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一日一詩  作者: 時ノ宮怜
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夢花

 花が咲いた。

 名前も知らない綺麗な花が、

 揺れて、香りを運ぶの

 あの懐かしい香りを


 目が覚める

 まだ黒い空

 肌寒いなかで、

 私は安堵と少しの苛立ち

 布団の中には安息だけ


 ああ、世界が溶けていく

 何も見えない。

 見る必要がない。

 私は何も知る必要がない。


 あの花の名前を思い出せない。


 香りがする。

 安心する香り、優しい香り

 私の頭を優しくなでる

 そんな暖かな香り


 どこか懐かしい

 この温もりを私は知っている。

 心を溶かす想い

 私は微睡の中で思い出す

 布団はタイムマシンだから


 ああ、現実が溶けていく

 何も見えない

 見る必要がない

 私は夢に生きている


 花が咲いた。

 大事な大事な綺麗な花が、

 揺れて、香りを運ぶの

 あの優しい香りを


 私はあなたがとても好きだった。

 私を撫でるその手が、

 私を包むその香りが、

 私が大好きなその花のような香りが

忘れられないあの人っていますか?

思い出したくても、顔も声も香りもどんどん薄れていく

そんな大事な人はいますか?

記憶とは曖昧なものです。

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