第1話 閃光のパイルバンカー
東京地下駅ダンジョン現最下層、地下30階にて。
Aランク魔石を砕き特殊なモンスターの体液と混ぜ合わせた、上級魔石液という物が存在する。
この魔石液はダンジョン内で上級モンスター。あるいは、それ以上のモンスターを呼びよせる性質がある。
新たに発見された危険な薬品として、法整備を含めて禁止薬物にするか、日夜議論が重ねられている。
そんな半ば違法品を裏技と称して、その男は遊ぶためだけに、ダンジョンの奥地にバラ撒くつもりだった。
「へへっ、よお、低能ども、今日も息してるか?」
〝げえっ、カスタム!?〟
〝コイツまた違法品持ってやがるw〟
〝Aランク魔石液はまだ違法品じゃねえよ、情弱〟
〝コイツ嫌い、Sランクの面汚しカス野郎が〟
〝生成AIアシスタントの立役者が、なんでこうなっとるのかw〟
〝あ、ダンジョン攻略AIの中の人だ。ちーすw〟
〝ダンジョンAIの人?〟
〝相変わらず荒れてんな。AIにでも負けたかw〟
次々にカスタムの配信者スキルと予備ドローンを通して、脳内に別枠で認識できる映像と音声に、殴るような文字が並ぶ。
彼のようにSランク配信者ともなれば、全視聴者のコメントを1人1人、時間を止めたような限定的な思考加速で認識できる。
だが彼は配信活動をナメ腐っている上に、面倒くさいと思って、そこまで行わなかった。
「AIに負けた事なんざねえよ。けっ、お前らも俺のワンミス目当てで視聴者スキル繋げてんだから、知ったこっちゃねえや。じゃあ、栄えある1個目行くぞ!」
〝うわっ、こいつワンミスとか言いやがったw〟
〝故意にやるならワンミスとは言わない定期〟
〝そんなのやらせるわけないじゃん。バカなの?〟
「ん、誰だ、この生意気なコメントは?」
「だから、やらせるわけないじゃん。バカなの?」
転移してきたテンプレは、1個目を投げようとしたカスタムの腕を掴んで止めた。
この少女。王道テンプレが大好きな故に、根が主人公である。
〝お、なんだヤラセか?〟
〝うっは、マジ可愛い!?〟
〝床に転移紋章もないのに、いきなり女の子が転移して来た?〟
〝マジめろいスクショしよ〟
〝CGスキルとかアバタースキルじゃねえの。まあどっちでもいいけどスクショスクショ〟
〝何あの浮いてるパイルバンカー? 1000G〟
〝AI補助利用品にも見えねえけどな⋯⋯?〟
〝画像検索したけど、カタログも無いぞ?〟
〝なんて職人技のパイルだ、もはやエロい〟
コメントに付随する仮想通貨。これはスーパーチャット、通称スパチャと呼ばれ、配信中に視聴者が配信者へ送る「投げ銭」機能である。
支払った金額に応じて色付きメッセージで目立たせたり、チャット欄の上部に別枠固定表示させたりできる特徴がある。
加えて、モンスターの魔石などアイテムも投げ銭の代わりに、限定的ながら配信者に譲渡する事も可能だった。
「いつも通り、スパチャの礼は言わねえぞ。というか誰かの配信中に無断で映るのは、ガチめのルール違反だぞ。お前初心者か?」
「緊急時の対応はそうじゃないでしょう。どうしても悪いことやるってんなら、ぶつよ!」
彼女は重厚なパイルバンカー神を構え、耳を貫く金属音を響かせ、その細腕に合体装着させた。
頑強極まりない金属と合金が尻上がりに駆動し、虹閃光の火花が、美麗にて舞う。
そそり立つ杭の先端に、ねっとりと極彩色の重油をしたたらせ、カスタムに向かって吠えた。
〝おっふ、なんて、なんてエロい杭〟
〝素晴らしい。匂いが鼻奥まで漂ってきそうだ〟
〝おいおいおい成人指定は別のスキル先だぜ?〟
〝だめだ⋯⋯スケベなマシンポルノすぎる〟
〝へ、変態しかいねえ、それも極めて特殊な〟
〝バラさせてくれ、もはやモラルだ2000G〟
〝うああ、何で俺は視聴者スキルもっと上げてなかった。公開されてりゃ匂いまでバッチシじゃねえかクソったれ!〟
