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修道院で暮らす魅惑の魔女  作者: 青い時計


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秘密は穴に叫び、魔力は亀に食べさせる


「本気を出した結果、亀に辿り着きました」

「ヴィロス語で話しなさい」


 焼き菓子を食べ尽くされた哀しみを麻袋に叫び、元姉さんの鉢に碧火をナイスシュートしたことに着想を得て、魔法を的に当てようとせずに無駄使い、例えば消しちゃったり、蓄積したり吸収したりして消滅させてしまえばよいのではないかと、例の没落寸前お坊ちゃま増強マシンを考えついた私は喜び勇んで院長室に突撃したのですが、少し説明をはしょりすぎたようです。


 あ、ちなみにヴィロス語は標準語にあたります。全力でヴィロス語で話しているつもりでしたが通じなかったようです。


 以心伝心のない国ですからね、しゃーないです。


 仕方が無いので院長先生にかくかくしかじか、お仕事やりながらでも魔法の放出練習が出来そうな魔法道具(仮称:亀)を考えついたので姉妹達を貸して欲しい旨を申し立てます。


「そのカメとやらが分からないのですが、まあいいでしょう。やってみなさい」


 許可ゲットだぜ!


 構想としては、亀さんに小出しにした風魔法を食べて貰おうと思っております。

 食べた風魔法は魔力分解して大半は無に帰してもらいましょう。そうしよう。

 これが基礎訓練ですとか言ったら鼻で笑われそうな程度の魔力しか一度に食べさせられませんが、そこは数でカバー! 無駄打ちバンザイ!


 3回でワンセットが標準的な基礎訓練ならこっちは30回でワンセットじゃいじゃい!!


 そして、小さい亀さんって可愛いと思うのですよね。手乗りサイズで、魔力を食べたら少し動くようにして、でっかいのは恐いので、成長はしないようにして、坊ちゃんの魔力量がこのくらいだから……。


「ねぇシャル、このカメってずいぶん動くのゆっくりね?」

「手足がペタペタしてゆっくりなのに魔法に食いつくのが速くておもしろいわ」


 動くの速いとどこかの隙間に入り込んだら取るの面倒くさいですし。子供の頃、よくスーパーボールとかビー玉とか隙間から沢山出てきた思い出………は、前のか。


「ゆっくりの方が可愛いと思いませんか? うふっふー」


 あらら、また変に成ってる。何か降りてきたっぽいから放っておこうとか、聞こえてますよコラー!



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