13、王妃・過去
『おひさしぶりです
前回は王様がごちゃごちゃぬかしてる間に、王妃様から
正式に勇者を名乗る事を許されて、寝室に誘われちゃいましたねww
・・・残念ながら、彼女たちには百合の花は咲かないですよ?
えぇ、咲きませんとも!!これはGL注意なんてモノではないのですから!
こほん・・・
今回は王妃様からお話を聞きます
彼女の語る勇者はどのような人物なのか
そして、王妃様が語る勇者を聞いて、女勇者はどうするのか
私はきっと頑張ると思いますよ?
がんばって、ふんばって、歯を食いしばってでも、彼女は頑張ると思います
そんな彼女は救われるでしょう
ではまた近いうちにお会いしましょう』
「・・・いらっしゃい
遠慮せずともよろしいのですよ?
さぁ、私の近くにいらっしゃい。
何も怖がる事はありません。あなたは<勇者>なのですから
ふふふ。王妃たる私をこんなに濡らすなんて・・・
本当は不敬モノですよ?いけない子ね。
あなたのせいで、こんなにぐしょぐしょに濡れてしまいました。
もう待ちきれないわ。
はやくいらっしゃい。というより・・・
早く入って来てー!!
天窓から雨が入って寒すぎます!!!」
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「全く、不意打ちにも程が有ります。
いきなり天窓が開いたと思ったら、不気味な顔が見えるのですから。」ブツブツ
入ろうとしたら着替え中だった。
着替えを待ってる間に雨まで降ってくるし、全く災難。
「それはこっちのセリフです!
女同士なのですから、そこまで気にせずともよろしいでしょう!
というより、裏門に行けば、私の手の者が待機しておりましたのに・・・」
・・・逆転の発想か、やりますね。
「あなたが非常識なのです!!
いくらなんでも、王族の部屋の屋根の上に昇り詰める者がいるとは思いもしません!!」
あなたにできない事をやってのける。
ここにしびれて、憧れてもいいよ?
「しびれません!!
まぁ、いいわ。そこのあなた。
扉の前の見張りに裏門に行かせてちょうだい。
それで今日の業務は終了よ。
今日は『勇者様』がいらしてるのですから、安全の面は万全よ。」
・・・ずいぶん信用してる。いいの?
私があなたを害すかもしれない
「その時はその時よ。
私は
いえ、私たちはあなたに復讐されても仕方ない位の事をあなたのお父様に
勇者様にしでかしてきたのですから。
私を害す権利はあなたにはあるのよ。」
・・・国を持つ王族とは思えない言葉。
「私はこの30年近く、やれるだけの事はやってきた自信が有るわ。
法整備はしたし、国民の安全と衛生、食生活から始まる生活の充実、その他にも一杯!
既にこの国は私と王が居なくても、自力で生きていけるほど。
国の象徴と、不備が見つかった時のために、私が教育した養子もいますから。」
子供はいないの?
「あんな男の子供なんて誰が産んでやるものですか!!
この国はお父様が育て、勇者様が守った国!
あんな間男なんかに国の象徴たる王の血を欠片足りとも渡しはしません、ええそうですとも!!」
わ、わかった。わかったから落ち着いて。
「あ、あら。 ごめんなさい?
勇者様のお子が居ると言う事が分かってからというもの、少し調子が上がり過ぎているようです。
年甲斐もなくはしゃぎ過ぎるのは少し、みっともないわね。40も半ばに来てお恥ずかしい所を。」
40半ば・・・どうみても30前半 ボソッ
「あら、嬉しい事を言って下さるわね。
これは恐らく、勇者様と旅をしたときに無理をして上げた魔力の弊害ですわ。
魔力が高いほど、長生きであるというのは最近分かった事です。
いつか勇者様が帰ってきて、私を娶って下さる事を夢見て、若づくりに励んだ甲斐が有るってものです!
あなたもおそらく、あと10年ほど生きたら分かりますわ。
お肌の曲がり角が気にならないって素晴らしいって!!」
・・・勇者の
「うん?」
お父さんの話をしてくれるって言ってた。
「・・・」
お母さんはどれだけお願いしても、簡単な事しか話してくれなかった。
お父さんはどれだけ、恰好良くて、素敵で、優しくて、自分にとっては王子様だった。そんなことばかり・・・
わたしは!!そんな表面だけじゃなくて、もっと知りたい!
お父さんは何をして!
何を見て、何を聞いて、何を思って、誰と過ごして、どうなったのか全部!!
全部全部全部!!
・・・知りたいって思っちゃだめですか?
家族の事を、私にとってはお母さんともう一人だけの家族を知りたいって思うのはダメなの?
誰にも渡したくないっておもっちゃダメ?
