俺たちは坑道に近づいた。
周辺は鳥の糞まみれて、白と黒のまだらに染まっている。ちなみに鳥の糞の「白い部分」は鳥の尿らしい。鳥は液体の尿を排泄しないそうだ。
これを全部清掃するのは大変だろう。そこで、ふと思いついて、俺は1つ魔法を使ってみた。
「連続上方移動。」
属性は水。鉄砲水を発生させる魔法だ。これの方向と勢いを、介護技術のイメージで補強する。勢いは激しく、方向は円環。巨大な洗濯機のイメージだ。これで一気に周囲を清掃する。土がむき出しの地面から小石や砂粒が巻き上げられ、これがウォーターカッターの切断力よろしく汚れを削り落とす研磨剤として作用する。
あとは少し離れた場所へ汚水を捨てれば完了だ。
「おお……! 一瞬でピカピカに!」
案内役のドワーフが驚く。
マクセンは手作業で清掃する羽目にならなかった事に安堵し、アルテナは自分にもできるか考え始めた。
そこで洞窟の中の清掃はアルテナに任せることにした。アルテナに清掃してもらいながら、洞窟内を進んでいくと、キノコ系の魔物がわらわらと現れた。
動きは遅いし、防御力は低いし、はっきり言って弱い魔物だ。しかし厄介で危険な面もある。キノコ系の魔物は、本体が微少な胞子なので、斬っても砕いても死なない。おまけに吸い込んでしまうと体内で育つほどの生命力があり、近づくだけで危険だ。対処法としては、火属性の魔法で焼き払うのが一番である。
「任せるっす。」
マクセンが飛び出した。
手榴弾でも使うのかと思って見ていると、久しぶりに短剣を抜いて振り回した。その軌跡が赤く光る。火属性の魔剣らしい。いつの間に手に入れたのだろうか。まあ、領地に戻ってからはずっと一緒にいたわけでもないし、装備の更新ぐらいするだろう。
俺にとってちょっと残念なのは、魔剣のおかげで強くなったのか、パワードスーツゴーレムのおかげで強くなったのか分かりにくい事だ。ゴーレムのパワーアシストのおかげで動きはよくなっている。ミスリルを使った影響は不明だが、魔剣の火力も増大しているのかもしれない。
斬撃を受けた魔物は、たちまち炎に包まれた。魔剣なら通常攻撃に属性付与がかかり、魔力を消費せずに魔法と同じ効果を出せる。清掃に忙しいアルテナに対抗して活躍の場を求めたか知らないが、効果的だし消耗するものものないので、やらせておこう。
時々戻ってきて深呼吸するあたり、胞子を吸い込まないように気をつけているらしいから心配もないだろう。
しばらく進んでいくと、坑道内部に住み着いた鳥獣人を発見した。
天井から逆さまにぶらさがる鳥獣人。コウモリ系だ。坑道の中に住み着いたというから予想はしていた。そしてその対処法も考えてある。
「あッ!」
大声を出し、これを風魔法で増幅して大音量にすると同時に、指向性を持たせて指定範囲外への音の漏出を抑える。
今回は前方へ放射状に範囲を決めた。ちょうど口元にメガホンを当てたような範囲だ。その延長線上にガラスが割れるほどの大音量が飛び、坑道の壁やら床やら天井やらに反響していく。
こちらに気づいて今まさに攻撃態勢に入ろうかというところで、コウモリ獣人たちはバタバタと気絶して落ちていく。
一応これも介護技術のイメージだ。……いや、技術とはいえないか。レクレーションで歌を歌ってもらう事がある。これは娯楽の提供という事だけでなく、呼吸器系や口腔内のリハビリになる。食事のときに気管へ入ってしまうとか飲み込めずにノドにつまるとかの事故を防ぐ一助になるのだ。
オリンピックの期間中なんかは、みんなで応援しましょうなどと言って、やたらと声を出させる事もあった。施設によっては食事前に口腔体操などといって「ぱたから」やら早口言葉やらを合唱することもある。
ともかく、これで奥へ進む障害がまた1つ取り除かれた。
「こんなにあっさり……。」
案内役のドワーフが呆然としている。
坑道はこの奥で上へのびる縦穴につながっている。
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