表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二人は常に宙を舞う  作者: 明日 透
現代生活編
2/11

第1章 春と恋模様

 ある日の教室。昼休みも半ばとなり、大半の人が昼ご飯を食べ終えていたころ。私は、教室の窓から数えて2番目、一番後ろにある自分の席で本を読んでいた。本というのは、非常に素晴らしいものだ。私をいろいろな世界へと連れていってくれる。私は本の世界が現実であったらいいのになのと心の中で思い、それに浸っていた。

「おっと、何読んでんだい?」

そう言って、前の席にいる男子は私が読んでいる本を取り上げた。

「何だよ、勝手に取り上げるなって。」

「いいじゃないか、で、何読んでたの?」

いいじゃないか……そんなこと彼に言われたので、少しカッとなった。

「勝手に人のものを取り上げるお前には教えないわ!」

「なに!?」

そう彼は言って、ぺらぺらと手に持っている私の本を読み始めた。

「あ、ちょっと、ページが!栞挟んでないのに!」

私たちは、一見喧嘩をしているように見えるかもしれないが、そうではない。これは、ただのじゃれ合いである。じゃれ合いという言い方は少し違ったかもしれないが、それに近いことだ。

 さて、私の名前は、西島にしじま あきら。先月、この学校に入学したピカピカの高校1年生だ。一人称は「私」だし、男の人のことを「男子」と呼ぶし、いかにも「ねぇ、男子~」と言う女子感を出しているかもしれないが、私は男子である。ジェンダーレスなどと言われるこの時代に強調するのは何だか悪い気もしなくもないが、見た目も性格も身体も、れっきとした15歳男子である。

 学校に入学してからの最初の数週間は、確かに緊張もしたし、馴染めてもいなかったし、同じ中学校だった人としか話せていなかった。しかし、慣れというのは恐ろしいもので、半月通っただけで、高校という場に馴染んでしまい、少なからずだが、高校で友人もできたのだ。そして、私の本を取り上げた彼こそが、高校での初めての友人、戸部とべ 裕也ゆうやである。先ほど言ったからわかるかもしれないが、彼の席は私の前である。つまり、一番後ろの席にいる私にとって、必然的に高校最初の友人は彼と決まっていたともいえる。

「裕也!人の物盗むとかどういう神経してるの!?」

横から女子の声が聞こえた。声のする方へ振り向くと、長髪の女子が一人立っていた。さらに、戸部君の右隣の席に座っていた眼鏡をかけたショート髪の女子も、その言葉に同意するように首を縦に振った。私は、必然的に最初の友人は彼と決まっていたと言ったが、勿論、友人が一人というわけではないのだ。

 先ほど、戸部君に注意をした女子は、植木うえき 加奈子かなこという。もともと、戸部君と同じ中学校だったらしく、友人同士らしい。私は友達の友達として知り合ったというわけだ。植木さんも同じクラスで、席は、廊下側から数えて2番目の一番後ろである。

 そして、その植木さんの話に先ほど同意した女子は、鈴野すずの れい。鈴野さんは、戸部君の席の隣であったこと、私の席に近かったことから、友人となった。

 ちなみに、私の隣の席の人は、私が話しかけようとするときには、常に誰かと話しているので、話すタイミングがなく、どんな人なのかは全く知らない。なお、これはこれからの話の伏線ではないということを先に話しておく。

「いやー、別にいいだろう?気になったんだから。ブックカバーもかかってるし……。」

戸部君は言った。

「気になったからと言って、勝手にとっちゃダメでしょう。」

鈴野さんは言った。

「鈴野さんまで……。」

戸部君は少し落ち込んだ。そして、申し訳なさそうに私に本を返した。

「何かあったのかー?」

とある男子がそう言って、私の席のほうへ近づいてきた。その男子の名は、嵐山あらしやま 宗助そうすけ。出席番号1番。出席番号の関係上、当然ながら、席は廊下側の端の一番前である。髪はお坊ちゃんカットであるが、これは単純に嵐山君のセンスである。嵐山君は、鈴野さんと同じ中学校だったらしく、これまた友人同士で、私は友達の友達として知り合った。

