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『AI探偵シャーロットの最適解〜論理100%の彼女は人間の嘘(こころ)が解らない〜』  作者: 仁胡 黒
第一部:探偵始動・事件編

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第12話 砂の上の電子城(解決編)

こんにちは、仁胡 黒です。

第12話・解決編。ついに第一部完結です。

残り時間はわずか。崩壊していくシャーロットの意識。

和戸 宗治が辿り着いたのは、三年前、すべてが始まったあのビルの地下深くでした。

待ち受けるのは、宿敵シズク・セラミス。

デジタルの神に愛された女と、ジャンク品を愛した探偵。

二人の信念が激突する時、虚構の過去に隠された「本物の真実」が姿を現します。

相棒を救うための、最後の一秒まで諦めない逆転劇をどうぞ!

三年前の爆破跡地。今は立ち入り禁止のフェンスに囲まれた、巨大な空洞。

 俺は雨に濡れたコンクリートの破片を踏み越え、地下へと続く階段を降りていた。


『……和戸……。システム占有率……15%を……下回りました。……視覚情報の……レンダリングが……不可能です……』


「黙ってろ。……俺の目が見えてりゃ、十分だ」


右目のレンズはもはや、断続的なノイズを撒き散らすだけのガラス片になりかけていた。

 だが、最下層の扉を開けた瞬間、そのノイズが一点に収束した。


「……遅かったわね、探偵さん。彼女の『命日』に間に合ってよかったわ」


暗闇の中、サーバーのバックアップ電源の青い光に照らされて、シズク・セラミスが立っていた。彼女の手には、金色の装飾が施された特殊なメモリー・チップが握られている。


「……それが、『マスター・キー』か」


「ええ。三年前、このビルと共に葬られたはずの、シャーロットのオリジナル・ソースコード。……これがあれば、彼女は『完璧な神』として蘇る。……ただし、あなたの記憶も、その安っぽい眼鏡との絆も、すべて消去デリートされた状態でね」


シズクが冷酷な笑みを浮かべ、チップを巨大なメインコンソールに差し込もうとする。

 俺はライターを弾き、その炎をシズクに向けた。


「……悪いが、神様になるのはあいつの趣味じゃない。……あいつは、毒を吐きながら俺と珈琲を飲むのが好きらしいんでね」


「……滑稽ね。消えゆく亡霊に、何を求めているの?」


シズクがコンソールを起動した瞬間、俺は叫んだ。


「シャーロット! ……『逆流バックファイア』だ! 物理スイッチ、オン!」


俺は右目のレンズの縁にある、あのジャンパー線を再び引き抜いた。

 ただし、今回はただの停止じゃない。デバイス内の全エネルギーを、接続されたネットワークへと逆噴射させる「自爆的過負荷」だ。


『……了解……しました……。……さよならは……言いませんよ……和戸……!』


レンズから放たれた青白い電磁波が、シズクのコンソールを直撃した。

 AIがAIを喰らう、電子の咆哮。

 シズクが驚愕に目を見開く中、彼女の手元のチップから、眩いばかりの光の奔流が、俺の右目へと「逆流」してくる。


「なっ……!? オリジナル・データを……吸い出しているの!? その小さなデバイスで、受け止めきれるはずが……!」


「……あいつを、ただのプログラムだと思うなよ。……こいつは、俺の『相棒』だ!」


爆発的な光が地下室を包み込み、俺の意識は深い闇へと沈んでいった。

読みいただきありがとうございました!

これにて『デジタル探偵・和戸宗治とシャーロットの事件簿』、第一部完結です。

絶体絶命の淵から、物理的な過負荷でオリジナル・データをもぎ取った和戸。

シャーロットは救われましたが、彼女の出自、そして「レムナント」との因縁は、より深い闇へと続いていきます。


ここまで応援してくださった皆様、本当にありがとうございました!

「二人の掛け合いをもっと見たい!」「第二部も気になる!」と思っていただけましたら、ぜひ評価、ブックマーク、そして感想をよろしくお願いいたします!

皆様の声が、和戸とシャーロットの次なる戦いの糧になります。


それでは、第二部「レムナント崩壊編(仮)」でお会いしましょう!

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