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修道院で暮らす魅惑の魔女  作者: 青い時計


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16/22

一緒にいるということは打首獄門の確率が上がるということ



「優しいお貴族様だったー?」

「お土産なかったのー?」


「知らぬ」


「シャル姉ご機嫌斜めー」

「笑わないとお客さん逃げちゃうから~」


 いや、目の前にお客様一名いらっしゃいますから。


 月市です。優男(モンド様)の接客係をさせられているシャルです。


「色仕掛けでいっぱい買って貰って!」


「出来ぬわっ!」


「シャル姉言い方おじいさんになったー」


 ケラケラ笑いながら奥に逃げていく妹達を追おうとたのですが、商品の説明を求められました。


 ちっ、逃げられぬか。


 つかカップインに使い方とか、、、ありましたね。お皿に玉を乗せるだけですけどね。実は台の下の部分にも乗せられますけどね。


「これには気持ちを込めないのかい?」


 手に持つと軽々と連続で皿に乗せ始めました。なんという営業妨害。


「魅了魔法道具は禁固刑では?」

「あの程度なら子供でも抵抗出来るだろ」

「それは禁忌魔法ではないのでは?」

「まあ、そうだろうね」


 おぃ。両手でやり始めたよ。買うんだよね? それ買うよね?


 チラッと背後のお付きの人を見るとサッと丁度の金額を出してくださいました。できる配下ですな。ついでに姉様その2のオーレリアさんに「差し入れです」と何かを渡してます。ぉ、王道のプレゼント攻撃きた? 姉様奇麗だもんねぇ。


「ところで例のカメは何所で買えるんだい?」


「只今ご予約待ちが多うございましてあいにく」


 これはマジです。そもそも1匹1匹魔法受容量を調整する必要があるし、手乗りサイズに刻印魔法でチマチマチマチマ刻印しないといけないので目と手と肩が死ぬでございます。そんなに作れないです。


「これは知ってるかい?」


そう言って優男のモンド様がポケットから取り出したのは2匹の亀でした。って、左肩のナンバーか同じだとぉ!?


「複製魔法だろうね。全く見分けがつかない」


 モンド様から若干奪うようにして2匹の亀を見比べます。


「これ、どちらも偽物です」


 どうやら複製魔法の精度がよくないようです。卵のギミック部分が欠損しています。

 複製魔法には対抗してえげつない細かさの魔方陣にしたかいがありました。複製しきれていないか、力量不足で卵の部分の複製は諦めたのか……。完全に瓢箪から駒ですが。


「おっと。今日はこれくらいで。それはあげるよ」


 院長先生が苦手なようで毎回先生が近寄ってくるとモンド様が逃げるという。

 毎回申し訳ないのですが、もう少し早く助けて頂けませんかね、先生。



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