2、近衛兵団団長
『またお会いしましたね。
このお話はインタビュー形式。
人は1人1人、何かをはかる定規をもっています。
定規の形が違えば、自ずと捉え方は変わるものです。
今回のお話は近衛兵団団長様が語って下さるようですね。
彼の定規で捉えた前任の勇者はどんな人だったのか?
では、次のお話でお会いしましょう。』
「前任の勇者様・・・ですか?」
そう、なにか知っていることを聞かせてくれない?
「ええ、構いませんよ。そうですねぇ、実は私、勇者様が召喚なされた時に居合わせていたんですよ。
あの時の勇者様の様子は色々な意味ですごかったですねー。」
「もともとは当時の国王様が、魔族の国の王、魔王の及ぼす被害が国の危機として判断なさって、勇者というものに頼ろうとしたのが始まりなのですよ。私は勇者召喚を行う部屋の扉近くで見張りを行っていたんですよ。」
「魔法陣が行使されると鎧色の門が現れ、1人の男が吐き出されたのです。
国王様含む我々が固唾を飲んでいるところ、彼だけがキョロキョロあたりを見回し、少ししたらいきなり叫ばれたんです。」
勇者は何を言ってた?
「何を、ですか。今でも言葉の意味はほとんど理解できませんが、『キタコレ!!テンプレオツ!!!!!』『俺の時代がキタコレ!!これで人生かつる!!』『王様でしょ!騎士でしょ!!魔法陣でしょ!!!剣と魔法の世界に・・キターーーーーーーーーー!!!!!』『勇者召喚とかマジにあるんだ!!パネェ!!異世界マジパネェ!!!!』とか。」
「ひとしきり叫ばれた後、我々近衛兵が我にかえり、その男に槍を向けました。当然、我々は彼が勇者であるかどうか確認できないですからねえ。」
うん、そうなると私も思う。槍を向けられて、不審者扱いの彼はそのあとはどうなったの?
「そのあとは、彼も落ち着き、会話ができると言う事で、その場の皆から事情聴取を執り行いました。
驚くべきは、彼は我々のほとんどの事情を言い当てたのです。魔王が存在し、この国の危機に勇者を召喚したことをですよ。
勇者となられたのちにお話をする機会がありましたので、不思議に思い尋ねたところ、彼の世界にはそのような状況から始まる創作物が多々存在しているので、そのような設定で最も当てはまりそうな状況をあてずっぽうで言っただけだったらしいのですがね。」
「国王様も、彼の雰囲気に呑まれたのか、少々様子がおかしかったのですが、気を取り直され事情を改めて説明し、助けを乞いました。
『魔王なるものが我が国を脅かし、今の我が国に平穏というものは存在しない。魔物や魔族のもたらす被害は甚大。近隣諸国はことごとく滅ぼされ、我が国が落ちるのも時間の問題。どうか力をお貸しください。』ってね。」
「彼は少し言いにくそうに、自分はただの平民であり、戦争なんて難しいし、力があるかどうかも分からない、ただ、自分が力になれるなら、力を尽くそう、なんて言ってくれましてね、ここに勇者が誕生しました。」
「私は当時、ただの近衛兵でありましたので、彼とはその後あまり接触する機会すら持てませんでしたが、彼はこの国の誇る騎士隊に名目上所属することになり、訓練を積み、魔王討伐に向かわれました。」
「彼が勇者となり、数々の武勇伝を成し遂げ、その武勇伝を聞いた時は我が事のように喜び、平和への道を確実に進んでいると士気が高まりました。酒場に行けば、とある村を脅かしていた魔物との立ち回りが噂され、宮廷では支配されていた地が解放されたと喜ばれておりました。」
「しかし、たび重なる魔王の出現にさしもの勇者様も限界が来られたのでしょう。魔王討伐から戻ってこられるたび、憔悴なさり、最後は誰も近付くことができないような雰囲気になられ、いつの間にか忽然と姿を御隠しになられました。」
「これが、私の知る前任の勇者様のお話になります。お役に立ちましたかな?」
最後に、一つ聞きたい事が有る。
あなたにとって勇者はどんな人だった?
「私にとって彼は・・・遠き存在でしたね。気軽に話しかけられる立場におらず、活躍はいつも風の噂、同じ宮廷におられる時も近寄る事ができませんでした。
もし、あの時私が今の様な地位におりましたら、微力ではありましょうが、お力をお貸しできましたのに。」
うん、よくわかった。ありがとう。
勇者はライトなオタクです
次は勇者の設定になるのかな?
では