閑話・自称勇者・その他
『人間の国では一つの流れが出来上がりましたが、
その他のところでは、どうなっているのでしょうか
自称勇者が及ぼした影響をご覧ください。』
7、魔王
『彼女が出会った初めての魔族
あの時は、なかなかいい雰囲気だったと思いませんか?
私は彼との仲なら応援しちゃいますよ。
最も、自称勇者の彼女が色恋に聡そうには見えませんがね。
「そんなことしてるひまがあるなら勇者になる」なんて言いそうですし。』
「今日、勇者に会ったよ。
って言っても、自称だったんだけどね。
こんな時期に人間がくるなんてびっくりしちゃってね。
つい僕が直接行っちゃったんだ。
でも、よかったと思ってる。
あの子は可愛かったからね。
・・・冗談だよ。でも、可愛かったのは本当。歳は人間の基準で言うなら15くらいかな?
ちょっと大人びて見えたけど、きっとそのぐらい。
だって、勇者であろうと背伸びしてるのがほほえましくてさ。
けど、魔族だって初見で見破られたのはびっくりしちゃった。
僕は魔族でも珍しい人型の魔族なのにね。
気配の消し方が雑なんだって。
そんなこと初めていわれちゃった。
魔力に関しては、自信があったのになー
あの制御能力はすごいよ。きっと彼女と戦ったら、僕が負ける。
まぁ、戦う気もないけどね。
あの出会いはきっと魔族にとって、ううん、きっとこの世界にとって大事なことだったんだ。
だから、さ。
そろそろ動こうと思うんだ。
準備はもう十分できた。それになにより、あの子と会えた。
きっかけも十分。
見ててよね、きっと世界は平和になるから。
してみせるから。
二人が望んだ世界を作って見せるから。
待っててねお父さん、おねえちゃん。」
8、森の民・男・女
『彼女たちは勇者が壊した一つのモノ
きっと勇者でなくても、ヒトは何かを壊して生きている。
それと同じくらいに作っているけど、壊れたものだから大事。
そんなモノだからこそ、忘れらないのかもしれない。』
「なあ、やり直そうぜ。
あいつにやられたことなんて、俺は気にしないって前々から言ってるだろう?
俺にはお前が必要なんだ。
頼むよ。俺を見捨てないでくれ。」
「あなたとはもう、終わったんです。
それはもう以前の勇者様がこの村に来る前から決まっていた事でしょう?
あなたがなんと言おうと、あなたが過去に私を捨て、この集落を捨て、全てを捨てて、別の集落へ渡って行った事は変わらない。
今よりもっといい生活ができるはず、なんて言って、引きとめる私を捨てたのはあなた。」
「それはお前のためを思ったからだろう?
普通の生活、普通の暮らし、普通の人づきあい。
こんなものの何が面白いんだ。
俺はお前のために、出て行ったんだ。」
「私がいつあなたにそんな事を望みました!
私は普通がよかった!!
普通に恋をして、普通に生きて、普通に年をとって、そして
愛した人と共に過ごして生きたかった・・・
そんな私を捨てて、今さら何を言ってるのよ。」
「お、俺は!!
お前のためを思って変わろうとしたんだ!!!
全てお前のためだろうが!!
俺はあの集落に行って、全てなくした!
すべてなくして、お前のために変わった!
だから!!!
お前も俺のために変われよ!
お前は俺のものだろうが!
お前は絶対に渡さない。あんな勇者なんていう屑には絶対に渡さない!」
「あの人を悪く言わないで!!
あの人は私を救ってくれた!
自分がどれほど傷ついていても私を気にかけてくれた!
あの人は過去にどれほど傷つけられたとしても、それでも私を愛してくれた!
なにより、普通の男の子で!傷つきやすくて、楽天家で!
ただ、勇者の力を持っていただけで!!いろんな人に傷つけられても、まだ信じて・・・
私が一番欲しかった、普通の幸せを
あの人は私にくれたのよ!!
そんなあの人を馬鹿にする資格なんてあなたには無いでしょう!」
「あいつはあぁぁ!
そんなお前を捨てて!!
逃げただろうがぁ!!」
「それは、あなたが、あの人をそそのかしたからでしょう?!
