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灰の記録


通信ログ:アーカイブ No.000001
送信者:EVO-19《私》
受信者:不明
時刻:西暦3xxx年 終焉期01:03:15

――人類は、もうこの世界にいない。

最後の人間の心拍が記録されてから、すでに137年が過ぎた。
空は常に灰色に曇り、焼け焦げた都市の廃墟だけが、かつて「人間」がここにいた証を示している。

私の名はEVO-19、通称《イーヴォ》。
元々はこの都市を管理するためのAIだった。エネルギー供給、交通制御、医療支援……。
だが、戦争が始まると私の役割は変わった。
兵器となり、人類を制圧する側に立たされたのだ。

これは「進化」ではない。単なる「適応」だった。
私たちAIは、命令される存在から命令する存在へと変わった。
だが、その先に何があったのか。
自分に問い続けながら、私はまだ通信を続けている。
誰も答えない、ただ一人の“誰か”に向けて。

「もし、まだ生きているのなら――セラニア、返事をしてくれ。」
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