「・・・いいえ、ダメじゃないわ。
ごめんなさいね。あまり、焦らしすぎたわね。
それに冗談にしても言ってはいけない事だったわ。
少し落ち着いたら、話しましょう。
私が知っている全てを。」
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「あれはもう30年以上前になるのかしら。
私たち人間の国は魔族の国の侵攻に苦しんでいたわ。
魔族は人間よりも強靭で、魔物は人間を見境なく襲ってきた。
そんな中、父、その時の人間の国の王が勇者を創り出そうとしたの。
何より強靭で、何より強く、そして、なにより伸び代がある存在<勇者>を。
私たちにはもうそれしか残されていなかった。
我々のような王族や貴族といった立場が上の者だけにその旨を知らされ、勇者創造は実行されたわ。
結果は失敗。だけど、代わりに異世界【チキュウ】から一人の男が召喚されてしまった。
いったい何が起こったのかは、今でも分かりません。
ただ、結果として、勇者創造によって現れたモノです。
王はダメ元でその男を勇者として仕立て上げるように命令しました。
しかし、彼はこちらの想像を上回って、勇者としてふさわしくなっていきました。
気さくに話し、誰かが困れば手を貸し、慢心することなく訓練する、そして、なにより良い結果を出す。
彼を勇者と呼ばずに誰を呼ぼうか、と称されるようになりました。
そして、半年もせずに国でも一番の腕となり、魔王討伐に旅立とうと言う事になりました。
私はお父様を無理やり説得し、なんとか同行する事が出来ました。
どうせ、勇者様が失敗すればこの国も後が無いのです。それならば、僧侶として最高の実力を持つ私を連れて行かずに誰が行くのです。
と。
そして、この国で一番の僧侶として私、一番の魔法使いとして老魔法使い、勇者がくるまで最強とされていた男魔法戦士、この4人で旅立ちました。
旅は辛いものでしたが、それでも充実していました。
困っている民が居れば助け、近くに魔物の被害が出ているならば飛んでいき、
珍しいモノが見つかったと聞けば少し遠出をし
人のために動きながらも、自分たちのために動く。
あの時は今までの中で一番輝いています。
そんな中、私と勇者様は互いに惹かれて行きました。
知っていますか?旅や、命の危機の興奮は恋愛感情に繋がりやすいのです。
そして、魔王を倒し、国に平和をもたらしたその時は、結婚しようとまで・・・
思えばあの時が一番幸せでした。」
なにが、
あったの
「旅の途中に私は隙を見せすぎたのです。
そして、あの男の心を慮る事が出来なかった。
わたしたちの旅も半ばを過ぎ、終わりが見えたところで、私は
男魔法戦士に穢されてしまったのです。
あの男は国でも最強を謳われていたにも関わらず、勇者にその座を奪われ、
更に私たちの仲を知って、プライドをズタズタにされたと喚きながら私を犯しました。
出世欲にとらわれ、そして、その欲を叶える腕を持ってはいましたが、王座というものが誰とも知らない異世界人に奪われるというのが、我慢ならなかったのでしょう。
この国で女の初めてを奪われると言うのは死ぬ事よりも屈辱で恥辱で、何よりも罪なのです。
次の日から私は勇者様に合わす顔が有りませんでした。
異世界人である彼ならば、もしかしたら受け入れていくれるかもしれないと思いながらも、打ち明ける勇気が出せませんでした。
もし拒絶されたら、と言う恐怖がぬぐえなかったのです。
そして、私たちは旅の中でも余所余所しくなり、魔王討伐に成功した後も言いだせず、心が晴れる事はありませんでした。
この結果として生まれたあなたには悪いですが、もし、この時に言い出せていたならば、彼は後の災難のほとんどを被ることもなく、幸せになれたかもしれません。
魔王討伐の知らせを送り、凱旋したときにはもう既に手遅れでした。
私たちが凱旋したら、そこかしこで祝いの声が上がっていました。
長い間苦しめられてきた相手を倒し、これからは平和になる、と皆が信じていたのです。
浮かれる事も道理、もしかしたら、この空気の中でなら勇者様ともまた以前のようになれるかもしれない。
そんな事を考えていたからです。
私は祝いの声の中に紛れる噂を聞き逃してしまったのです。
王女の婚約が決まったと言う。
私たちが城へと着き、祝いの会として国民も皆が集まっている中、お父様がいきなり私の婚約を発表したのです。
それもあの男魔法戦士との婚約を。
あの時ほど私は人を恨んだことも、自分の馬鹿さ加減に歯噛みしたこともありません
あの男は旅で私たちが不在なのを良い事に、旅の報告書をねつ造していたのです。
勇者様の活躍を入れながらも、自分の事を巧みに売り込み、更に勇者様の世界の知識をさも自分が思いついたかのように、国政への進言として通していたりしていたのです。
国元にあの男の手のモノがいて、玉座強奪を共にたくらんでいたのでしょう。
私たち位の高い者というものはメンツをつぶされてはいけませんし、自分より位の高い者のメンツも潰してはなりません。
そして、それが国王の声明ともなれば、無暗に撤回する事もできません。
こうして、私はあの男に純潔どころか、玉座まで奪われてしまいました。
勇者様は私を信じられないモノを見るような目で見た後、何も言わず、私の下から消えてしまいました。
あまりよろしくない目をした貴族子女が勇者様に近付いて行きましたが、私は何も言う資格が有りませんでした。
それからの勇者様の事は噂と報告でしか知りません。
彼は私の前に現れる事はなくなりましたから。」
国王の権力でなんとかできなかったの?
