表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/50

何だこれは

 運営め、本気でリアル・デスゲームをやらせる気だったのか。


 そう、スマホだよ。あの女が奪おうとしたスマホがヒントだったんだ。まさか、知らない内にこんなアプリがインストールされていようとは……


 【Isekai Potal】


 異世界ポータル、異世界への玄関口ってか。ふざけやがって。アプリアイコンも門の形だ。くそっ、お前らのごっこ遊びをおれたちに強いるつもりか。


 あの暗闇に閉じ込められていた時に、おれは何度もスマホの中身を確認した。いくら動転していたとはいえ、こんなふざけた名前のアプリを見逃すはずがない。あそこから脱出した後にどこかのタイミングでインストールしやがったんだ。


 このスマホはまちがいなくおれが普段使いしていた端末だが、不審な点が色々ある。

 まず、電話とインターネットが使えないこと。これは何度も確認した。時計機能や電卓なんかは動いたが、SNSもメールも地図も全てエラーが出て使えない。はっきりと外界から遮断されている。唯一の例外がこの『小説家になろう』のサイトだ。なろうだけ閲覧も投稿もできている。これについては意味不明なので運営の設定ミスか何かだと考えている。

 次に、おかしな名前のWi-Fiにつながっていること。今見たらISEKAI-NET-AP311とあった。塔付近はAP001だったし川の辺りも違う番号だった。アンテナとかそういう物が一切見えないところが気味が悪いが、これが運営の管理しているネットワークで、この辺り一帯を広くカバーしているんだろう。このWi-Fiが、インターネットへの接続を厳しく制限しているんだと思う。

 それから、バッテリー残量がおかしい。拉致されてからもう5日以上は経つと思うが、いまだに電池が切れていない。それどころか時々不自然に残量回復すらしている。Wi-Fiアクセスポイントだけでなく、ワイヤレス給電機的なものがあちこちに仕込まれているんじゃないか。つまり運営はスマホを使って何かをしたいんだ。おれたちの監視か、あるいは()()()を。

 そして止めにこのアプリだ。異世界ポータル。いつの間にか入っていた。昨日まではなかったと思う。例のWi-Fi経由のリモート操作でインストールされたのかもしれない。とにかく怪しい。運営の悪意を感じる。自分の意志でこのゲームに参加すると宣言するみたいで、本当は起動したくない。


「くそっ!」


 アプリのアイコンをタップした。


Isekai Potal

(Ver. 1.0.0 alpha


 白地に文字だけのシンプルな、はっきり言えば手抜きっぽい画面が出る。

「アルファ版なのかよ!」

 画面中央に、なんと呼ぶのか分からないが、よく見かけるグルグル回る絵が出ている。ローディング中ってか。1〜2秒待たされて次の画面が表示された。


【ステータス】

バトル(準備中)

アイテム(準備中)

マップ(準備中)

フレンド(準備中)

コレクション(準備中)


 また、白い画面にシンプルなボタンが並ぶ。一番上の【ステータス】以外はボタンの色が異なる。押せない。

「準備中ばっかりじゃねえか!」

 毒づきながら【ステータス】を選択。またグルグルが表示された後、画面が切り替わる。


名前:斎藤竹光

職業:無職

レベル:1

HP:60/100


「運営やっぱおれの名前知ってんじゃねえか! 無職で悪かったな! くそっ! 家に返せ!」


 どうやらおれたちは、異世界もののロールプレイをさせられるようだ。そしてそれはレベル制でヒットポイント制のゲームのようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