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えっ、源氏物語の桐壷更衣になっちゃったの!?あんな死に方いや!よし、帝から逃げよう!ってあれ、帝…、ヤンデレ……?

作者: 佐藤奈津

随分前にうったものを最後まで打ったやつです。おかしいところがあったら、ご指摘ください。


源氏物語

平安時代、紫式部が書いた主人公 光源氏のモテモテストーリー。この物語は光源氏のパパである桐壷帝が身分の低い桐壷更衣を溺愛し、それに嫉妬した女たちが桐壷更衣をいじめるところから始まる。




これはわたしの前世の記憶からの抜粋である。


え?前世?頭がとんでるの?電波ちゃん?


そう思ったあなた、いえいえ、みなさまわたしは正常な女の子ですよ(タブンネ)。気づいたら転生してたみたいな感じです。え?わたしが今生きてるのはどこよ?ですか?


それは







「桐壷!!どこに隠れたんだい…?」


ひぃーー!!きたぁ!!!(゜Д゜)

今、桐壷と言った人はこの国のトップ ミカド。そして、その帝に呼ばれた女 桐壷キリツボは、わたしのことである……。

もう、わかっただろうか?わたしは源氏物語の中のよりによって桐壷更衣キリツボノコウイに転生してしまったのです!!








桐壷更衣と言えば女の嫉妬によっていじめられ、精神的に弱ってしまう。そこで、帝に実家に帰らせて欲しいと言うが、帝は桐壷更衣を愛するが故に帰らせずどんどん桐壷更衣は弱っていってしまう。そして、源氏物語の主人公 光源氏を生み、そして亡くなってしまう。


みたいな感じの人(前世のわたしの記憶が曖昧なのだ)。間違っていたら、ごめんお☆



そう!わたしはよりによってそーーーんな人に転生してしまったのだ!わたしが前世を思い出したのは幼いころ。前世への未練とか、死への恐怖に襲われて泣いてばかりいた。(そんなわたしを慰めてくれた人がいたらしい。母が上機嫌で話していたけれど、わたしは覚えていない。なんで桐壷更衣なのだとわかったのはこの世界ではどの家がどう朝廷に仕えるか決まっているらしく、わたしの家は桐壷更衣として使えるのを知ったから。もしかしたら、源氏物語じゃないかもしれなかったんだけど、平安時代が得意じゃなかったわたしは桐壷更衣→源氏物語につなげてしまったのだ)

年頃になり母は更衣になることを勧めてきた。更衣なんてなりたくなかった。けれど、大好きな母の勧め。通い婚であった平安時代だからこそ、わたしの父は母とわたしを捨てた(母はそうは言わなかったけれどわたしはそう思っている)。父に捨てられた後、恥を忍んで親戚に頼み込み、わたしを育ててくれた母。そんな母の頼みともとれるような強い勧めを年頃になったわたしは断れなかった。

でもこのままではわたしは死んでしまうし、母が悲しんでしまう…。

そんな風に私も悩んでいた。が、わたしは気づいた。まだ帝に会っていなかった。これはチャーーーーンス!!!そう思ったわたしはそこで、帝と出会うフラグを折って折って折りまくろうと決意した。

わたしは希望を見出した!この世界はわたしにとっては現実。物語通りになってやる義理はない!!


絶対に未来を変えてやる!!

わたしはみすぼらしくなってしまった母とわたしの小さな屋敷、きれいなお月様の下、平安女子らしからずに外に出て顔を隠さずガッツポーズをして気合を入れたのだ!







わたしは気づいてなかった。そんなわたしを熱っぽく見つめる人がいたなんて…ね……。









そんな風に決心したわたしに悲劇(絶望)が訪れた。

それは源氏物語の中には主人公の父(帝)と母(桐壷更衣)の馴れ初めなどが書いてなかったことだ!(前世のわたしは源氏物語をなぜだか結構読んでいたようだ…タブンネ)よって、わたしは帝との出会いを前もって防ぐことは不可能だという事に気がついてしまった。





しかーし!!そんなことでわたしはへこたれない!帝に気づかれないほど存在感を薄くする。そうすれば帝の目にかなうことはない!地味に生きよう。そう決意した。


そこから、わたしは地味に地味に生活してきた。周りの子たちは帝がイケメンらしくきゃあきゃあ騒いでいたが関係ない!わたしはいじめられたくもないし、ストレス(?)で死にたくない!!源氏物語の中で桐壷更衣がそんな風になった原因は!?桐壷帝と恋に落ちてしまったから!



な ら ば !


まだ帝に、わたしの存在は認知されていないようだからこれからも認知されていないように地味に地味に生きていけばいい!!よってわたしはたとえ桐壷帝(帝のことね)が絶世のイケメンだろうが目もくれねえ!!






そんなわたしを影は陰から見つめ、その美しい顔をこぼれんばかりの笑みで歪めていた。わたしの努力をあざ笑うように。








物語通りにいってなんてやらない。

そんな風に思っていた時期もあった。結局バカだったのだわたしは。

イレギュラーなわたしが存在する世界が、わたしの知る正しい結末へつながる物語だと誰が教えてくれただろうか?