「い、いや、戸部君が勝手に私の本を取り上げて……。」

私は言うと、嵐山君は言った。

「え?西島君、何を読んでるの?」

「ほら、やっぱ気になるよな!」

戸部君は自分が勝ったかのような顔をした。すると、一人の女子が、私の席に近づいて、

「私も気になる。明君、何読んでるの?」

と言った。その女子の名は、井田いだ 富美ふみ。なお、髪はセミロング。私とは、小学校からの付き合いである。勿論、付き合いというのは恋愛的なものではなく、あくまで友人としてである。私は、中学校では生徒会役員をしていたのだが、井田さんも私と同じく、中学校では生徒会役員をしていた。こうした理由から、私と井田さんは高校入学前から既に仲が良かった。ちなみに、席は、廊下側一番後ろであり、井田さんは隣の席である植木さんとも仲が良かった。つまり、ここ周辺にいる人たちは、友人の友人同士でネットワークとして繋がったということである。

「えー、どうしようかな……。」

私はここまで大勢に言われたので、一瞬迷ったが、別に人に見られても恥ずかしくないものなので、見せた。

「あー、この小説、私結構好きだな。」

「この小説、面白いよね。」

「これ、最新刊じゃないですか。さすがですね。」

「あー、これね。この巻は全部読み切ったよ。」

皆、それぞれに反応を見せている。

「あー、これだったかー。何か読んでて既視感あると思ったら、知ってるやつだったとは……。」

戸部君も言った。

「え、みんな知ってるの?」

私は少し驚いた。すると、皆が知ってると答えた。一体この会話は何だったのだろうか。そう皆の頭に浮かび、そして笑ったのだった。なんてことのない平和な日々。私は、井田さん、戸部君、植木さん、嵐山君、鈴野さんの計6人の友人グループ、「いつも通りのメンバー」と昼休みを過ごすのだった。


 高校生は、まさに思春期まっ最中と言える。そして、青春ど真ん中とも言える。つまり、私が何を言いたいかというと、そう、恋だ。人はこの歳になると、恋愛というものに目を向ける。気になっている人がふと現れ、その人が目の前にいると、ソワソワしたり、格好つけたり、見栄を張ったり、色々なことをする。そして、この私も例外ではない。これまで、彼女というものを一度も考えたことのなかった私でさえ、今は気になっている人がいるのだ。それは誰か……そう井田さんである。小学校からの友人として、色々関わってきたからこそ分かった。私は、井田さんが好きだ。私のタイプそのものなのだ。とはいえ、これが周りにバレてはならない。もしも、バレてしまったら、気持ち悪いとか難癖付けられて、井田さんや「いつも通りのメンバー」との交友関係を崩壊させかねない重要問題となってしまう。今のところ、周りにはバレていない……はずだ。きっと。よく、幼馴染は恋愛で負けるというが、そのようなことは、実際わからない。もしかしたら、井田さんよりもタイプの女性が現れる可能性もあるかもしれない。しかし、私はフラれるまで、彼女に愛を捧げると決めたのである。

 今回、私がアプローチをするにあたって、良かったことが1つある。それは、もう既に仲がいいということである。よくあるパターンとして、恋愛は全く話したことのない人に一目ぼれをし、友人になることから始め、しどろもどろしながら、発展、もしくは玉砕するのだが、今回はこのような行動が一切必要ない。つまり、もう既に仲がいいので、いきなり告白をしても違和感がないということなのだ。ちなみに、これは私の偏見である。とはいえ、私にはいきなり告白する勇気なんてものはない。これでも、フラれてしまったらとか、もう既に彼氏がいたらとか思うのである。

 そこで、友人に相談してみることにした。その相手に選んだのは、戸部君……は、ろくな答えが出なさそうだからなしとして、なんとなく理解してくれそうな、嵐山君に相談することにした。