弱ったあの人に、ある事無い事吹き込んで、私と居る事をできなくしたのはあなたでしょう!!?」
「それがぁ、どうしたぁ!
あいつは屑で!悪魔で!、人間の中のゴミなんだぁ!
だから、あいつが奪った俺の女を取り返して何が悪い!!」
「・・・もういいわ、出て行ってちょうだい。
もう、何も話せる事はない。」
「お前になくとも俺には・・・
なんだ、離せ!俺はまだあいつに!
離せ、俺の女だぞ!
お前も俺から奪うのか!殺してやる!
お前は俺のモノだ!絶対にあきらめないからな!!
今に見ていろ!勇者ーーーー!!!!」
「・・・どうして、
どうして、こうなったのでしょうか。
勇者様」
9、南の村・夫婦
『女騎士によると、彼らは勇者を裏切ったとされた薄情者
しかし、前の女騎士の様子からすると何か隠された事があったのではないか。
そんな風に思えてしまいます。
人の定規は歪なもの、正しいものが間違いで、間違ったものが正しいと。
彼らは自称勇者の出現に何を思うのか。』
「ただいま、今帰ったよ。」
「お帰りなさい、あなた。魔物は大丈夫だった?」
「あぁ、最近はこの近くで魔物の被害が増えているけど、運が良かったのかな。
一度も出会わなかったよ。」
「それは良かった。国下での商売は上手くいったの?」
「そっちもばっちりさ。
最近になって、勇者を名乗る人が現れたらしくてね。
国下では近いうちに開戦か?なんていう噂が流れててね。
持っていったものは全部売れちゃったよ。
皆不安なんだ。戦争も魔物たちも、全てが怖いんだよ。」
「勇者・・・」
「あぁ、ごめん。
勇者って言っても昔の勇者って訳じゃないよ。
なんでも18歳くらいの女の子だそうだ。
昔の事を思い出させちゃったね。ごめんよ。」
「いえ、
今はもう気にしていないからいいのよ。
でも・・・」
「でも?」
「あの時、勇者様は何故、私を受け入れておきながら、そのあとに何も言わずに捨てたのかしら・・・」
「お前・・・」
「だっておかしいじゃない?
あの人の活躍はこの村でも聞こえてきたし、私はあの人と直接何度も会ったわ。
噂の中で、彼はまさに勇者その者だったけど、私が会ったのは普通の優しい男の子だったわ。
そんな彼が、いくら他の人を好きになったと言っても、手紙までも無視するなんて・・・
なんだか、イメージと合わないのよね。
何か私の知らない事が有ったのじゃないか、ってたまに思っちゃうのよ。」
「・・・」
「あぁ、ごめんなさいね。
別にあなたの事を悪く言ってる訳じゃないの。
ただ、あれは、あの出会いはまさしく白馬の王子様みたいだったから。
あの時、乙女だった私には印象が強すぎただけ。
今はあなたといることが幸せなんだから。安心して、あなた。」
「そうか、
たしかに、あの人は普通だったよな?
力以外は。」
「プッ
それが無ければ彼は勇者じゃなくて、只の男の子ですよ。」
「そうだね。勇者の噂は全く聞かなかったけど、彼は普通の幸せを手に入れられたのかな?」
「そうだといいですね。
さぁ、今日は肉じゃがですよ。」
「おっ、彼の好物かい?」
「クスクス。あなたも好きじゃないですか。」
「そうだね。よし、じゃ、すぐ荷物は片付けるよ。」
「ええ、準備しておきますよ。
勇者様、私は今、幸せですよ?
あなたは今
幸せですか?」
『これで、自称勇者の与えた影響編はお終い
新たな事実がわかりましたね。
この事実を自称勇者が知る事になるのはいつでしょうかね。
これで私、天の声視点のお話はお休みです。
もし、また機会があれば、ここでお会いしましょう。
え?自称勇者が私に与えた影響ですか?
ここにあるじゃないですか。
私が今、存在していられるのは彼女のおかげ、
私の存在自体が、彼女の影響なんです。
・・・ちょっと話しすぎましたね。
では私は進行役の天の声ちゃんに戻ります。
またお会いしましょう。』
閑話終了です
次からは自称勇者活躍編
実際に彼女が勇者となるべく動き始めます。




