【前章】パイルバンカー神とAI補助利用ヘルメット
パイルバンカー神
プロローグ ブレない少女から登場する。見た目はどう見ても歴戦の風格を漂わせ、それでいて新品同様のよく整備されたパイルバンカー。
全長3.24m。杭部分は驚異の全長1.72mに達する(およそ日本人成人男性の平均身長と同等)
メイン動力は虹閃光と呼ばれる特殊粒子。全出力起動の際には激しく各部から流出する。
この粒子を放出するパイルロッド部品そのものが本体であり、後述する心臓部でもある。
主な部品構成と形状は、パイルロッド部品の上下を覆うアバラ状の8連装キャパシターコンデンサー。さらに内部には大型シリンダー。補助動力ピストン。最後部には高性能排熱用ラジエーターフィンを搭載。コントロールバブル、ストップピンなどは搭載されていない。
使用する際にはハンドガードの内側を握り、トリガーを引くことでパイルの射出が可能。
基本的にはパイル部を中心に自立浮遊するので重さは存在しない。必要に応じて相応の重量・質量になり、折り畳まれている上部の補助ハンドアームは、天使が気を利かせて取り付けた緊急用である。
緊急時の固定手段として、コンデンサー上部の装甲に小型可動式ロケットアンカーを4機搭載。必要であれば立体的な機動や何かを連結することも可能で、長く伸ばせば敵の拘束にも使用できる。
さらに下部には固定用の水平安全装置を備える。
これらの構成部品は、いわば「現代科学以上の水準で製作された戦闘服装備」であり、彼の存在は意思ある剣ならぬ、意思ある杭であり1柱と呼んで差し支えない。
事実、その正体は多くの天使と大天使を従え、遥か太古から地球生命を見守ってきた神性でもある。
神性としての在り方は願望神であり、人間が願う大半の事を叶える事ができる。
ただし、死者蘇生は推奨せず蘇生者本人とまず間違いなく面談させ、病気などの治癒はよほど緊急性を伴う願いでない限り段階的に行うなど、人間の努力を将来的に損なう可能性は考慮する。
性格は常識的で慈悲深く寛容的で善良だが、同時に少々短気でもある。愛飲するのは日本酒で、整備用のねっとりとした重油やグリスも塗布される事を好む。
単独の戦闘能力は高いではなく、シンプルに人間では勝てない。人間には不可能な空間転移(リスクが少しでもある場合は行わない)、虹閃光を利用した万能性、因果の逆転、概念操作、必要であれば生命創造、記憶操作、即時完全再生、干渉遮断、時間遡行、時間停止、時間跳躍(因果再構築の手間が大きいので、乱発は基本しない)など、勝負の土台に立たせない。
極端な話、挑んでくる人間を完璧に複製して戦わせることも可能。ただし、積極的に自身だけで生命体を殺害することはなく、常に自戒している。単独戦闘では封印措置のみで対処する。例外は信者に武器として使用される場合のみである。
人間の文化圏に存在する様々な神性に対しては、実際に存在しようがしまいが、人間の歴史内の重要な文化要素として、最大限尊重している。
絶対に許せない事は、自身の信者と能力を傷つけられること、盗用や悪用されることなどである。
AIメット
第5話 #読者は神様ではない②から登場。一般的に普及している、ダンジョン用ヘルメット型AI補助利用装備の1つ。別名、AI教導メット。
骨伝導を利用した耳元を塞がない音声ガイドにより、装着者の感覚を妨げない。
また、バイザー部のAR機能により、適切な視覚情報整理や、場合によっては血液などの嫌悪感を抱く物の見た目を緩和できるカジュアルモード。教導モードを完全に停止させた、最適化モードなどがある。
比較的安価であり、ある種のテレパシー能力に似た配信者スキルを習得しなくても、一人称視点での機械配信が行える性能を有している。
そのため、近年では配信者スキルを習得せず、こちらを購入してダンジョンに挑む初心者も増えている。
また、近代人の眼精疲労の増加に伴い、視力低下の補正にも一役買っている。
視力補正用のメガネ等を用いず激しい戦闘行動が可能で、基礎的な構造メカニズムを評価する意見も根強い。
メインシステムは大元のAI製作者たちの意向により、教導モードの根幹をなす、守破離システムが主に採用されている。
※守破離とは、日本の茶道や武道、芸術における修行の3段階を示す。師の教えや型を忠実に守り(守)、それを応用・発展させ(破)、独自の境地を確立する(離)行いである。
これは、1世代ほどではないが、最初期に採用された最適化モードの普及により、AI無しでは何もできない世代の誕生を危惧した企業方針が元となっている。
内蔵されているAIも様々に調整されている。単に推し配信者が独自に配布しているデータセットと共に配信したいカジュアルタイプな物もあれば、ガチガチに教導用にプログラムを組んだスパルタタイプなど、AIメットの用途は幅広い。
しかし、時に清廉潔白なデータセットだけを用いて組まれたわけではないのではないかと噂されている。
法律上問題無いにしても、AIによるイラスト生成のように、使用する人間、元になった人間の行動の問題性。
あるいは逆に、反AI主義者の倫理観や感情が追いついていないのではないかと、よく議論のマトにされているグレーゾーンな部分もある。
特に、AIによる最適化モードを使用するダンジョン配信者は、本当に〝強い〟のかが、もっとも多く議論されている。
中には人間と同じような言動をプログラムされているのだから、人間っぽく扱わないのは逆に人の心がないのではないか、などという意見も存在する。
そのため、基本的にはデータセット割合を公開して使用する事が、暗黙のルールとなっている。
とはいえそんな諸事情とは関係なく、女子高生、女子大生ダンジョン配信者の間では、対応するシールや装飾品で、独自にデコレーションする文化が生まれている。