「嵐山君、相談したいことがあるんだけど。」

「何ー?」

少しボケっとした口調、いつも通りの嵐山君だ。

「私の友人がどうやら愛の告白をするそうなんだけど、何か助言したいんだ。だけど、まあ、私は恋愛には疎いわけで。何かアドバイスしてほしいなと。」

私はこう言ってから気づいた。友人が相談してきたという設定はよくある、いわゆるテンプレで嵐山君にバレてしまったのではないかと私は思った。

「ふーん、友人か。俺も相談されたことがあるしわかるよ。」

意外に大丈夫であった。というよりも、嵐山君が友人の相談に乗った経験があるということに驚いてしまった。私は勢いで聞いてしまった。

「相談したことあるって……お前、そんなすごい恋でもしたのか?」

「ああ、全然よ。俺、告白なんかしたことないし、恋もしたことない。でも、友人の経験やラブコメを見まくって得た情報を分析して導き出した最適解を基に相談に乗ってるってわけ。」

私はこれを聞いて、彼に相談してよかったのだろうかと思い始めた。

「それって、信用できるのか?」

「安心しなさい。これまで何人のカップルを成立させてきたと思ってるんだ!?」

こう聞いて、さらに怪しくなってきたので、私は言った。

「0人?」

嵐山君は漫画みたいにこけた。

「ふぁ!?俺を馬鹿にしてるのか!?」

「してる……。」

私は即答した。さらに、嵐山君はこけた。

「そこまで俺を信用してくれないなら、相談乗らないからね!」

嵐山君は言った。さすがに、それは困るので、私は全力で謝った。

「ふう……分かってくれるならよろしい。」

嵐山君は腰に手を当て、いかにも偉そうな態度をとった。そして、すぐに姿勢を変え、彼はこう聞いた。

「で、あなたの友人が告白しようとしてるんだっけ?」

「はい。」

「お相手は、年上、年下?」

「同じくらいかと聞いております。」

私は答えると、嵐山君は少し、いや相当長く考え、さらに聞いた。

「うーん、じゃあ仲はどういう感じ?」

「普段から話しているくらいなら、仲がいいです。」

「そうか……。」

嵐山君はまた黙って考えた。そして、こう言った。

「つまり、デートとかはできるということか……。」

私はこの言葉を聞いて、顔を赤らめてしまった。

「で、で、で、で、デート!?」

「は?何で友人のお前がデートなんて言葉に顔を赤らめるわけ?」

やばい、怪しまれてしまった。

「い、い、い、い、いや、あれよ。よく、恋愛もの読んでるときに、いい感じのフインキのシーンになったら、なんとなく、そう、恥ずかしくなる感じあるだろ?これは、活字や2次元じゃなくて実際の人間だけど、その状況が起きてるってこと!」

必死で隠そうとしたからか、私の語彙力が急激に低下してしまった。

「ああ、そういうことか。」

嵐山君は言った。そういうこと?何だかとても意味深に聞こえる。

「……いや、俺もそういうことあるからなぁ。」

嵐山君は笑いながら言った。どうやら、気づかれていないようだ。そして、嵐山君は、

「あと、フインキじゃなくて、雰囲気な。」

と注意書きのように突っ込みを入れた。私はさらに恥ずかしくなった。

「お前、さっきの『デート』発言のときにゆでだこみたいになったと思ったら、今度は酢だこみたいになってるぞ。」

嵐山君は、さらなる突っ込みを入れた。

「それより、本題は?本題。」

私は話を本筋に戻して、ごまかした。

「ああ、そうだった。本題……普段から話すくらい仲のいい同じくらいの異性に告白するときのアドバイス……だっけか?」

「うん。」

私は返事をした。それを確認すると、嵐山君は少し溜めを入れて言った。

「魔法だよ。」

「魔法!?」

私は思わず聞き返した。すると、嵐山君は必死に説明するように言った。

「い、いや、魔法使いとかが使うやつじゃなくて、まあ、いわゆる、変わったシチュエーションというか、何でこういうことしちゃったんだろう不思議だなって感じのとき、人間一度はあるだろ?」

「まあ、あるけど。」

「それを使うんだよ。」

ますますわからなくなった。私は聞いた。

「使うって、どう?」

「例えば、体育祭とか文化祭とか、何かを一緒に成し遂げたとする。すると、お互いの距離が近くなって、一体感が生まれて、半ば興奮気味にもなるわけだ。あ、興奮ってのは、勝負事とか行事とかでってことで、別に性的な意味ではないよ。」

