14、旅立ち・演説
『王妃様が仲間になりたそうにこちらを見ています
王妃様を仲間にしますか?
はい
⇒いいえ ピッ
王妃様を仲間にしないだなんてとんでもない
王妃様を仲間にしますか?
・・・返事がない、了承されたようだ
王妃様は旅支度を整え、魔族との講和の声明を出そうとしている
王妃様は止められない
王妃様は派手なドレスを持ってこちらを見ている
女勇者は逃げようとした
王妃様からは逃げられない
ア--ッ!』
『みなさん!
私たちは過ちを犯してしまいました!
30年前、一人の男が平和をもたらそうと死力を尽くして活躍したのは、
まだ皆さんの記憶にも新しい事でしょう!
彼は確かに平和をもたらしました。
我ら人間の脅威となっていた魔王を確かに、彼は討伐いたしました。
しかし、我々は知りませんでした。
魔王は幾度倒しても、そのたび舞い戻ってきました。
そう、魔王とはただの称号で、幾度倒そうとも、不滅だったのです。
まるで、我々人間の王座のように!!
そして、我々は、幾度も彼を魔王討伐に追い立て!
彼は旅の中で、疲弊し、終には我々の前から姿を御隠しになりました!!
彼は勇者と呼ばれる存在でした。
しかし、彼は徹頭徹尾が勇者という存在ではありませんでした。
彼は一人の人間だったのです!!
そこを見誤り、<勇者>という称号としか見ようとしなかったのは我ら人間の過ちです。
これは贖うべき罪です。
私たちが勇者様を一個人として扱わなかったがゆえに、彼は私たちの前から消えてしまいました!!
これは私たちの罪です!!
・・・みなさん、
このたび、長年の魔王の謎が解明されました。
・・・魔王は!いえ、魔族とは我々人間と変わりの無い<人間>であったのです!!
皆さんが疑問に思うことはもっともです。
そこで、この事を解明し、私が新たな<勇者>と認めた女勇者様から、ご説明をいただきます。」
はじめまして、私は女勇者。
30年前、勇者はいろんな女を愛した。
しかし、彼の安息の地は見つからなかった。
それでも、彼は一つの証をこの世に残した。
私と言う、血脈を受け継ぐ者を、彼はこの世に残した。
私は彼の娘。
そして、今代<勇者>
これは王妃であり、<聖女>が保証する正式な称号である。
もちろん、皆はこれからの働きで評価して。
今の私は勇者という存在ではなく、いまだ自称勇者というものをはみ出ない存在なのだから。
そして、私が<勇者>として皆に認められる第一歩として、魔族との講和を此処に宣言する。
・・・・・・反感を覚えるのは正常。
けど、話を聞いて。
魔族は人間。
森の民を知っている?
彼らも人間。
彼らと私たちとは姿形が違うけど、それは魔力の大小の結果。
魔力の多い人間は長生きすると言うのは民間でも広く言われる事。
現に王妃様は4じゅ・・・・・その年齢の割にとても若々しい。
魔族や森の民は生まれた時から魔力の最大値が非常に高い。
人間でさえ、魔力が大きければ寿命が延びるというのに、それ以上の魔力を持ってしまったらどうなるか・・・
身体が魔力を消費しやすく進化する。
それが森の民の耳だったり、魔族の異形。
そんなことで、魔物は魔族とは異なる生き物になる。
なぜなら、魔物は魔力によって進化した生き物なのだから。
人間と犬が違うように、魔族と魔物は別の生き物。
魔族も魔物の被害が大きく、近年ではその被害は私たち人間の国とも変わらないともいわれる。
証拠に最近、魔族の国が攻め込んできた事はないでしょう?
魔王は無くならない。
なぜなら、彼らは王が居なくなれば、新たな王を立てるから。
そのようなモノを分かっていながら、滅ぼそうと言うのは愚の骨頂。
よって私は<勇者>として、<人間>を救う第一歩としての講和を魔族の国に申し込む!!
これは王妃様も認めた、正式な決定だ!!
魔族に家族を殺されたものもいるだろう!
村を滅ぼされた者もいるだろう!
しかし、私は<勇者>だ。
皆を守る役目がある。皆の最大公約数の幸せを見つけるために我々の考えた講和を受け入れてほしい!
彼らも魔物の被害に苦しむ<人間>なのだから!!
「そうなのです!!
彼らは人間なのです!
人間同士がいがみ合い、その隙を魔物に狙われて、家族や国を失うなんて、悲しいではありませんか!
私たちは手を取り合えるはずです。
過去を乗り越えられるはずです。
分かりあって、認めあえます!!
なぜなら、私たちは同じ人間なのですから!!!」
私たちは明日、魔族の国へ和平の使者として出発する。
心配しなくてもいい。
あなたたちの愛する王妃様は私が<勇者>の称号にかけて、必ず守る。
そう例え・・・ 【炎の槍よ敵を討て・ファイヤーランス】ゴウッ!
こんな不意を打たれようと!!!
「ありがとう、女勇者様。
下手人は既に割れています!!
安心していてください!!このような愚かな真似をする人間はすぐに皆の前で罪の裁きを受ける事でしょう!
