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後希
夢を見る。
あの時、あの場所で、自分がした選択の夢。
どうしても、どうしても拭えないもう一つの選択肢を。
あんなに楽しかったのに、
あんなに夢中でいられたのに、
夢の中でいられたのに、
何もかもは流れゆく
流れに逆らうことはできない。
なら、あの夢もまた流れの中にあったのだろうか
もう一つの道には流れなんてなかったのだろうか
私には分からない。
分からない私は今も流れに乗っていく。
でも
あんなに溢れていた、
あんなに溢れかえっていた、
そんな光の中で、
何もかもが流れたとしても
流れていった先にも確かにあった光が
私にまた夢を見せてくれるから
もう一つの道があっても、私は同じ道を行くだろうから
私は知らなくてもいい、
知らない私が確かにみた夢なのだから
夢を見る。
あの時、あの場所で、自分がした選択の夢。
さきを見て、夢を描いた、私がした選択の夢を。
あの頃にしたことを確かに後悔している。
していないなんて嘘だ。
でも、確かにあの頃は未来に希望を見て選んだことだった。
なら、それは後に悔しく思う必要はなくて
後に希望となればいい。




