表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/28

19、男僧侶

『・・・老魔法使いから話が聞けました


 私にも頭を整理する時間が必要でしたが

 女勇者は動き続けます


 彼女はほとんど気づいている気がしますね。


 頑張って     』


「現国王は寝込んだぞ。よしよし、やっぱりあれは毒で間違いないんだ。


 しかし、なぜ女勇者には効かなかったのか・・・」



 毒って何のこと?


「うわぁ!!


 な、なんだ、お、女勇者様でしたか。

 説法を御所望でしょうか?

 しかし、私も少し忙しい身でしてね。

 またの機会にしていた・・・」


 勇者と老魔法使い。



「ひっ!?」



 老魔法使いから旅の話は聞いた。


「な、何の事ですかな?」



 色々な人から話を聞いた。


 その中で、あなたは少しおかしい。


 女僧侶‐王妃‐は人間の国のため、男魔法戦士‐現国王‐は自尊心のため、女騎士‐名誉騎士隊長‐は地位のため、老魔法使いは勇者の監視のため。




 しかし、あなただけは何の目的で魔王討伐と言う危険極まりない旅に同行したのか、同行できたのかが分からない。



「そ、それはもちろん、人間の国のた・・・」


 ウソ。


 それを言い通すにはあなたの実力に疑問が残る。


「わ、私が、弱い・・・と?」



 あなたが旅に参加したのは2回目の旅から。

 その時の戦力的にはもちろんあなたの実力でも十分だった。



 しかし、3回目の旅からは別にあなたでなくてもいいはず、森の民の協力を得られたのだから。

 魔法に関して最強である老魔法使いはずっと同行していても違和感はない・・・もちろん疑問は残っているけれど、話を聞いてだいたい予想がついた。



 けれど、森の民という強力な仲間に比べて、回復役としての役目はあなたでは不足していた。


 それなのに、3回目と4回目に同行できたのは何故?



「わ、わたしは・・・」



 私は考えた。実力不足な回復役が魔王討伐という重大な役目に同行する事でどうなるかを。



 回復役に不備が有ると言う事は、誰が一番損をするか?

 それは旅の仲間。そして、それを率いるリーダーである勇者。



 つまり、あなた、もしくはあなたを同行させた誰かは勇者になにかしらの害を与えたかった。



 そして、あなたを同行させる事ができ、勇者に対しそのような負の感情を持っているのは



「それ以上言うな!!」


 現国王その人。


 違う?



「違う!!

 私はこの国のためを思って魔王討伐に志願し、実力で選ばれた!!」


 殺したいと思っている人間を何故かばうの?



「違う!私は


 私は・・・」



 あなたが同行した事で勇者はいらぬ傷をおっただろう。あなたの力不足でいらぬ不幸がふりまかれただろう。



 そして・・・

 勇者の最後の希望、





 元奴隷娘を殺して、勇者を絶望に落としただろう。



「わた、わたしは・・・」



 老魔法使いの話を聞いておかしいと思った。

 仮にも魔王討伐の旅に2度も同行しておきながら、人一人を増援がくるまで守りきれない?


 いくら不意を突かれたとはいえ、ありえない。ましてあなたは僧侶。


 守りと癒しに関しては旅の仲間の中でも最も得意としていたはず。それが守り切れなかった?



 違う。



 あなたは現国王の命令で勇者を追い詰めていったんだ。


 できる限りばれないように。じわじわと。

 女騎士の策?あんなもの単独ならば必ずばれる。あなたが協力したんだ。


 看板娘が死んだと報告したのはあなたの部下。それはウソだった。

 看板娘は私のお姉ちゃんを産んだ後も生きていた。私のお母さんなんだから。




 そして、3度目の旅で魔族にすがる事しかできなくなった勇者を投獄し、限界まで追い詰めた。


 しかし、実の子供という光を勇者は見つけてしまった。




 そこであなたは魔物の被害と見せかけ殺したんだ。


 お姉ちゃんを。




「そう、



 そこまで考えついたんだ・・・


 すごいよ。僕は絶対気づかれないって思ってたんだけどなぁ。



 けど、勇者の子供を殺してはいないよ?