私たちは、必ずあなたたちに今以上に豊かな生活と、安心と安全をもたらします!
これを裏切るような事は一切ありません!
たとえ、魔族であっても、人間である以上、安心と安全は尊いものであるという意識は同じなのですから!」
私たち<勇者>と「<聖女>はあなたたちを平和へと導きます!!」
===============================
疲れた・・・もう二度と演説なんてやりたくない。
「うふふ、あぁ言うのは、身体的な疲労感とは全く別物ですからね。
けど、魔族との講和を終えたら、もう一度お願いしますわよ?」
あうぅ・・・
「さしもの女勇者様もダメダメですね。
ところで、あなたは私以外の同行者は考えていますの?」
・・・今のところ、森の民から一人一緒に連れて行きたい人が居る。
「森の民・・・
いいですわね。
魔族も、森の民も同じ人間であると宣言した以上、彼らだけをこの講和の件で仲間はずれにする訳にはいきませんからね。」
あと、老魔法使いと男僧侶。
「彼らは・・・
一体なぜ彼らを選ぼうと思ったのかしら?」
勇者との旅に幾度も同行した彼ら、魔族からは恨みが有るかもしれない。
けれど、その旅で出来た繋がりは魔族との講和を行う上で出ると予想される反発、これを解消する為に役立つはず。
「それなら、彼らには国に残ってもらって、そのように働いてもらったらいいではないですか。
・・・本当は勇者様の事を聞きたいのでしょう?
彼らからはお話を伺えていないのでしょう?それは是非とも聞きたいところでしょうねぇ。」
ムッ、それも確かにある。
だけど、それだけじゃない。
老魔法使いは魔物討伐で会えてすらいない。
ただ、男僧侶は何かお父さんの件で何か隠している。
この前何度も話を聞きに行ったのに、全部はぐらかされた。
「魔物討伐?あの方にそんな任務与えるかしら・・・?
男僧侶・・・
何かありそうね。」
・・・あなたもしらないの?
「私は確かにこの国に関して知らない事はほとんどないわ。
でもね、その情報は勇者様がいなくなる数年前から位のものよ。
だから、勇者様の旅でも最初の10年弱は私はほとんど知らないわ。」
そう・・・
「大丈夫。
講和が成立するまでは大人しくさせるように、私の側近たちに言付けておくわ。
講和さえ成せば、何か企んでいようとも実行に移すだけの余裕なんか無くなるわよ?うふふふ」
何を考えてるの・・・?
「内緒よ。
だけど、この国、ひいては、人間のためになる事だから、安心してちょうだい。
一言で言うなら、ゴミ掃除と整理整頓よ!」
今の私にはあまり、関係がなさそうだから、聞かないでおく。
「えぇ、そうしてちょうだい。
とにかく、彼らの事は置いておいて、仲間の候補は森の民の人間だけでいいのね?
なら、旅の工程はまずは森の民の集落の有る北、その次に魔族領の有る東ね。
寄り道はあまりしないように心がけましょう。」
寄り道なんてした覚えはない。
・・・意図した覚えのない場所に着くことはあるけど・・・
「クスクス。えぇ、そうね。
さぁ、明日は早いわ。準備もあるでしょうから解散しましょう。
さっきの演説のせいで、買い物も人苦労しそうだから、人ごみには気をつけてね。」
・・・あの襲撃
「うん?」
あの魔法の襲撃はあなたの仕込み?
「・・・いいえ、違うわ。
いくらなんでも、私はあんな事をして国民の人気取りなんてしないわ。
あれは恐らく、男魔法戦士、現国王の差し金よ。
新しい<勇者>の出現で過去の劣等感が刺激され、私やあなたが自分の思い通りに動かないのが気に食わないのよ。
しかも、魔族との講和なんてあの男からしたら、理解の範疇外。
今のあの男には私たちは魔族の手先か、自分の既得権益を脅かす政敵にしか見えていないんじゃないかしら?」
そう、それも気をつけなければ。
「あなたは警戒する必要もないでしょう?
すでにあの男のお抱え暗殺者(笑)を何事もなく、何度も撃退してるのだから。」
それでも、警戒はしておいて損は無い。
じゃあ、旅の準備にいってくる。
「いってらっしゃい。
・・・そう、あんな男に何か戦力なんて持たせるわけがないわ。
それなのに、何故あのような強力な魔法を使えるような手練が・・・
男僧侶と男魔法戦士は幼馴染だったわよね。
今まで男僧侶には無警戒だったけど、それも見直しましょうか。
あなたの道の障害は私が取り除いて見せる。
だから、あなたは是非とも彼を見つけてね?
私はあの方に一度たりとも謝れていないのですから。」
国の皆に所信表明です
これはしないと、いきなり、講和!なかよくしてな!!
なんて通らんですよ。
細々としたイメージアップや受け入れ体制を整えるのは
王妃様直属の部下さんたちですがww
彼らはモブすぎるので、どんなことをして魔族との
講和を国民に受け入れさせるのかは割愛
まぁ、そんなことを考える頭が無いっていうのが本音です。
次は森の民の集落で仲間を拾います
そう、あの人、森の民・女です
ではまた次回




