がんばる前に書く備忘録のような何か
改めまして、斎藤竹光です。これが最後かもしれないのでごあいさつを。
今からこの石造りの空間を登って、外に出ようと思っています。
少しだけ試してみたのですが、ザラザラしたほうの壁に背中をつけてゴツゴツしたほうの壁に脚をつっぱり、ズリズリと上がっていくことは可能でした。10センチぐらい登れたので実験に満足し、体力温存のためいったん降りました。実際に登るときは、より手がかり足がかりの多い、部屋の角のところで挑戦しようと思います。
心配な点は3つあります。
1つは、高さが分からないことです。
5メートル10メートルならまだいいのですが、30メートルとか50メートルとかの高さになると途中で足が滑ったり体力が尽きたりして落下するかもしれません。そういう高さから落ちれば死ぬことはほぼ確実かと思います。即死じゃない場合、誰も治療してくれないでしょうからより恐ろしいです。
なのでこの投稿が遺書になるかもしれないと思いながら書いています。
2つめは、上のほうがどうなっているか予測できないところです。
脚をつっぱって出口までズリ上がるつもりですが、もし途中で壁の間隔が広くなっていたり、逆に狭くなっていたら、それ以上登れないということもあり得ます。そういう場合も何とか工夫したいですが、あまり運動神経の良いほうではないので自信はないです。
一番怖いのは、空間の一番上まで登り詰めたのにそこに出口はなかったという残酷なオチです。そうなった時の絶望や徒労感は想像するだけでゾッとします。さっき投げて落ちてこなかった100円玉が、ただ石の隙間に入り込んだとかじゃないことを祈るしかないです。
3つめは、装備の面です。
おれは今、普段着姿です。Tシャツの上に薄いボタンシャツを羽織った状態で、下はGパンです。ズリ上がる摩擦でシャツの背中に穴が開くんじゃないかというのが特に心配です。背中から血が出ても登り続けられるものかどうか分かりません。なるべく我慢するつもりですが。
それと、光源がスマホしかありません。手に持って登るのは怖すぎるので、ライトをつけたままシャツの胸ポケットに入れて持っていくつもりです。途中でバッテリ切れになったり、あるいはポケットから落ちたりすると相当の痛手になります。その場合は暗闇の中手さぐりで何とかするしかないですね……
書いていて、不安要素の大きさに泣きそうです。
もう5年ぐらい会っていないお袋や、今年就職したばかりの弟に何も伝えずに死ぬことになるんでしょうか。高校のころの悪友たちとももう少し連絡取り合っとけば良かったです。
このままおれの投稿が途絶えたら、誰か警察や役所に連絡してもらえると助かります。現住所は最初のほうの投稿に書いたはずです。どなたか読まれている方、どうぞよろしくお願いします。
これでもう書けること書いたかな…
高校3年のとき同じクラスだった好きな子の名前は……書いても意味ないか。むこうに迷惑だな、うん。
あ、ゲーム運営もしくは誘拐犯、脱出できたときは覚えとけよ! もし失敗したら呪ってやる!
……。
…………。
現在時刻は22:03、バッテリ残量が34パーセント。行ってきます。とりあえず、さようなら。




