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一日一詩  作者: 時ノ宮怜
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呼気

 遠くで、蝉が泣いていた

 街の喧騒も、遥か遠くて

 この耳にはちゃんと届いていたけれど、

 それでも今この場所は静寂だった


 私と君がいて、

 一言も話さずに、

 二人とも何をするでもない

 ただ、肌に残る暑さが不快で

 日陰でただ体を休めていた


 それだけの時間が

 静寂と流れていく

 確かに遠くに音はあるのに、

 近くに音がない事が

 静寂を強めていた


 すー、すー、と

 君の息の音が聞こえる

 静寂の中で、はっきりと聞こえてくる

 君はいつのまにか寝てしまったのだろうか

 そんな君を見ることすら億劫で

 私もなんだか少しずつ眠たくなってくる


 何も見えない、何も聞こえなくなってから

 どこかで聞こえる泣き声

 すすり泣くような

 そんな声

 どうして泣いているのだろう

 どうして悲しいのだろう

 分からないけれど、大丈夫

 息をして、吸って、吐いて

 一緒にアイスでも食べよう

 そうすれば、悲しい事なんて何にもないから


 ちりん、と

 涼しい音がなった

 私は目を覚ます

 目の前には君の顔

 お腹空いた

 空いたね

 ご飯にしよう

 そうだね、今日は何にしようか

心を許した人、大切な人

愛した人の呼気は

安心感があるものです

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