42/87
夜視
黒く黒く小さな穴
何もかもを映して
何もかもを吸い込む
月すらも浮かばぬ夜の淵
星々すらも隠れて
ただ、そこにあるのは見つめる夜
ああ、吸い込まれる
ああ、引き込まれる
その夜の穴
私を見つめて離さない
私を見ている夜の穴
私が映る。
夜に浮かぶ私が、
夜に沈んで消えていく
やめて、見ないで、私を
夜よ、穴よ、
私を見つめる夜よ
ずっと見ている。
わたしは貴方を見ている
わたしは夜
わたしは黒
わたしは穴
貴方を見つめるわたしを見ているあなた
わたしは見る
見つめて、
見詰めて
視界は黒
死海は夜
わたしは暗闇をみる
わたしが見る暗闇に、あなたが見る私がいる
よるはみて
みたよるはあながひろがり
みんながみている
わたしをみている
暗闇になにがいる?
なにもいないはずの暗闇に
なにがひそむ?
何もいない?ほんとうに?
見えない、知らない、分からない、怖い