この源氏物語の世界が歪んでいることに、新たな物語が紡ぎ出されていることにわたしは気づいていたけれどその裏の真実に気がつけなかったのだ。



その真実とは

この世界には予測不可能な



「みーつけた」


バグが、生じていること。



ビックゥウウウウウウウ!!!!!わたしは肩をふるわせた。



「み、みかど………」



ニッコリ帝は不気味にまでに美しい顔に笑みを浮かべる。

わたしの前世で言う乙女ゲームの攻略対象のような作り物のような美しさ。平安時代基準の美形ではなく、わたしの前世基準の美形。神様に愛されたかのような見た目。(ちなみに、この世界の美人の基準もわたしの前世の基準にかなり近い。)そして、このごろに起こった飢饉をうまくおさめたその手腕、その頭脳。誰もがうらやみ、誰もが認める世を治める天皇。それが、わたしの目の前にいて、本来の源氏物語の中では光源氏の父親である




帝。





「ねえ、桐壷」



この歪んでしまった世界の彼は---




「僕が嫌い?」



わたしの前世で言う



「もし、桐壷、君が僕を嫌うなら」



帝の顔がわたしに近づく。彼の闇に呑まれたような薄暗い目には、みずぼらしい平凡な女が顔を青白くして体を震わせている。



「そんな君を壊してしまいたい…ね」



わたしの前世で言う___ヤンデレである。





作り物のように美しい帝は、平凡なわたしを愛している。異常なまでの執着心。一夫多妻の世界の中で、彼はわたしだけを愛すのだ。それは幸せなことかもしれない。(蜻蛉日記の作者は夫が来ないことに嘆いていたから。)けれど、わたしは普通に愛されたい。こんな




ゾクゥウウウウウウ



「ねえ、桐壷。君はそんなに外に出たいの?」



「帝…」


わたしを胸に包み込んで、その腕の中に閉じ込める。

彼の目に、普段、陽帝と呼ばれるときのような温かさは残っていない。その目には強い執着だけ。


「君は外ばかり見つめるね?そんなにこの部屋がいや?君の好きな本も物も着物も獣も揃えたこの部屋がいや?何がほしいの?」


わたしは決して鎖で縛られたりはしていない。けれど、


「ねえ、桐壷…?いいや、×××。」


それはわたしの真の名。前世と同じ名前。今、この本名を知るのは母とわたしと帝しかいない。


わたしが帝に囚われるのは彼がわたしの真の名を知っているから。この世界は源氏物語+ファンタジーで、陰陽道が本当にある。そして、陰陽道はわたしが思っているよりもレベルが高いらしい。この世界において相手の真の名を知ることは相手を操ることができるのだ。わたしは、帝に告げていないのに、彼はわたしの真の名知っていた。それゆえ、わたしは帝に囚われたままなのだ。


ああ、今日もわたしは外に憧れる。

いつか、桐壷更衣のようにしんでしまうのだろうか?





今日も、わたしはがんばって生きようと思います。











______________________________






彼女と俺の初めての出会いは、彼女の前世の世界だった。まだ帝になる前で、次の帝として厳しく陰陽道や礼儀作法、漢籍、和歌を教えられた。もううんざりだったのだ。授業も嫌だし、何より俺に色目を使う大人たちが嫌だった。

そんな時だった。俺の異母兄弟の母親。つまり、俺の母を敵視していた女が陰陽道を使い俺を彼女の世界へと飛ばしたのだ。

まだ幼かった俺はうんざりしていたが、一人は寂しく泣いていた。(俺が周りとは違う服装をしていたりしたせいか)誰も彼女の前世の人間は俺に手を差し伸べなかった。そんな中だった彼女は俺に手を差し伸べ、俺の元の世界にいた時からの孤独感を癒してくれた。そんな彼女に俺は簡単に恋に落ちてしまった。

彼女とかくれんぼとやらをしていた時、俺は父が行った陰陽道で元の世界に戻ってしまった。

とても悲しかった。彼女と引き離されたのが。


しかし、俺は気づいた。大人になって十分な力を得たあかつきに、彼女をこちらに呼び寄せればいいのだと。





月日が経ち、俺は彼女をこちらに呼んだ。呼ぶと言っても、こちらに転生させ、かつ、彼女の運命に俺を深く刻み込んだだけだけどね……?残念ながら再び会った彼女は俺のことを覚えてなかったみたい。でも、さすが、彼女だ。俺の狂気を感じ取ったみたいで俺からいつも逃げようとしていた。俺の狂気を感じ取ったことは褒めてあげれれど、逃げるのは褒められないよ、×××?

彼女に会えない間俺の心は空っぽで、俺が帝になることが決まってからは(というよりも、俺が1番の実力者になってからは)、まるで手のひらを返したように俺にまとわり付くあいつらを見る度に俺は、気持ち悪くなってしまっていた。否、自我がバラバラに崩れてしまいそうだった。でも、そんな時×××のことを思い出せば、俺は自我を保てた。そうやって、俺は彼女なしには生きていけなくなったんだ。




大丈夫だよ、×××。×××が不安に思ってるみたいに、×××の前世にあったあんな作り話のように話は進ませない。くだらない女たちの嫉妬で×××を殺させやしないよ。でもね、×××が俺から逃げたなら、俺はきっと、誰かに奪われるくらいならいっそう……ね?








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― 新着の感想 ―
[良い点] ヒロインのキャラ。 [一言] これ、結局のところ、ヒロインが思い込んでるだけで、源氏物語なんも関係ないですよね(笑)。
[一言] 帝がヤンデレなら、原作でもそうだったけど光源氏はマザコン+ヤンデレが遺伝するかな?帝vs光源氏みたいです!陰陽道があるなら術を使ったりして戦ったり。
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