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雨前
澄んだ空
雲に覆われ、混じり気のない
白一色の空
冷えた空気が私を撫でて、
眠り茹った私を冷まして覚ます。
まるで清流の木陰のような、
色のない匂いが鼻孔をくすぐる。
私はただ、窓から見える少し暗い街を見る。
働き者が外を行く。
何かを手に持ち、備えながら。
働き者がその手に濡れた服を持つ、
空を見て不安そうな表情を浮かべる。
不安も心配もそこにあり、
しかし、確かに恵みでもあった。
木々は恵の到来をざわめき喜ぶ。
石下の生き物は久方ぶりの空の下を喜ぶ。
私は目を刺す日が見えぬ事を喜ぶ。
泣き出す寸前の天は何を思うだろう。
涙を流さぬように堪えて堪えて、悲しんでいるだろうか。
地上を憂いて、愛して、慈しみの涙を流すだろうか。
少なくとも、涙を溜め潤わせる天の表情こそが、私には美しいと感じた。
覆われた空
日は遥か彼方、少しの暗がりと
今にも泣き出しそうな悲哀の空
さぁ、今日は何をしよう
雨が降る前の独特の空気が好きです。
雨が降るかもしれないと不安はあれど、
水気のある、澄んだ空気は好き




