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夢の中の誘拐事件  作者: 灰色坊や
第2章∶蘇りの代償
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【19話】 神崎が聞きたいこと


「あの……私から一つ、訊いてもいいですか?」


 珍しく、神崎かんざきが控えめな口調で言った。


「なになに? 何でも訊いてよ」


「来週、鵜飼うかい穂苗ほなえに会ったら、鵜飼さんはまず何をしますか?」


 鵜飼は「うーん」と腕を組んだ。


「そうだなぁ……。あんまりベタベタしたら殴られそうだし……」


 クスッと神崎が笑う。


「ヌイグルミを買ってあげようかな」


「ヌイグルミ……ですか?」


「うん。穂苗は強気な性格なんだけど、寂しがり屋でもあるんだ。小学四年生まで親と一緒じゃないと眠れなかったし、中学に上がってからもヌイグルミと一緒じゃないと眠れなかったぐらいだから――」


 アッと、鵜飼は先の言葉を飲み込んだ。


「このことを誰かに言ったこと知られたら、穂苗にぶん殴られるから、会った時は内緒にしててね」


「ええ、考えておきます」


 鵜飼と神崎は笑い合った。


「では鵜飼さん、私はそろそろ失礼します」


「うん、またね」


 神崎が立ち去ろうとした寸前、鵜飼の頭がフラッとした。

 気付けば、鵜飼はその場に座り込んでしまっていた。


「大丈夫ですか?」


 神崎は心配そうな表情で、座り込んだ鵜飼に合わせてしゃがんだ。


「大丈夫……。ちょっとフラッとしただけ……。最近あまり寝てないし、色々な思いが一気に詰まって脳がビックリしただけだよ、きっと……」


「あの、救急車を呼びましょうか?」


 ううん、と鵜飼は首を横に振り、立ち上がった。神崎も、鵜飼に合わせた緩やかなペースで立ち上がる。


「寝たら治るから大丈夫。今から部屋で寝ることにするよ」


「あの、もしものことがあると恐いので、看病しましょうか?」


「あ、いや、べ、別にいいって! 少し寝たら治るから! そこまで心配しなくても大丈夫だから!」


 鵜飼が照れて拒否すると、神崎はクスクスと笑った。


「そうですか。でも何かあってからでは遅いので、寝ても異常が治らないのであれば、ちゃんと病院に行って下さいね? 来週、鵜飼穂苗が蘇っても、あなたの身に何かがあっては駄目でしょう?」


「あ、うん……。心配してくれて、ありがとう……」


 いえ、と神崎は微笑む。


「では鵜飼さん、お大事に」


 神崎は一礼してから去っていった。


 その後、鵜飼は部屋に入ると、すぐさまベッドにダイブした。


 そして仰向けになって、静かに目を閉じた。


 眠りに入った瞬間を感じられるほど、心地よい眠りに入ることができた。


 夢を見ることなく、起きた時には目と頭がすっきりしていた。


 時計を見ると、四時間ほど眠っていたことが分かった。丁度その時、鵜飼のスマホがブルブル反応。


 藤井からの着信だった。



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