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7、男僧侶&女商人

『ふむ、女騎士様はなかなか気持ちの良い女性でしたが・・・


貴族子女様の忠告は一体何だったのでしょうかね?

気になるところですが、今は置いておきましょう。


次に自称勇者が向かうは、同行者繋がりの男僧侶。

彼は神に仕える身、客観的な事実を教えていただけることを期待しましょうか。』

「お話とはなんでしょうかね。説法か何かを御所望でしょうか。」


 

 男僧侶さん、あなたは過去、前任の勇者と共に魔王討伐に行ったと聞いた。


 

 彼の事を聞かせて。




「勇者様のこと・・・ですか。

 

 


 さすがに20年以上も前のことですからね。あまり覚えていませんよ。



 たとえ、2度の旅についていったとしても、記憶とは風化するものです。」



 

 ??


 2度目の討伐以外にも同行したの?




「っ!


 え、えぇ、まあその通りです。



 と、ところでわたしの事はどなたからお聞きになられたのですかね。


 今では当時を知るものは、みな活躍の功績から(ことごと)く出世なさいましたからね。

 お話を聞くだけでも苦労なされたのではないですか?」



 あなたの事は現在、騎士隊の名誉顧問になっている元女騎士に聞いた。


 たしかに昔の勇者の仲間は国王や、王妃といった身分の差、遠くの村みたいな物理的な距離があって、まだ聞けていない人は多い。




「そうですか!ええ、そうでしょうとも。



 でしたら、一つ耳寄りな情報を。以前に城に出入りしていた女商人という方がいらっしゃいましてね。その方ならば我々のような宮勤めの者では知らない事をしておられるのではないかと思います。



 女商人様は今城下にて、万屋(よろずや)を営んでおられるそうですよ。時間がおありでしたら聞いてみてはいかがですかな。



 では、わたしも忙しい身ですので、失礼させていただきます。」



 ・・・そう、分かった。ありがとう。



=======================================



「へい、らっしゃい!」



 あなたが女商人?



「ええ、そうです、どないしました?なんやお探しですか。


 うちの店は生活雑貨からすぐ効く薬!果ては貴族様の黒いうわさ!!なんでもござれの万屋(よろずや)さん!!!


 ここで揃わんかったら、この国のどの店探しても見つからへん!






 な~んてのお店を目指して(あきな)いやらしてもろてますぅ。




 一体何の御用でっかなぁ?


 大口の取引やったら、ほんま喜んで受けさしてもらいますけど。」




 じゃあ、30年くらい前に活躍した勇者の情報はいくらになる?



「・・・なんや、そっちのお客さんかい。


 最近はこの国の情報、買うんら、お貴族様でも有りまへんで?




 しかも昔も昔、更にけったいなゆ・う・しゃ・さ・まの情報なんざ埃かぶってますわ。




 魔物の被害でピリピリしてるから、しゃーないっちゃしゃーないんやけどな。



 けど、なんでうちに来たん?

 あの時の勇者のことやったら、城の連中の方がよお知ってるはずやで?」



 城の人からは勇者が城下に下ってからのことはあなたに聞いた方がいいと言われた。


 

「ちっ・・・誰ぞ売りおったな。」



??



「い~え。なぁんでもありまへん。



 せやね、今さらあんな時の情報なんざほとんど価値あらへんやろうしね、なんぞ商品買うてってや。


 それでうちの知る限り教えたろ。




 あぁ、もちろん店が終わってからにしてや。


 時は金なり、やからな!」



 時は・・・?



「あぁ、これは勇者に教えてもろたコトワザってもんや。


 その通りやと思うやろ?」




 じゃあ・・・これはいくら?


「毎度!100万になります。




・・・・冗談やがな。


 100ぽっきり。



 はい1000のお預かりで900のお返し。



 まったくシャレの通じんお嬢やで、まったく。


 あぁ、それは、しりのヒモ引っ張ったら、音とか中のもんとかがパーン出てくる遊び道具や。


嫌いな奴の眼の前でやったらめっちゃ驚くで!」



・・・じゃ、店が終わったら、向かいの酒場に来て。



「毎度おおきに~。」




=======================================




「儲かりまっか?」



 ???何も商売はしていない。

 それより、来てくれてありがとう。



「ちゃうちゃう!そこは、ぼちぼちでんなぁ、って返してくれんと!!



