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冬の奇跡

作者: 竜泉塚 神楽

これは寒くなった12月

クリスマスの少し前の日の出来事です

一人の青年が駅前でギターの引き語りをしていました。

「僕はずっと一人きりが嫌で

今となりにいてほしいのに

君はここにはいない」

しかし、彼の歌を立ち聞きをする人はほとんどいませんでした。

「はぁ、俺は歌の才能が無いのかなぁ」

彼は心底がっかりした表情でため息をつきます。

すると一人の少女が彼の前で足を止めました。そして

「お兄さん、お兄さん」

「ん?なんだい?お嬢ちゃん」

「お兄さん、今幸せ?」

「え?」

「お兄さん、今すっごいがっかりした顔してたから幸せなのかなって」

「俺は、今はとても不幸せだよ。誰も俺の歌を聞いてくれないからさ」

「やっぱり!でもねみんなしっかり聞いてるよ?」

「え?」

「もう一回おんなじ歌歌って?そしてもっと周りを見て!」

青年は言われるがままに同じ歌を歌い始めました。

すると少女は歌詞に合わせて踊り始めました。

それは拙いけれどとても心がこもっている踊りでした。

すると周りの人は立ち止まり始めました。

やがて曲が終わると大きな拍手が響きました。

「ね?みんな聞いてるでしょ?」

「でも、これは君の踊りに対してのがほとんどだよ?」

「ううん、私は毎日聞いていたよ?聞いていたからこの振り付けができたんだ。だからこれはお兄さんの歌のおかげ」

「そうかな?」

「そうだよ。だから明日も来て踊ってもいい?」

「もちろん。また見たいな君の踊り」

「わかった!また明日ここでね」

「また明日」

そういうと二人は別れました

翌日も二人はライブをし大盛況で終わりました。

そして毎日くる日もくる日も同じところでライブをし、青年の名前が有名になった頃

ある日女の子は突然現れなくなったのです。

青年も最初は風邪をひいたのかと思い気にせずライブをしていました。

その日のお客さんの反応はそこそこで青年は自分の実力が上がったことを実感しました。

しかし、翌日も少女は現れず一週間がたちました。

その日はクリスマスでした。

青年は変わらず同じ場所で同じ時間からライブを始めました。

しかし、誰も足を止めてはくれませんでした。青年は途方にくれました。すると後ろから少女の、声がしました。

「お兄さん、今幸せ?」

青年が振りかえるとそこには一人の見知った少女がいました。

「幸せだよ。誰よりも大切な相棒を見つけたらから」

「やっぱり、なら私の出番はもういらないね。」

「どういうこと?」

「あなたが幸せなら私は必要ないってことだよ」

「じゃあどうして君は今日来たの?」

「あなたが不幸そうな顔しているから」

「それはね。君がいないから幸せなんて感じなくてさ」

そういうと青年は少女に手を差し出すと

「だからさ、踊ってくれるかい?俺の歌で」

と言いました

少女は満面の笑みで

「もちろん!よろこんで」

と返すと踊る準備を始めました。

やがてギターの音が鳴り出すと可憐な少女が踊り始めました。

それからそのギターの音は毎日鳴り響き少女は毎日踊りました。


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― 新着の感想 ―
[一言] お兄さんを励ます少女に感動しました。 少女の一つ一つの言葉が響きます。 「歌」じゃないものに置き換えて読んだとしても心を打つと思います。
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