第4話 「剣術とお手伝い」
はい!
フィクスです!
夜、明けました!イエィ!
なになに?
テンション高いって?
そうりゃそうだろう!
なんてったって今日は父さんに剣を教わる日だからな!
日本男児なら誰もが興奮するだろ!
さらに俺の敵は『魔王』らしいからな、、、
(俺が読んだ本のなかに『魔王』なんてのはいなかったが、、、)
接近戦くらい覚えておきたいだろ?
少なくとも魔王への道中で、魔物に遭遇しないとは思えないしな。
しかも俺の父ちゃん剣士だぜ?
(母いわく、
『私が会ったなかで一番強い剣士』だそうだ。
家で剣を振ってるのは見たことないから怪しいところだが、母が惚気ていないことを信じようと思う)
教わらない訳にはいかんでしょう。
剣術かぁー
いや〜楽しみだなぁー
父ちゃんは部屋かな?
コンコンッ
ガチャッ
「父さん?居る?」
「おー!フィクス!どうした?」
「あのねちょっと聞いてほしいことがあるんだ!」
「なんだ!なんでも言ってみろ!」
「お父さんって剣士だったんでしょ?」
「一応まだ現役だな!」
「今は育児休暇を貰っているがな!」
育児休暇なんてあんのか?
「お父さんって結構強い剣士なんでしょ?」
「まぁ、ちょっとだけだぞ?ちょっとだけ」
とは言いつつも、満更でもない表情。
「それでね、僕も父さんみたいに強くなりたいんだ」
「えっ」
「だから、、、僕に剣を教えて!」
「、、、」
「うーん、、、」
「だっ、ダメだ!」
「なっ⁉︎」
「なんでよ⁉︎」
「けっ剣の世界はとっても厳しいからだっ」
「大丈夫だよ!」
「剣なんてあれだぞ?」
「重いし、痛いし、辛いし、リーチ短いし、
あとすぐ錆びるから手入れが大変だし、最前線で危ないし、、、」
「それでも剣を教えて欲しいんだ!」
「、、、どうしでもか?」
「うん!」
「そうか、、、ゔぅ」
ポタッ
ポタポタッ
「、、、どっ、どうしたの?」
「、、、、、いやっなんでぼだいんだ。ぐずっ」
父が泣いている。
フィクスはどうする?
1、なだめる
2、とりあえず黙って聞く
3、ドア閉めて逃げる
2番以外出来る気がしない。
というわけで2番決行。
「ぐずっ、いや、どうざんもぢっぢゃいどぎからげんじをめざじてだから、、、」
(ぐずっ、いや、父さんもちっちゃいときから剣士を目指してたから、、、)
「やっばりぼやごだだとおぼっで、、、」
(やっぱり親子だなと思って、、、)
「ぞうおぼうとうれじくって、、、」
(そう思うとうれしくって、、、)
「フィグズもげんじにあごがれでだなんで、おっおぼわながっだがら、、、」
(フィクスも剣士に憧れてたなんて思わなかったから、、、)
だな。
まぁ剣士に憧れているわけではない!
というと嘘になるから否定はしないでおこう。
「わがっだ!父ざんが剣を教えでやるっ!」
「あっありがとう!、、、」
なんだかんだで許可を得た。
気まずいのでドアを閉める。
バタンッ
ふぅー。
剣士を目指すことになったが、まぁいいだろう。
大号泣されたが、、、まぁいいだろう。
教えてくれるわけだし。
えっ?
何?
キャラが違う?
前話で言ったとおり俺3歳だよ?
あれが俺なりに3歳を追求した結果だ。
(っていうか頼んどいてなんだけど、3歳の息子に剣教えるってどうなんだ?異世界なら普通なのか?)
閑話休題、
剣術は父ちゃんに教わるからいいとして、
問題は魔法だな。
母ちゃん魔法に詳しかったりしないかな、、、
でも魔法の本すらなかったからなぁ。
聞いてみよう。
母さんは台所か?
「母さん!」
「あら?なぁにフィクス?」
「魔法ってどうすればいいの?」
「魔法?」
「うん!魔法!」
「うーん魔法かぁー」
「あんまり詳しくはないけど、、、」
「覚えなくても良いとおもうわよ?」
えっ?
「そっそうなの?」
「そうよ。」
「母さん、昔ね、魔法がどれくらい強いのかなぁと思って魔法を受けてみたの」
「そしたらね、、、」
「全然大したことなかったの!」
人に当たっても全然大したことない。だと?
「すごい真面目な顔で長い詠唱してるのに、魔法が出て来て当たるとすぐ消えちゃうの!」
長い詠唱してもその威力かよ、、、
どんだけへぼいんだよ、魔法。
魔王は剣術で倒すことになりそうだな、、、
「私は家事に使えるから便利だと思うけど、
男の子が使えても良いことないと思うわよ?」
でもなぁ、
「そっ、それでも良いよ」
「だから魔法を教えて?」
やっぱり魔法使ってみたいよなぁ
「じゃあ、できる限り教えてあげる」
「そのかわり、家事のお手伝いしてね?」
「うん!」
「ありがとう!」
「どういたしまして!」
「これからは家事が楽になっちゃうわね!」
俺の魔法使い人生は家事のお手伝いで始まった。
この世界の剣術の価値観は、空手みたいなものと見てもらえば幸いです。護身術的な。
魔法は、、、