 まぁ堅気のお嬢ちゃんには分からん世界やな。すんまへん。



 あぁ、これも勇者の言ってた事やな。うちら、商売人の中であまりに定着しすぎて、忘れてたわ。」



 そう、じゃあ、早速その勇者のこ・・・


「あぁ!ちょいまち。


 そんな急がんでもうちは逃げへんて。と・り・あ・え・ず


 おねえさーん!いつものぉ!!あと、強めのお酒もよろしくーー!!」


-はーい!!いますぐぅ!!-



「勇者の事やっけ?


 さてと、まずは何から話そかな・・・



 そやな、まずはうちの事から話そか。


 だいたい25年ほど前になるかな

 そん時のうちはお城の雑貨なんかを都合する行商みたいなことしとってん。


 もちろん、そん時はただの小娘やさかい、大きな商談なんかは任されるわけないから、大口の納品までの繋ぎとか、ちょっとあったら便利かな?なんて品物を中心に、細々と商売させてもろうてたんよ。



 そんなにようけ稼げるわけやあらへんよ。それでも、品物さえ確保できれば生活に困るような商売先とちごたからな。


 安定した稼ぎはもろうてました。





 そんな時や。変な男が近寄ってきてん。



 その男はなんやようわからんこと叫びながらうちに話しかけてきおったわ。


 それがうちと勇者の初めての出会い。

 なんやこっぱずかしいな!!今はやりの、らぶこめ、っちゅうやつやな!え?ちゃう?


あっ、それうちのうちの!ありがとう!


うまそうやろー?ここの飯はほんま旨いからな!


 一時、そう、丁度勇者の居た時代にこの店も荒れたけど、無事に復興したからな。旨い飯は何物にも代えがたいお宝やで。いやこれほんま。




 で、どこまで言うたっけ?・・・出会いのとこまで?



 ごめんごめん。つい横道にそれるのはうちの悪い癖や。

あはは、許したって。



 で、勇者はなんか喚きながら、うちに近付いてきてん!

 もうそん時はドン引きやで。考えてみ?よう知らん男がうら若き美少女にぎゃーすか言いながら近づいてくんねん。



一種の化け物やで、ほんまに。




 まぁ、さすがにお世話になってる人らも()るわけやから、張っ倒す訳にもいかず、嫌々話してん。




 その勇者が言うには、うちの話し方が勇者の故郷でも有ったらしくてな、久しぶりに聴けて興奮したとか何とか言い訳かましとったわ。



 そっから勇者が旅に出るまで、城に商売行ったときに出会(でお)たらちょこちょこ話すっていうんが、うちらの仲やったわ。一回目の魔王討伐に出かけてからは、見かけてへんし。



チョイ待ってや、すんませーーん!!お酒おかわりーー!!