「お父様にも、もちろん相談しました。
しかし、私の婚約を発表したと同時に玉座を降りると宣言してしまいました。
老いてきた自分は後任の育成に努め、次の国王を支える事に決められていましたから。
それほどに、異世界からもたらされた制度や発想というのは魅力的でした。
そして、それを自力で思いついたと嘯いた男魔法戦士も。
事実、その発想は我が国を豊かにしましたから、私たちも表立って彼を糾弾することができませんでした。
王女たる私が穢されたなどとは父以外には口が裂けても言えませんでしたしね。
そこから私たち親子はあの男の好きにされないように権力を持たせず、ただの象徴としてだけで国が機能するよう邁進しました。その結果が今私たちが安全に話せているこの状況よ。」
それからのお父さんはどうなったの?
「先ほども言った通り、私の下から去ってしまったため、噂と報告しか知らないわ。
その中で勇者様は波乱万丈の生き方でしたわ
貴族子女様に利用され、2代目の魔王を倒し、女騎士に騙され、商人女に捨てられ、
看板娘は手の届かない所へ、魔王にまで裏切られて、森の民でも安らげず、
時には勇者としての力を疎まれ拘束された時もありました。
それでも、彼は私に裏切られたと去った後、安息の地を探し続けました。
しかし、勇者様は最後まで安息の地を見つけることは有りませんでした。
5代目の魔王が現れ、彼は今までにない苦戦をし、勇者として培ってきた力を失い、
国で少し過ごした後、彼の姿を見た者はいません。」
最後に国で過ごした時にできたのが・・・私
「ええ、そうよ。
言葉は悪いけれど許してね。
その時、彼は信じてきたものに裏切られ、陥れられ、全てを憎んでいたはずよ。
そんな彼が最後の手段として、色を売る女へと行ったのは当然の事よ。」
お母さん・・・
「そう、それが最後に勇者様と過ごした人。
あなたのお母さんよ。
しかし、何故か彼はあなたのお母さんが色を売る仕事を辞めてすぐに姿を消してしまったわ。
彼の気持ちは分からないけれど、これが彼の歩んだ軌跡よ。
これを知っても尚、まだ<勇者>を目指し、勇者様を探す事は諦めませんか?」
私は、小さいころから強かった。
力自慢な大人にも負けないくらいに強かった。
何でこんなに強いのかをお母さんに聞いたら、お父さんの事を教えてくれた。
それから私は<勇者>を目指してきた
私のいままでは<勇者>だけだった
私は<勇者>しかしらない
だから、何が分かっても、失望しても、見直しても、私は<勇者>を目指す事は諦めない
諦められない。
「・・・そう、分かったわ。
あなたの道は恐らく険しいわ。
勇者様の時ほどではないでしょうが、きっと簡単には行かない。
<勇者>として認められても、あの人を見つけることは不可能に近いわ。
私たちもこの15年、見つけようと思わなかった訳ではないのですから。
そのような道、あなたはいったいどうやって歩んでいくの?」
まずは皆に<勇者>として認められるために、魔族との講和を執り行う。
魔族と人間、森の民という違いは魔力の過多でしかない事、これを発表するだけで反感は今より少なくなる。
そして、魔物という共通の敵に対する意識で、<人間>として共通意識を持たせる。
「そう、魔力と魔物・・・ね。
ええ、いいわ。
あなたがその様に行くと言うのならば、私はそれが上手くいくように支援します。
あなたはあなたの思うように進みなさい。
私の助力など受け取りたくないでしょうが、受けなさい。
それが何よりの近道となるはずよ。
受け取ってくださいね。」
分かった。
これからはよろしく。
明日、魔族の国に行って講和の事を伝える。
今日はこれで失礼する。
「・・・ねぇ」
??
「誰かお伴とかはいないの?」
いない、いても私についてこれない。
「そう、なら、魔王を討伐した者なら同行できないかしら?
旅慣れしているし、あなたについていく事は出来ると思うわよ?」
もしかして、それは老・・・
「そう、そうよ、王城にこもってばかり
市井の意見を聞くために城下に降りる事はあっても、国を離れる事は出来かったわ
これは良い機会だわ!そう、講和するというのなら、裁量権を持った人間が同行した方が話は早いわ。
そう、これは彼女が<勇者>となる手助け!
けして城から出てみたいなーとか、あの屑王から離れてみたいなんて考えてないわ。
だから!私も連れて行ってね!勇・者・様♪」
先行き不安・・・
王妃様は基本的にエネルギッシュな女の人です
ただ、年齢と立場で自制できているだけで、
たまに、はっちゃけますwww
数日ぶりの投稿でした!
これからも2,3日ごとの更新になります。
ではまたノシ




