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『AI探偵シャーロットの最適解〜論理100%の彼女は人間の嘘(こころ)が解らない〜』  作者: 仁胡 黒
Phase 3:【拡張・廃墟都市編】

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第6話 電子の深淵に潜む影(前編)

こんにちは、仁胡 黒です。

九条との知恵比べを制した和戸 宗治でしたが、その活躍が皮肉にも裏社会のハイエナたちを呼び寄せてしまいました。

今回の敵は、正義も法律も持たない「略奪者」。

強力なジャミング(電波妨害)によって、シャーロットが眼鏡という狭い檻に閉じ込められる絶体絶命の危機。

新宿の地下駐車場で待ち受ける、謎の女の目的とは……?

「……おい、シャーロット。さっきからつけられてるな」


新宿の雑踏。ネオンの光が雨に濡れたアスファルトに反射し、毒々しい色を撒き散らしている。

 俺はトレンチコートのポケットに手を突っ込み、人混みに紛れながら背後の気配を探った。


『肯定します。後方に二人、および進行方向のビル屋上に一人。いずれも軍用レベルのステルス通信機を使用しています。……和戸、これはこれまでの「依頼人」や「警察」とは性質が異なります』


(わかってる。……九条の野郎が嗅ぎまわったおかげで、俺の眼鏡が『ただのジャンク』じゃないって確信を持った奴らが現れたわけだ)


右目の片眼鏡スマートグラス越しに、シャーロットが警戒レベルを引き上げる。

 路地裏に入った瞬間、目の前の自販機の影から、武骨な無線機を耳に当てた男たちが進み出てきた。


「和戸 宗治。……歩くのはそこまでだ。あんたの持っている『デバイス』を、こちらのクライアントが欲しがっている」


男たちの視線は、俺の顔ではなく、右目のレンズに向けられていた。


「あいにくだが、これは俺の視力の一部でね。譲る気はねえよ」

「交渉に来たわけじゃない。……力ずくで剥ぎ取るか、大人しく渡すかだ」


男の一人が懐から、短く重厚なジャミング装置を取り出した。

 スイッチが入った瞬間、俺の視界に激しいノイズが走る。


『警告。強力な広帯域ジャミングを確認。外部ネットワークとの接続が完全に遮断されました。……和戸、私の機能を停止させる気です。私の意識そのものが、この眼鏡の内部に封じ込められようとしています』


(……マズいな。シャーロット、逃げ道はあるか?)

『……演算中。周辺の監視カメラは既に敵の支配下にあります。唯一の突破口は、三時の方角にある地下駐車場です。そこなら、私が以前仕掛けておいた「バックドア」が使える可能性があります』


俺は男たちの突進を間一髪でかわすと、地下へのスロープを駆け下りた。

 背後から容赦のない足音が迫る。


地下駐車場の冷たい空気の中に飛び込んだ俺を待っていたのは、大型セダンの前に立つ一人の女だった。

 白いスーツを着こなし、冷徹な笑みを浮かべたその女の指先には、俺の眼鏡と同じ、異様な光を放つチップが握られていた。


「はじめまして、和戸さん。……その『不完全な知性』、私たちが正しくアップグレードしてあげますわ」


女の言葉と同時に、シャーロットが悲鳴のような警告音を鳴らした。

読みいただきありがとうございました!

名前を「和戸 宗治」に統一したことで、彼の危うい立場がより鮮明になりました。

最新の電子戦装備を揃えたプロの集団を相手に、ネットワークから切り離されたシャーロットはどう戦うのか?

そして、彼女を「不完全」と呼ぶ女の正体とは。


「シャーロット、逃げ切って!」「和戸、このピンチをどう切り抜けるんだ?」と期待していただけましたら、ぜひ☆☆☆☆☆評価をお願いいたします!

次回、後編。シャーロットの「秘策」と、和戸のアナログな反撃が始まります。

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