〝CGだろうがアバターだろうがAI補助利用品だろうがもう構いやしねえ! 一刻も早くその杭でチャージパイルをキメてくれ!〟
「いや、何で過去イチコメント沸いてんだよ、わけわかんねよ、このド変態視聴者ども!?」
「カスタムさん。持ってる液体全部渡して、みんなも私も怒ってるんだよ?」
「へっ、テメェみてえなガキンチョにスゴまれてやめるかってんだ、それ!」
カスタムは持っていたすべてのAランク魔石液を思いっきり投げつけた。ダンジョンの床や壁に叩きつけられ、生態系が著しく崩される。
目撃した誰もがそう思った。だが、魔石液は閃く虹色の光に導かれるように、テンプレの手中に受け止められていた。
「邪魔すんな、何のスキル使いやがった!?」
彼は手中の両刃斧をパイルバンカーに向けて、強めに振り下ろす。彼なりに警戒しての、一軒家程度なら真っ二つにしかねない一撃。
だが、テンプレは杭の先で器用に刃先を逸らし、いとも簡単にねじ伏せてしまった。
「リスナーさん、チャージパイルだね。その無茶振りっぽいお願い、この耳が確かに聞き届けた!」
〝お、おお。この子やるぞ〟
〝やっぱヤラセじゃね?〟
〝偽装、創作系スキルの反応はねえけどな〟
「面白いな、お前。ならこれでどうだ!」
カスタムが自身のもっとも得意技、レックスライサーにて襲いかかる。
暴君の王。かつてこの大地を悠々と支配した、ティラノサウルスの一撃に肉薄する轟撃が唸りをあげ、テンプレに迫る。
「悪い人なのに、カッコ良いスキル持ってるじゃん。じゃあこっちも、──────あなたの願いを、打ち穿く!」
パイルバンカー後部ラジエーターフィンの大排熱に大気が震えあがり、テンプレの踏み込みだけでダンジョン全体が軋み、悲鳴をあげる。
その戦闘力。無双化《∞》にて、計測不能。
腰だめに構えたパイルバンカーに余波だけで空間を歪ませるほど、桁違いの力が渦巻いていく。
熱く、鋭く、速く。何より振り返らぬ決意を持って、その悪行を神と私が許さぬと。閃く杭が牙を剥く。
「閃光のぉ、チャァアアアジ、パイル!!!」
「うっ、なっ、わぁああああああああ!?」
直撃は、慈悲深い神様がさせなかった。仮にも神の一撃である。
地球全体をいとも簡単に震わせた一撃は、とてつもないハリケーンに巻き込まれた恐竜のようにカスタムをしばき倒し続け。
予想外の攻撃に巻き込まれた彼を、気絶させてしまっていた。
〝嘘だろ、仮にもSランクトップだぞ!?〟
〝おい、それよりも震度1だってよ、警戒警戒〟
〝ふぅ⋯⋯ほぼ逝きかけました20000G〟
〝彼女は何者だよおい?〟
〝まあ初遭遇は舐めプするからな、カスタム〟
〝素晴らしいパイルだった15000G+Aランク魔石〟
〝欲しい⋯⋯隠しアイテムか隠し宝箱か、あ、どぞ5000G+Bランク魔石〟
〝画像検索かけても、あ、古いアニメ出たw〟
「これに懲りたら悪いことしたらダメだよ。じゃあ、ダンジョン入り口まで連行だね!」
〝あ、待って、せめてお名前を!〟
「名前、そっか、テンプレだよ。じゃあね!」
〝テン、プレ?〟
〝確かに今の問いかけはテンプレもテンプレだが〟
謎のどう見てもエルフ魔法少女に、突然置いてけぼりにされた視聴者たちは、しばらく彼女の名前がテンプレだとは、勘違いして思い至れなかった。
Φ Φ Φ Φ Φ
あとがきと補足
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また、ここまでの制作にあたり、以下の質問をGoogle検索AI、Gemini、ChatGPTに解答いただきました。
王道テンプレとは?
パイルバンカーとは?
Midjourney ってなんですか?
DALL-E 3
シード値とは
AI用語と数字について
ハルシネーション AI
プログラム修整 AI用語
AI生成における「創作性の所在」と「倫理的葛藤」について(本作小説中盤描写による質問と解答)