 いや、直接は殺していないってところかな。


 魔物に不意を打たれたのは本当なんだ。

 その時、僕は身体が固まっちゃったんだ。



 男魔法戦士は僕の幼馴染でさ。昔っから僕は彼に付いて回って、彼は僕の英雄だったんだ。


 だから、彼の望みはできるだけ叶えてきた。

 腕っ節しかない彼がトップに立てるように、頭の切れる副官を育て上げたり、あまりに突出した実力を出しそうな仲間を蹴落としたり。



 そんな風に生きてきたからさ、その時もつい勇者を追いこむように命令されていた僕は、とっさに動けなかったんだ。



 言い訳だって言うのは分かっているよ。

 けどね、僕はこうゆう風にしか生きていけないんだ。



 大人になるっての言うのは、いろんなしがらみが増えていくことだ。

 そんな僕には男魔法戦士っていうしがらみを断ち切ることはできない。



 だから、勇者を追い詰めていった。

 僕は命令されたから仕方なかったんだ。大人ってのはそう簡単に生きていけないんだ。」



 ふざけるな!!!

 あなたのはただの逃げだ!!



 命令されたから!?大人だから!!?



 そんなのは何にも関係ない!!あんたは!いや、あんたたちは<勇者>ってモノが怖くて怖くて仕方なかったから、お父さんを切り捨てようとしたんだ!!


 お父さんが何を成そうと関係ない、切り捨てることで誰にどんな悪影響が出るかも考えずにただ、恐怖心から逃げたいのに、クソみたいな自尊心でにげようとうしないで、お父さんを切り捨てたんだ!!



「だったら、どうしたらよかったんだい!!?


 僕たちは、その時その時最善だと思ったことをし続けてきた。


 そして、現実に今のこの国は平和じゃないか!!



 もしあの時勇者が消えずに残っていたら、きっとこの平和は無かったはずだ!!」



 違う違う違う!!!


 たとえ、勇者がお父さんが、魔族と敵対していても、いろんな人に恐れられていても、絶対に平和は来てたんだ!!



 だって、皆が平和を望んでたんだ!!


 ただごく少数の馬鹿が一人の特異点を認められずに否定しようとしただけ!!たった一人の特異点は確かに目立つけど、それが大局を覆すなんてのはありえないんだよ!!



 お父さんが<勇者>だったから平和になったんじゃない!!人間が平和を望んで、平和に向かって行動したから勝ち取ったんだ!!



 あなたはただ自分が納得できない事を誰かの責任にして、ただ逃げているだけ!!



「だったら、ぼくはどうしたらよかったんだい!!?


 勇者には救いはあったんだ!!王妃様!看板娘!!元奴隷娘!!!



 だけど、僕には救いなんて全然なかったんだ!!

 だから、僕はたとえ納得できない事でもするしかなかったんだ!!」



 納得できない事をガマンして!!

 自分にウソをつき続けて!


 それができなけりゃ大人じゃないって言うんだったら、ガキのまんまで上等じゃない?!!

 人としての道理まで捻じ曲げられるくらいなら、あがいて、もがいて徹底的に戦いぬいて暴れてやればよかったんだよ。



 ・・・それが生きるってことじゃないの!!?



「僕は・・・・」



 私はお父さんに会う。


 あなたが今までしてきた事は絶対に許さない。



 だけど、あなたが今からちゃんと『生きる』っていうんなら・・・




「僕は彼が、勇者が理解できないんだ。


 なんであんな生き方ができるのか。


 何度絶望しても立ち上がれたのか。」




 理解できない事と、理解しようとしない事はまるで別物。



「僕は、僕は・・・」




 お腹が減っていたら何をやってもうまくいかん。


 たらふく食べて、ぐうすか眠って、頭の芯をしゃっきりさせてみれば、また違った波が見えてくるかもしれない。



 そうじゃない?





 ・・・私はお父さんに会う。


 あなたが


 あなたたちがどうするのかはあなたたち自身で決めて。




 じゃあね。







「あぁ、

 あぁ、そうだね。


 僕の逃げはここまでなのか。


 逃げ続ける事はできないって判っていたさ。




 彼に僕の言葉が届くのかどうかは・・・

 やってみなくちゃ分からないね。だって、今僕は理解しようとしてるんだから。






 行こう。」





次は現国王と男僧侶の口論です


なんとか年内に完成させたいものです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