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#7.魔物の正体


 「お待たせしました。ケンさん。こちらの水晶に手を置いていただけますか。」

 カノンは水晶を持ってきた。

 本来は、ギルドの登録を実施するときに、確認するものだという。

 だが、このテイマーギルドが廃れた今、ほとんどこの水晶の使い道は残されていない。

 しかし、鑑定魔法ができるようなり、触れたもののスキルが分かるのだという。


 僕は水晶に手を置く。


 「えっ。」

 カノンは目を一気に輝きだす。

 「まさか。」


 「え?ねえ、どうしたの?シスター?」

 「何?何?」

 「見せて見せて。」

 そんな声が集まり、子供たちが水晶の周りに集まっていく。


 「す、すっげー。」

 子供達も、目の色が一気に変わる。


 「魔法は全属性適正あり。その中でも攻撃魔法系の全属性が、全部最高ランク。剣術と格闘術も最高ランク。武器の扱いも長けている。その他、攻撃系のスキルもほぼ最高ランクに等しいし、戦闘系の加護がほぼすべてそろっている。凄すぎる。」

 カノンは、僕のスキルを読み上げていくたびに目の色が輝きだす。


 「そして、めちゃくちゃ、頭もいいじゃん。すっげー。」

 レオが興奮状態になる。


 だけど。

 水晶を全て見終えたとき、シスターと子供たちは大きなため息をついていた。


 「あの・・・・・。どうだったのです?」

 僕はカノンたちに聞いてみる。


 「ケンさん、その、凄すぎます。ここまでの人は見たことがありません。」


 「ああ。全属性魔法が使えるということですか?」

 僕は聞いてみるが。

 確か、この世界に行くとき、特別ボーナスで、強化してもらったからな。


 「いえ、それ自体は、珍しくありません。全属性適正がある人は結構います。問題は、そのような人でも得意不得意がありまして。ですが。ケンさん、貴方は攻撃系の属性魔法は全て、最高ランク。そして、それに準ずる加護もほとんどそろっています。それが珍しくて、凄すぎるところです。

 ただ、治療魔法とかは苦手そうですが・・・・・。」

 僕はカノンの言葉に頷く。

 確かにそうだ。僕はもともとは警察官。医者とか薬剤師とかではないからな。

 そして、レオは少し興奮していたが、確かに、勉強もそこそこの成績を取っていたが、兄や姉たちが優秀過ぎて、両親から蔑まれていたので、ここは自信がなかった。


 僕がそんな顔をしたのか、シスターは。

 「もっと自分に、自信を持ってくださいケンさん!!」

 「そうだよ。ケン兄ちゃんが、俺たちの希望なんだ。さっきの魔物だって、Sランクの魔物なんだぜ!!」

 カノンとレオが僕に向かって言う。


 「えっ?どういうこと?」

 僕の表情は一気に驚く。

 なんと、Sランクの魔物を倒していたというのか。


 「はい。骸骨のような騎士たちが【アンデットナイト】。これはランクBの魔物です。そして、リーダーの魔物は、【デスダークアーマー】。これがランクSの魔物で。鎧を着ていてわかると思いますが、物理攻撃はほとんど入らず、かなりの高威力の魔法でないと倒せません。しかも、一部の属性は耐性も持っていて。でも、ケンさんは、どちらの魔物も、下位魔法で倒してしまって。」

 カノンは驚いていた。


 「ケン兄ちゃん。王都まで来るのに、魔物とかに出会わなかった?」

 レオが聞いてくるので。

 スライムとゴブリンとグリフォンに出会ったことを話した。

 そして、グリフォンに魔法が効かず、剣で倒した話をした。


 「す、すっげー。」

 子供たちが唖然としている。

 レオも、カノンも同じ表情だ。


 「そんなにかな。グリフォンはともかく、スライムとゴブリンくらいはどこでもいるような。」


 「あの、すみません。そのグリフォンって、黒い色してませんでしたか?もしかして、途中戦った、スライムとゴブリンも黒色をしていませんでしたか?」

 カノンが、聞いてくる。


 「ええ。ここの大陸の魔物は黒いものかと思ってましたが・・・・・・・。」

 カノンと子供たちが一斉に首を振る。


 「ケンさん、それは・・・・。グリフォンの中の上位種【ダークグリフォン】です。スライムも、ゴブリンも、それぞれ上位種。【ダークスライム】、【ダークゴブリン】です。最低でも、Cランクの魔物ですよ。」

