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夢の中の誘拐事件  作者: 灰色坊や
第2章∶蘇りの代償
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【5話】二階堂の実力


「では鵜飼うかいさん、鵜飼穂苗(ほなえ)の蘇りに近づくために、あなたに命じます。


 次の金曜日に見るあの夢の中で、神田かんだヨネという人物を救出するのです。その人物こそ『誘拐犯の核』が住み着いた人物です」


「救出って、誘拐犯と戦闘するんだよね……」


「ええ。そして今までの夢とは違い、救出に成功すれば、自殺者を一人救うことができます。


 失敗すれば自殺してしまいますし、一度でも救出に失敗すれば、鵜飼穂苗の蘇りは消滅します。そのことは肝に銘じて下さい」


「……うん……分かってる……。でも大丈夫かな、僕……。救えるかな……」


 夢の中での戦闘経験が浅い鵜飼にとって、不安が募るだけであった。


「大丈夫ですよ、鵜飼さん。あなたの戦闘能力は十分に高いですし、二階堂にかいどうさんがその夢で助太刀してくれますから」


「……二階堂さんが?」


 鵜飼は向かいの座席に座る二階堂を見た。すると、二階堂は遠慮がちに会釈。


「安心して下さい。二階堂さんはあくまで()()()()()()()()です。

 厚生労働省に入る前に、夢の中での戦闘を私の傘下で何度も行ってきています。

 ですので夢の中での戦闘能力は極めて高いです。私の知る限り、彼女を超える実力者はまだ居ません」


「そ、そんなに凄いんだ……」


「ええ。二階堂さんが助太刀するとなれば、難易度はゼロ同然ですので安心して下さい」


 神崎は優しく微笑むことで、独特の間を空けた。


「あ、でも『誘拐犯の核』が住み着いた自殺者と『何らかの関係』じゃないと、救っても自殺しちゃうんだよね? 僕、神田ヨネなんて人、知らないよ?」


「大丈夫ですよ。神田ヨネとの『何らかの関係』については、鵜飼さんには内緒で既に持たせています。

 その手段については申し訳ありませんが、機密事項なのでお伝えすることはできません」


 神崎は一礼した後、紺色のメモ帳を出して、あるページを開いた。


「ええと、あなたが次に見る夢の中では……神田ヨネと、吉池よしいけ五郎ごろうと、見郷みごう吉宗よしむねの三名が誘拐されます。


 ですので、廊下の先から走ってきた人物に、神田ヨネの名前を言って下さいね。くれぐれも、他の名を言うことのないように」


 頷く寸前、鵜飼はハッとした。


「ちょ、ちょっと待ってよ! 今、見郷吉宗って言わなかった?」


「ええ。それが何か?」


 見郷吉宗……彼は政治家であり、見郷紫乃(しの)の父親である。


「あの、神崎……見郷吉宗の救出に向かうってのは、ダメかな?」


「……どうしてです?」


 神崎は表情を渋らせた。


「あのさ……さっき、僕と一緒に居た女子が……見郷紫乃っていう人で……。見郷吉宗は、その人の父親なんだ……」


「……そうだったんですか……。しかしこればかりはどうしようもありません。

 

 一度でも救出に失敗すれば消滅するように、一度でも『誘拐犯の核』を消せる機会を逃してしまったら、蘇りが消滅するのです」


「……な、何とかならない?」


 神崎は首を一往復だけ横に振った。


「すみません、無理です。鵜飼穂苗が蘇らなくてもいいのなら可能ですが」



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