「いや、普通そうだろ。」

「そうか。」

嵐山君は話をつづけた。

「そうしたときに告白のチャンス……と言いたいところなんだけど、それは無理で、なぜなら、行事の余韻が多少ながら残っていて、相手が恋愛どころではなくなっているからなんだ。そこで、おすすめなのが、行事後の『打ち上げの後』。打ち上げになり始めると、行事の余韻も薄れ、いつも通りの状態に戻り始める。でも、さすがに、打ち上げの途中なんかで告白したら、そんなの公開処刑で、黒歴史ばら撒き機の何者でもないわけだ。だから、打ち上げの終わった後の帰り際、2人きりになって、誰も見ていないのを確信したときに告白する。そうすれば、ちょうどいい濃度の行事の余韻とタイミングや環境なんかが作用して、成功すること間違いなし!」

途中から、嵐山君が自分の世界に入って早口で語ってはいたが、私は1文字も聞き逃さなかった。そして、最後に嵐山君は決めポーズをして言った。

「これが、秘技!恋の行事の魔法!」

私は拍手をした。

「ありがとう、最高だよ。友人に伝えておくよ。」

「そうか、その友人も成功すればいいな。じゃあ、また何かあったら言ってくれ。」

「うん。」

最初はどんなアドバイスが出るのかと心配であったが、案外、まともな回答をしてくれた。嵐山君は去り際、私にぼそっとこう耳打ちした。

「頑張れ、西島君。幸運を祈る。」

私は全てを悟った。

「も、もしかして……お前、知って……。」

私は言うと、

「さーて、どうかなー!」

と嵐山君は大きな声でそそのかすように言い、そのまま逃げて行った。バレて……しまった……のか?

「くそおおおおおおお!!!」

私は昼休みの教室のど真ん中で叫び、周辺の人々は一瞬だけ背筋が伸びた。私は、また酢だこみたいになった。


  さて、1ヵ月の時が過ぎた。ついにこの日がやってきたのだ。私は、入念に分析をし、直近であの「恋の行事の魔法」とやらを使える日を探した。そして、今日の体育祭……の打ち上げの後が、もっとも適当であるということを導き出したのだ。目の前で、綱引きやら徒競走やらが行われているが、そのようなものは、今、私の眼中にない。打ち上げの後に告白する。ただそれだけが、頭の中をめぐっていた。勿論、成功率が高いからと言って期待はしていないし、多少ながら心配もある。だが、今日、告白すると決めたのだから、もうそれが覆ることはない。

 正直言って、体育祭のことは何も覚えてない。そして、打ち上げのカラオケで、何をしたかもそこまで覚えていない。打ち上げで、唯一覚えていることは、私が何故か無駄にラブソングを歌いまくったということくらいである。そういえば、井田さんも、中学校の生徒会役員同士でお別れ会として行ったカラオケのときのより、なんとなくラブソングを歌っている量が多かったような気がするが、きっと気のせいだろう。

 さて、夕方、打ち上げの帰り道、駅前の交差点付近で、私と井田さん、二人きりになった。しかし、駅前の交差点は、人通りも多く、決して告白できる場所ではない。私は、駅から少し離れた人通りのほとんどない路地に入ったところで、話しかけた。

「あの……。」

「ねえ……。」

私と井田さんは同時に話しかけたようだった。

「先にどうぞ……。」

私は言った。

「いえいえ、明君から……。」

井田さんは言った。私は深く深呼吸をした。

「井田さんって……好きな人っているの……?」

私の悪い癖だ。こうして、多少ながら不安があるときは、何故か保険をかけてしまう。

「……うん。」

井田さんは言った。私はこれを聞いて、目を見開いた。これは……どっちなのだろうか。私なのか、私以外で好きな人がいるのか。

「それって……どんな人?」

私はそう聞くと、井田さんは答えた。

「私の……半径10m以内にいたりして……ね?」

私は、急いで周りを確認した。しかし、誰もいない。いや、「いたりして」という言葉から、もしかしたら、この周辺に好きな人の家があるのかもしれない。しかし、周りには見渡す限り商業ビルやお店しかなかった。もしかしたら、もしかするのかもしれない。とはいえ、確証はない。とにかく、決めたものは決めたもの。勇気を出していうことにした。

