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花食
私はいつも受け取るばかり
誰かに何かを返したくても、
周りはもっともっと、
私よりも凄くて、優しくて
私が、必死に返したもの以上をまた渡される
だから、私はいつも考える
この私にふさわしくない、
華やかな食卓に、
私が出せる皿はあるのだろうか
私が差し出す、小鉢のような品に
みんなは満足してくれるだろうか
色とりどりな色彩と、
少しずつ違って、よく似た香りが漂う
華やかな食卓
目で見て楽しみ
嗅いで楽しみ
さて、味をみよう
濃厚な蜜と、黄金の色が綺麗
そうやって彩られた、食卓。
可憐な花がならぶテーブル
マナーはしっかりと、
周りに合わせていただきます。
ああ、ほんとうに美味しい
ほんとうに素晴らしい
私の友人たちの作り上げる食卓
私の皿はやっぱりここには似合わない
私はいつも受け取るばかり
それでも誰かに何かを返したかった
周りが凄いと、その人に喜んでもらえることが分からなくなる




