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第3話

 カツアゲされ、数日が経った土曜日のことである。ベッドに横になりつつ逃野は考えごとをしていた。

「はぁ…」

「(この前のことが未だに忘れられない…カツアゲされたこともショックだけどそれ以上に現実世界に能力者がいる何て…)」

 逃野はあれから暇があればそのことばかり考えている。今現在も小説ライトノベルを読んでいるが読みながらもそのことを考えている。

 ちなみに今読んでいるのは能力者達が戦う能力者バトル系のライトノベルである。逃野はこの作品はアニメから入り、現在原作の第1巻を読んでいる。

「(現実にいるんだもんな…夢があってワクワクするような怖いような…)」

 考えつつも逃野は本を読み続けた。

最近ハマりはじめたシリーズということもあり空が暗くなるまで読み続けた。時計の短い針は5時を指している。

「(続きが気になるな…)」

 逃野はゆっくりと立ち上がると歩いて15分くらいかかる最寄の本屋へと向かった。どうやら続きが気になって仕方が無いようだ。


 逃野は本屋へと到着した。時期も時期ということで肌寒かったため厚着である。

 店内へと入ると今読んでいるライトノベルの続きを探すためにライトノベルのコーナーへと向かった。

「おっ!あったあった」

 逃野は読んでいたライトノベルの続きである2巻を手に取りレジへ向かう。

 すると覆面を被りナイフを持った男が逃野の後ろにやってきてそのまま片手で体を捕まえナイフを首元に向けた。そしてその男は言う。

「おい!店内にいるやつ等動くんじゃねぇぞ!動いたらコイツを刺すぞ!!」

「(え?)」

 逃野は突然のことで状況を理解できなかった。別に覆面の男は能力を持っていたわけではなくただこっそりと近づいてきただけである。至って「現実的」なことだが一般人である逃野にとっては「非日常的」な出来事であった。

 先程の覆面の男の叫びがあってから店内の空気が変わり店に居る全員が動かずにいる。

「人質を解放して欲しければ金を出すんだなぁ…」

 覆面の男は落ち着いた口調でそう言った。

「えっ・・・いっいくらですか?」

 店員は答える。自分が人質ではないので少しだけ冷静さを保っている。しかし、怖いのは同じである。

「(あぁ…お金出してよ早く)」

 逃野は自分が助かることのみを考えていた。とにかく死にたくないと考えていた。今もどうすれば生き残れるかを考えているようである。

「あのー…」

 店中にいた高校生くらいの正義感が強そうな少年が控えめに覆面の男に話しかけた。

「あぁ・・・!?」

 覆面の男は威嚇をする。

「もしよければ俺が代わりに人質になりますか?…何て」

「あ?ナメとんのか?」

「いえ、そういうわけではないんですけど…」

 逃野は少し希望を持った。

「(この人が人質になれば逃げられるかもしれない!)」

 覆面の男は少し考えた。しかし、現時点では人質を交換するメリットが見当たらない。

「ダメだ。第一メリットがねぇ。そんなことより店員は金を用意しとけよ。後警察に言うのはナシな。言ったらコイツだけじゃねぇここにいるやつらやべぇぜ」

 凶器はナイフのみだというのに異常に強気である。

「メリットならあります。」

 先程の人質希望の少年が言った。

「あ?」

「俺の家結構金持ち何ですよ。俺を人質にすれば後々大金をゲットできたりするかもしれませんよ?」

 嘘か本当かは分からないが少年はそう発言した。

 覆面の男は再び考えた。そして。

「まぁメリットもねぇが特に交換するデメリットもねぇな。こっちへ来い!」

「(やった!やった!助かる!助かる!)」

 逃野は心の中でこの上なく喜んだ。

「ゆっくり来い…ゆっくりだ…」

「はい。」

 少年は少しずつ覆面の男に近づいていった。

 少年が近くまで来ると覆面の男は大きく逃野を突き飛ばし先程の少年を人質に取った。

「(うおおおおおおおおおおお)」

 逃野は買おうと考えてた本を置くと突然店の外へ走り出した。おそらく全速力であろう。外に出た後も走り続ける。火事場の馬鹿力でとにかく走り続けている。

「クソっんのやろっ逃げやがったな!」

 覆面の男は怒った。警察を呼ばれそうで焦っているようにも見える。

「覚悟しとけよおめぇら!!」

 そんな中人質の少年は冷静である。人質の少年は大きく息を吸い込む。人質にされている状況であるのに何をする気であろうか。

「うおおおお!!」

 少年は体にオレンジ色のオーラを纏った。

「ああっ!?」

 覆面の男は驚き、ナイフで少年を刺す。しかし、そのナイフは刺さらずに折れ曲がる。

「うおおお!!!!」

 少年は強盗を思い切り殴る。そしてその一発で強盗は気を失った。

「ふぅ…」

 少年からオーラが消える。

 外からパトカーの音が聞こえて来る。どうやら逃野が呼んだらしい。警察を呼んだら店内の人が死ぬかもしれないというのに大胆な行動である。何も考えていない可能性も十分にあるが。

「あー…今の皆に見られていたな…。えーと…。」

「店内の人の記憶と監視カメラの方もどうにかしておいてくれ。スマン。」

 少年は右を向き誰かに語りかけた。誰も居ない空間に語りかけた。しかし、少年には何かが見えているようである。

 しばらくすると警察が入ってきた。

「大人しくしろ!!…ん?強盗が居ると聞いたんだが皆無事みたいだな。というか倒れているぞ。」

「どうなっているんだ?何があったか説明できる人は居ませんかー?」

 場に居る皆は覚えていないようだ。そんな中少年は。

「えっと人質を交換することになったんですけどその隙に俺が一か八か殴ったら気絶しましてーハハハハ…」

「君がか…」

 安全が確認されると逃野が入ってくる。

「えっとその…ゴメン…」

 逃野は誤る。少年は怒らずにマイペースに言った。

「そんなに気にスンナよ。皆無事だったんだから。」

 ちなみに逃野が謝罪した理由は、悪いと思ったのが2割で残り8割は後で恨まれるかもしれないからだ。

「他の皆もすいませんでした!!!!!」

 他の皆にも精一杯謝った。こちらも恨まれたくないからという理由が大きい。

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