なぜ修道院にいるのでしょうか?
なぜ修道院で暮らしているのでしょう。
さて、急に全く違う世界のことを思い出した私は、一先ず落ち着こうと現状を振り返ることにしました。
私はシャルティ。ここではシャルと呼ばれています。女で16歳くらい。精神操作系の魔法が蛇蝎のごとく嫌われるこの世界で、魅惑魔法が発現する可能性があるからと修道院に預けられています。本当は捨てられたのかもしれませんね。
そもそも物心つく前から修道院にいるのでどちらなのか分からないです。親の顔を覚えていないので余程小さい頃なのでしょう。
この世界は魔法がわりかし普通にあります。
国は階級社会で王様もいらして、貴族もいる。私は平民扱いなのかな? 隣国という言葉を聞いたことがないので余程大きな国なのか大陸にここしか国がないのか。
それから、姉のように親しい姉さん達と妹のような妹分が何人かいます。全員魅惑魔法が使えるようになる可能性があるということでこの修道院にいます。
私たちの見張り代わり兼親代わりとして院長先生がいらっしゃいます。大変闊達かつ無表情眼鏡という一見相反する特徴をお持ちの方で、母のような年代にはとても見えない美魔女です。
「シャル! 洗濯を干し終えたら月市の出し物手伝って~!」
窓から顔を出す姉さんに手を挙げて応えます。
月市。前で言うところの、のみの市やバザーに近い催しで修道院の大切な財源です。
突然思い出したのでまだ混乱していますが、月市に出す小物について、いい考えも浮かんできました。
せっかく思い出したのだから、使える知識は使っていきましょう!