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裏側

作者: 荻雅 康一

「誰だって試練を迎えるのだよ。生きている間はね。体系的にして乗り越えた人間を誇張して伝聞させりゃ、神の完成さ。精神的な屈辱を創造生物で具体化して、殺させれば、英雄だ。出しなよ、君のかくも恐ろしいドロドロの倒錯した感情をさ」


――悪魔のささやきのような感じだった。身の中に恐ろしいほどに従えざるほどの巨大な暗いうねりが動いた。


「自分を受け入れることが出来ないのかい。己自身の暗闇だって言うのに。耐えるなんて体に悪いんだよ。腐った感情であればこそ、この世界に排出しなきゃ。崩すのは、愉しいのだからね」


――愉快であると感じた。うねりが腹部から侵食するように爪先の毛細血管まで震わした。


「つまらないのは、嫌いなんだね。滲み出てるよ。キミの試練がさ。楽しい怪物を作ろうよ。さあ早く」


――身体が弾けたと思った。全身を小さな爆発のような熱が巡り巡る。しかし、それは異様さを思わせ恐怖を感じるものえあったが、どこか、考えの片隅に快感を覚えた。


「怪物は、気持ちいいはずだよ。なぜならそれはキミだからね。己の闇であって、己の本質を感じるようなとどまらない気持ちよさが有るはずだよ。だから、解き放つ瞬間までその感覚を堪能するんだよ」


――陶酔を覚える不気味な快感だった。されど、指先から脳まで、打ちひしがれる喜びが駆け躍る。声が漏れる。麻薬の感覚であった。


「もうそろそろ。もうそろそろだよ。キミは今、絶頂を迎えようとしているね。安心するといい。その記憶は全身が覚えるからね。怪物を手放しても、消えることのない。至福の極みになるさ。だから、キミは、楽しもうよ」


――止まらない止まらない止まらない。全身が性感帯にでもなったようであった。狂い始める感覚は、立つことも寝ることも許さないような気がした。止まらない止まらない止まらない。



「さぁ、もうすぐだ。キミの自由を待っていたよ。出ておいで、怪物(ヽ ヽ)



――思考が曇る。思考が断線する。思考が潰れる。思考が飛ぶ。飛躍する感覚は、全身が正の感情に冒される。言葉とも声とも言えない叫びを上げる。狂っているのは、自分か彼か。悪魔か天使か。アアッ―――――アアアアアア!


――絶頂は、全てが狂った感覚を思わせ、全身が波に乗るように空を浮かぶように、溶けるような熱量を持って、全ての思考を上塗し、糸の切れた人形のように漂い、落ちた。


「キミハダレ、カイブツデアウ、セカイノハジメニ」


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