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修道院で暮らす魅惑の魔女  作者: 青い時計


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12/22

毎度お馴染み月市です


「月市なのに月イチじゃないのは此如何これいかに」


 本日も月市でございます。月1回でないのはあちこちの街町に出張するからですね。あと、満月がこの世界では月1回じゃなく複数回満ちるからですね。知ってます。存じておりましたが、今日はお客様が多すぎて、てんてこ舞いです。


「シャルー。変な呪文唱えてないで速く包んで差し上げて」

「はいっ。お待たせ致しました。こちらのお色で宜しかったでしょうか?」


 元ミサンガ・現カップルラブラブアイテムをお買い上げの若い御一人様男性に、色確認をして貰うように見せかけてミサンガに触れながら、ちょっと運気上がるといいねというおまじないをかけておきます。

 綺麗なお顔なのに残念なことでとちょっと可哀想になったり何だりしただけです。

 ミサンガを1人で買った人が初めてで裏でも「1? 2じゃ? 1!?」とザワついておりましたので。


「ありがとう。ところでこれをつ」

「貴様らまたこんな店を!!!」


 たーまやーって、違うか。正義マンですね。あいつストーカーなのかな? 

 って、しまった。院長先生が街のお偉いさんと話しながらどっかいっちゃったんでした。


 すかさず奥にいた姐さんその1金属魔法が得意なエミリ姉が正義マンの前に立ち、その間に足の速い3の姉様と元気妹のイザベル(妹その3)が院長先生が進んだ方向へ走って行きます。

 私はさりげなく妹達のいる裏への出入り口前に陣取ります。


如何いかがなさいましたかお客様?」


 野暮なベールを跳ね上げ頭巾で隠していた髪を素早く結わえた我らが2の姉オーレリアさんに微笑まれた正義マン、赤面状態です。口をパクパクさせています。


 2の姉さんは輝き瞬き歩くたびに色を変える髪色から所作から声から、これぞ貴族として生まれし者って感じですからね。

 そこらのボンボンじゃ一目惚れ通り越して崇拝ですわ。


「あ、貴女のような高貴な方が孤児院を慰問するのは聞いたことがあるが、この穢れた店は美しい貴女には相応しくない。御身が汚れてしまいますっ!」


 カチリと固まっていたのに動き出した途端ギルティな話をし始めた正義マン。

 このまま川にでも流してやろうかしら。


 本当にどうしてやろうかとプンスカしている時でした。


「ーーーーーー」


 先程までにこやかにしていた独りミサンガ男のフーともハーともつかない、地を這うような呼吸音にビシリと周りが固まりました。


 威圧感が半端ない。てか、フーと一緒に男を中心とした、人だけちょっと吹き飛ばされそうな風魔法が円状に展開されました。

 怒りで思わず魔力が漏れた風を装っていますが、商品が一つも落ちてないです。どんな制御能力ですか。


 我が修道院露店の前だけだるまさんが転んだ状態で、人がお貴族様への恐怖で硬直しています。


「僕が接客をされている途中なんだが、君は僕の邪魔をする必要に迫られるているのかい?」


 はいっ、独りミサンガ男さん、完全にお貴族様! それも魔力量的に上位! 

 正義マンなにしてくれてんの! 一所懸命上位っぽいお貴族様だと気づかないフリしてたのにマジでなにしてくれてんの!!


「わ、わたしは、そこの、あ、あくしつな、そうだ! 悪質な店から市民を守るた、あたっ」


「悪質、ねえ。」


 正義マンに皆まで言わせず、推定上位お貴族様の低ーい声が辺りに響き渡ります。段々静かの輪が広がっています。


 てか今、結構強めの風魔法を正義マンの額に当てましたよね。「あたっ」て言ってひっくり返ってますけど。


 完全にシーンです。お願い誰か話して。


「驚かせて悪かったね? よかったらこれも買うので届けて貰えるかな」


 正面に立つオーレリア姉様に向かって声をかけている推定上位お貴族様の斜め後ろから、すっと住所カードを出してきた推定従者。

 後ろで正義マンを縛って引き摺って行く推定上位お貴族様の護衛の人。


 「待ってるね」と手を振りながら去って行く、優男風に戻った、どう見てもお貴族様の、髪が一房、とてもキラキラした髪が一房、ダメ押しでハンチング的な帽子からこぼれています。


 わざと一房見えるようにしたでしょ!!


 いやだ! ウチの修道院、目をつけられたーー。


 お貴族様からの呼び出しなんていやぁぁぁぁ。この世界、どこぞの武士みたいに上位貴族特権で「うっかり魔力が漏れて切捨御免になっちゃった。あはっ」が有るんですよ!!


 院長先生らしからぬ急ぎに急いだ戻りっぷりを視界におさめつつ、後ろの姉妹達は揃ってヘナヘナと膝から崩れ落ちました。魔力の直撃怖かったよね。よしよし。


 姉様達は微笑を浮かべてお立ち遊ばしていらっしゃいました。さすがお姉様達。。



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