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一日一詩  作者: 時ノ宮怜
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操糸

 この体に肉はなく、

 この体に骨はなく、

 この体には熱がなかった


 幕の内では力なく眠りにつき

 幕が上がれば命が吹き込まれる

 そこにあるのは、たった一瞬の輝き

 糸と台本に従う私の、唯一の舞台


 光が差し込む

 強い輝きに目を細める

 今、私は光の中にいる

 少しだけ残念なのは、光に眩んだ私の目は

 何も写さない


 それでも私は命を賭けよう

 これが、糸に動かされているのだとしても

 台本に描かれているのだとしても

 私の舞台がここにあるのだから


 そうして幕は下りた

 私に命を与えていた糸は消え

 台本は終わりを告げ

 私は暗闇の中に取り残される


 私は弱い

 私は脆い

 私は儚く、一人では何もできない


 でも、輝きの中に居たいのだ

 私という演目を皆に見てもらいたい


 私を操る糸もきっとそう

 私を通して輝きの中に居たいと願っている

 糸で結ばれた私たちはお互いをよく知っているから


 相思相愛の私たちは

 操糸双愛の関係なのだから

行動に意思がなくても

人間には意思がある

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