「もし、好きな人がいたなら、申し訳ない……。でも……、これだけは言わせてほしい……。あなたのことが……、あなたのことが……、好きなんです。」

私は言った。言い切った。すると、井田さんは少し下にうつむいた。私は失敗してしまったのではないかと思った。そして、井田さんはこう言った。

「ねぇ……抱きついていい?」

いきなり、このようなことを聞かれたので私は混乱した。私はバレないように深呼吸をした。そして、私は答えた。

「別に……いいけど……。」

これを聞くと、井田さんは私のところに走ってきて、抱きついた。私は来ると分かっていながらも驚きの声を上げてしまった。

「あはは、先に……、先に言われちゃったな。」

井田さんは少し涙ぐんだ声で言った。

「先にって?」

私は聞いた。

「さっきさ、同時に話しかけちゃったとき、本当はあなたに告白しようと思ってたの。」

「よりよって、なぜこのタイミングに?」

「嵐山君が学校行事の打ち上げの後に告白するといいって言ってたから……。」

井田さんも嵐山君に相談していたのだ。そして、この言葉を聞いたとき、全てを察した。

「と、いうことは、井田さん……。」

「付き合っていいに決まってるよ!」

私は過去にないくらいの喜びを感じた。先ほどは、普段は比較的落ち着いている性格の井田さんに、急に抱きついていいかと聞かれて驚いたが、なぜか、不思議と納得していた。そして、仲のいい人であっても、知らないことは多くあるということを感じた。しばらくして、私の腕を離れた後、井田さんは言った。

「明君、恋人同士なのに、苗字呼びって何かおかしいなあって思うな。私は、前から下の名前で呼んでるのに……。」

「じゃあ、富美……これでいい?」

私は言った。少し恥ずかしかった。

「いいね!これからは、これで呼んでよ!」

富美は言った。

「うん。」

私は言った。夕日で金色こんじきのように輝いた空は、まるで、私と富美が結ばれたのを祝っているかのようであった。こうして、私の告白は大成功を収めることとなったのである。

 数日後の教室。昼休みも半ばとなり、大半の人が昼ご飯を食べ終えていたころのこと。

「知ってたの!?」

私と富美は同時に驚きの声を上げた。

「バレバレだっての。」

嵐山君は言った。なんとなく予想はできていたが、嵐山君はこの恋のことを知っていたようで、また、私と富美が両想いであったことも知っていたようだった。さらに言ってしまえば、嵐山君によって、ほかの「いつも通りのメンバー」全員にもこの恋の話は広まっており、既にバレてるバレてないで、びくびくしなくとも、よかったということが分かったのだ。ここで使うべき言葉では明らかにないし、意味もきっと違うのだが、この世には「恋は盲目」という言葉がある。これからは、恋をしていることや恋人がいることを隠そうとしても、どこかからかその気持ちは漏れ出ているということを意識したほうがよさそうだ。

【予告】

 1学期の期末テストも終わり、待ちに待った夏休みがやってきた。「いつも通りのメンバー」は、夏の思い出作りに肝試しをすることを決める。そして、当日、彼らは身の毛もよだつ恐怖を味わうことになる――


  次回 第2章 夏の肝試し 現在公開中


------------------------------------------------------------

こんにちは、明日あす とおるです。

二人ふたりつねそらうの第1章をさっそく読んでいただき、ありがとうございます。これって、転生系の話じゃないのか、詐欺か、なんて思うかもしれません。第4章まで待ってください。お願いします。きちんと異世界行きますから。大丈夫です。なぜこれだけ転生前の話が長ったらしく書いているのかについては、これの前の「はじめに」を読んでくれるとわかると思います。

近日公開としましたが、まだ時間もあるし、最低でも第8章までストックもあるので、割と早いスパンで公開できると思います。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