表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢の中の誘拐事件  作者: 灰色坊や
第4章∶先の未来へ
72/73

【5話】交わされる握手


「思いっきり泣いたら、何だかスッキリしたよ」


 鵜飼(うかい)はウンと背伸びをした。と、ここで、キーンコーン……とチャイムが鳴り響いた。


「あー、記憶がグチャグチャだから、これからどうすればいいのか分からないよ……」


 鵜飼は頭を掻き乱した。


「クラス替えの発表は、もう終わった時期だよね……。僕の教室って何処だったかな……。職員室に訊きに行こうかな……」


「その必要はありませんよ」


 神崎(かんざき)はポケットからメモ帳を出し、あるページを開いた。


「ええと、あなたの教室は南の校舎です。そこの下駄箱から入って三階に上がり、最奥にある教室が、あなたの教室ですよ」


 言うと、神崎はメモ帳をポケットにしまった。


「ありがとう。用意周到だね」


「どういたしまして」


 鵜飼と神崎は、微笑みを交わした。


「そういえば、さっきの返事してなかったよ」


 鵜飼は神崎に向かって右手を差しだした。


「僕、君たちと共に自殺者を救うよ」


 鵜飼は、しっかりとした表情を作った。

 神崎は二、三度頷いた後、鵜飼と握手した。


「えっと、僕は救出者になるってことだよね?」


「はい。あなたとの契約は、本日、学校が終わってからにしようかと思います。その時に仲間も紹介させていただきます」


「仲間……」


 仲間、というキーワードを自分で口にして、鵜飼はハッとした。


「ね、ねえ、もしかして……」


 鵜飼の先を読むよう、神崎は笑顔で頷いた。


「あなたの言わんとしていることは分かります。二階堂(にかいどう)さんも居ますよ?」


「やっぱりそうなんだ!」


 鵜飼は思わず笑みを溢した。


「性格は相変わらずですけどね。夢と違って、こちらの世界ではまだ高校一年生ですが」


「へえ……。楽しみだな……。どんな感じなんだろう……」


 鵜飼が胸を躍らせていると、神崎が「あの……」と声をかけてきた。


「もうすぐ一年生の入学式と合同の始業式が始まりますよ? 教室に行かなくてもいいんですか?」


「そっか……」


 鵜飼は照れ隠しに頬を掻き、神崎はクスッと笑う。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