 シスターは驚いたようにこちらを見る。


 「そうだよ。ケン兄ちゃん。通常、グリフォンは魔法に弱いんだぜ。例外として、【ダークグリフォン】だけが、魔法が効かないんだよ。」

 レオはさらに驚いたように続けた。


 な、なんと、僕はすでに異世界で無双していたというわけだ。

 アニメとかでよく見るが、実際に知らない間に無双していると、結構ヤバい目で見られることが分かった。


 「王都の周辺は魔王の支配の影響か、周辺の魔物もますます凶暴化しています。だから、私たちは王都の中から出られず、困っていたのです。」

 カノンはそう言って、この王都の現状を話す。


 「ケンさんの水晶を見て、私たちは希望を持ちました。ケンさんこそ・・・・。ですが、ケンさんでも、魔物たちの親玉である、魔王は倒せなさそうですね。」

 カノンと、子供たちは少しため息をつく。


 「ケンさんは色々な加護やスキルをお持ちですが、魔王を倒すのに必要な、【勇者の加護】がありませんでした。勇者をサポートするに必要な、【大戦士の加護】、【大魔導士の加護】、【賢者の加護】もありませんでしたので。」

 なるほど、勇者でも勇者のパーティーの一員でもないということか。正直ほっとする。

 だから、水晶を見終わったとき、少しため息をついて、落胆していたわけだ。


 「ごめんなさい・・・・・。無理ですよね。何期待しているんだろう。私。ケンさんはとてもすごいのに。【勇者の加護】だなんて。そんな、世界に一人居るか居ないかと言われる、伝説の、しかも、唯一生まれ持って授かる加護をすぐ期待するなんて。ケンさんに失礼をしてしまいましたね。」

 カノンは泣き出す。

 魔王に支配された王都、おそらく、希望はそこしかないのだろう。


 「頭を上げてください。お気持ちはよくわかりますよ。私も、こんな絶望にあっていたら、期待しちゃいます。」

 僕はカノンに歩み寄る。


 「優しいのですね。ああ。【勇者の加護】を持った人もこんなふうに優しい人であればいいのに・・・・・。」


 そういってもらえて、光栄だった。

 この現状を変えるには、おそらく、お城に居座る魔王を倒すことが、一番手っ取り早い。

 だが、転生したばかりの僕に、いきなりラスボスに挑むということは、さすがに荷が重い。

 でも、魔王を倒さなくても、子供たちが明日を生きるために何かを変える方法があるのではないか。


 しかし、王都の現状を見るに、魔王を倒すことしか、思い浮かばなかった。


 「試しに聞きますが、魔王って、僕でも倒せますかね?【勇者の加護】はありませんが、これだけ、僕に信頼をしていただいているのです。何か、力になればと。」

 僕は聞いてみる。

 シスターも、そして、子供たちも、難しい顔をした。


 「それはとても難しいです。【勇者の加護】を持っている人でも、一苦労します。だから、勇者のパーティーのような加護が必要で。それに・・・・・。」

 「それに?」


 「6大国にはそれぞれ、秘宝があります。いずれも勇者の装備で、来るべく、勇者を待って祀られているのですが。魔王は、このフィルドランド王国の秘宝、【勇者の盾】を奪い、その力を利用して、さらに力が増強しています。さらに言えば、王宮には魔王の大群がわんさかいます。流石のケンさんでも、周りに囲まれるだけ囲まれて終わりです。そんなところに、ケンさん一人で行かせるなんて。」


 カノンの話を聞いて、ますます、魔王を倒すことは困難を極める。

 いくら、スキルが大量にあったとしても、さすがにそれは厳しい。

 だが、子供達をこのまま放っておくわけにはいかない。何かあるといいのだけど。


 「あーっ。」

 その時、子供たちが叫んだ。

 叫んだ方に急いで駆け寄る。


 「そ、そんな。転送陣が・・・・・・・。」

 シスターが一気に膝をついた。


 僕たちの視線の先に現れたもの、それは。

 先ほど、魔王の軍隊の襲撃が原因で破壊されたと思われる、壊れた転送陣だった。





ご覧いただき、ありがとうございました。

まだまだ序盤なので、どうなるかお楽しみに。

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