 そんで次に出会(でお)たんが、そう、何を隠そう昔のこの店やったんや。



 大体それまでに4年ほど経ってたから、ぱっと見では両方とも誰か分からんかってん。





 いや、たぶんあの時のうちらやったら、もっと早く出会(でお)てても分からんかったやろな。




 びっくりしたよぉ?酒場で死んだような目ぇして、ボーっとしてるんよ。

昔の、あの叫んだり、喚いてたような元気が一切無かってん。まるで別人やったわ。




 まるでこの世のすべてを憎んでいるようで、それでいて無関心。なんや言葉で上手ぁよお言わんけど、

あんな顔した人間は、魔物の被害にあって全滅した村の生き残りでしかみたことない。



 なにがあったんかはしらんで?そこはうちが軽く踏み越えたらあかん一線やと思てん。

だから、その時に勇者に何が有ったんかは今も一切知らん。




 もしかしたらあんたは知ってるかもしれんけどな、聞く気もないから安心し。





 そう、そんで、死んだような勇者を見かけて、離れて飯を食うててん。


 その時はまだ、今みたいに旨い飯とちごたから、さっさと食うて出ていこうと思たんよ。



 だけどな、ちょうどそん時うちの中の悪魔が囁いてん。

ええ餌が目の前におるぞ。ってな。





 城の中に強いコネを持ってて、信頼はこれ以上ない勇者なんて称号持ち、

 更に魔王討伐で金もそこそこ持ってるはず。これを逃したら商人の名折れや。



 そこまで考えたら、あとはもう突っ走っとった。




 何が有ったかは知らんけども、相手は勇者といえど男や、商売で鍛えたこの口と、身体を使ったら簡単やったわ。下品な話やけどな。

 顔も身体もそこらの女に負けへん程度にある自信はあったしな。




 今でも、そん時の判断は間違ってたとは思うてへん。断じて間違いではなかった。


 あの状況で少しでも欲の有る商人やったら、方法は別にしても絶対に同じ事やってたはずや。過去に戻ったとしてもおんなじことやるで、うちは。



わるいな。お酒ーーーーー!おかわり!!!




 ほんで、それからは勇者の金つこうて、珍しいもんとか、貴族様が欲しがるような商品買い集めて、勇者のコネをつこうて商売しに行ったんや。





 ただ、誤算やったんが、勇者は金のもってそうな貴族様だとかとは縁遠かったみたいでな、しかもなんでか、昔仲の良かった使用人とかからも避けられるねん。


 ちょっと聞いたら、勇者の悪評が立ってたらしいんよ。






 それでも諦めきれへん訳よ。ただでさえ、大金つこて仕入れた商品、売らな大赤字やで。


 そっからはありとあらゆる勇者のコネをつこうて人と会い

会えたら会えたで、うちが強引に取引をこなしていったよ。



 そんな強引な商売は続かへん、な~んて簡単なことに気づけへんかった。





 気づいた時にはもうお城には入られへんようになっとった。うちも勇者もほぼ出禁や。

かろうじて街での商売には支障をきたしてなかったから、自分の事は面倒見れた。



 けど、そん時のうちからしたら勇者なんてただの穀潰しや。魔王もそん時はおらんで、平和やったからな。



 速攻で荷物まとめさせて、追いだしたよ。

 それからの勇者の活躍を知ってさえおったら、そんなアホなことせんと、もっと利用したのになぁ。




ちょいごめんな、おつまみとお酒追加ーーーーーー!!





 いやー惜しいことしたで、ほんまに。


 どないしたん?何か怖い顔してるで?女の子の日でも急に来たん?




 まあ、そのあとはうちも城で商売することはできひんようになってしもたから、そん時のノウハウを生かして、いつでも街で誰かがそれが無くて困ってる。なんてモノを取り扱う万屋(よろずや)を開いて、今まで暮らしてきてん。



 これがそこそこ安定した収入になるねん、そら、莫大な利益になるもんとは違うけど、今の時代やっぱり安定やで。



すんませーんお酒追加ーーーーー!!



 え?それからの勇者?


 知らんなぁ。風の噂やったら魔王を倒すことができずに死んだとか、逃げ出したとかは聞いたけどそんなもんやな。





 どうせ、くっその役にも立たへんかったんやから、せめて魔王倒して平和にしてから消えたらよかったのに。



 そのあとに付き合った、この店の店主の娘もひどい事なった言うし、女を不幸にする星の下に生まれ来たんちゃうか?




 さっきからずっと話してへんけどどないしたん?

はーなーそーやー!!アハハハハハ!!

すんませーん!!!!お酒ーーーー!!!お酒おかわりーーーーー!!早くー!!



なんやぁ?帰るん?まぁ、うちもようけ喋ったし、もう帰ってくれてもいいよ。

ばいばーーーい。またなんか買いに来てな





お酒まだーーーーー!!?」





最後の最後に何故か泥酔させてみた


特に意味は無い


女商人は根っこは自己中、まぁ、商人なんて自分の利益を中心にしてるわけですから、利益主義ってやつです

ただ、それを普段から出してたら商売にも生きていく上でも不利益になるから隠してるって設定を今つけましたww


さて、これでストックが完全に切れたので、モチベが切れるまでは

ちょこちょこ更新していきます


次はこの店の店主と、男僧侶になります

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