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#3.小さな盗賊


 布を被った少年は、僕に弓を放った。

 つかさず、その矢をかわす僕。


 【20階級特進】と【特別ボーナス】の影響なのだろう。

 少年の弓矢は止まって見える。


 「え、ええい。死ね、死ね、死ね。」

 少年は矢を次々に放つ。


 剣を取り出す僕。ちなみにこの剣は、警察学校時に使っていた、剣道の竹刀を天の門番たちが剣に、変えてくれたものだ。

 今着ている装備は、警察の制服を変えてくれたもの。

 故に動きやすい。


 剣で少年の矢を次々弾く。

 剣で矢を弾く度に、一歩、一歩、少年に近づく。


 少年に近づく度に、矢を射る手が震えている。

 だんだんと、的を外すようになり。


 ついに、至近距離に近づき、少年は弓矢を捨て、短剣に持ち替える。


 「ええい、こうなったら。」


 少年は僕に突撃してくる。

 まずい。剣で防衛できるが、まだまだ、【20階級特進】と【特別ボーナス】の力を抑制できない。

 変に攻撃すれば、少年を殺してしまうことになる。

 それは流石に良くない。

 彼はまだ子供だし、それに、この少年がこの転生後の世界で、最初にあった人間なのだから。

 話を色々聞かなくてはならない。


 深呼吸して、僕は頷く。幸いにも、短剣を振り回す腕も止まって見える。

 短剣を持っている腕を掴む。


 「くっそー。こうなったら、僕を殺せ、父ちゃんと、母ちゃんの元に行って、幸せになるんだ。僕は盗賊だぁ!!この国なんて、大っ嫌いだ!!」

 暴れる少年。


 「落ち着くんだ。」

 僕は大きな声で少年をなだめる。


 「うるせえ、もともとはお前らが悪いんだ。この国が、大っ嫌いだから、盗賊になったんだ!!でも僕は何もできなかった、父ちゃんと母ちゃんの元に行く。お前の言いなりになるなら死んだ方がマシだ。」

 いうことを聞かない少年。


 「やめなさい!!」

 僕は大きな声を出す。


 「今お前が死んだところで、君のご両親が悲しむだけだ。どんなに遠くに離れてても、お前の言葉からは、きっと、ご両親がお前を愛して育ててくれたんだろ。その時を思い出せ。ご両親のためにも生きろ!!」

 僕はさらに少年を戒め。


 「うっ、うっ。うわぁぁぁぁ~ん!!」

 一気に泣き出す少年。


 少年の手元が緩み、僕は少年の手から、短剣を回収する。

 そして、少年と同じ目の高さになる。


 元警察官の僕。補導する時のことを思い出す。

 やはりこの世界にも、子供の心は変わらず、存在するようだ。


 「それに、僕は、城の人間ではない。たまたま、この国の王都を訪れた、別の大陸から来た、旅の人間だ。」

 「うっ。ち、ち、違うの?」

 少年は涙をこらえて、言葉をしゃべる。


 「ああ。そうだよ。」

 僕は少年の目を見て言う。


 そうだ。確か・・・・。

 僕は鞄の中を探る。リンゴがあったはずだ。

 鞄の中からリンゴを取り出す。天の門番たちに感謝だ。

 日本の警察官時代の自分の部屋にあった、食べ物もいくつか入っていた。


 「あっ。リンゴ。おいしそう・・・・・。」

 よかった。どうやら、この食べ物が分かるようだ。


 改めて、日記を見直す。

 『食べ物に関しては、野菜、果物は基本的に日本の物と同じ。ただし、肉や魚などは魔物や動物からとれる場合もあるため、名称が微妙に異なる。』

 なるほど。この少年はリンゴで通用するようだ。


 何よりも、リンゴを受け取ったときのキラキラした瞳。

 よほど、あの広場にあるような、腐った食べ物しか食べてこなかったのだろう。


 さらに袋から取り出し。

 「これを。」


 金貨を3枚渡す。

 金貨1枚で1万ゴールド。つまり、1万円の価値。

 つまり、少年に、3万ゴールドを渡す。


 「あ、ありがとう。」

 「ああ。だからもう、人を襲ったりするのはやめなさい。どんなにつらくても、明日は必ず来る。」


 「うっ、うん。」

 そういう言葉しか言えない自分が悔しかった。

 警察官であれば、罪人をただすことができる。だが、それは周りの環境があってこそだ。


 今回の場合・・・・・・・。

 そもそも、国がおかしい。この金貨が底をつけば、少年はまた・・・・・。


 そのことを察したのだろうか。少年は黙って、この場を離れなかった。


 涙を流すのをやめ、落ち着いた少年に僕は問いかける。


 「少年、名前、言えるか。」

 「レ、レオ。じゅ、12歳。」

 レオは小さく答えた。


 「そうか、レオ・・・・・。お前は根は悪い盗賊じゃない。だから、僕に教えて欲しい。どうして、こういうことをしているのか、説明してほしい。僕に対して、最初、悪いことをしたんだ。説明する、責任がお前にはあるぞ。」

 僕はそう言って、ゆっくり、レオに説明した。


 「うん。でも、ここじゃ、まずいから、僕に、付いてきて。付いてきてくれたら、ちゃんと話すから。」

 「わかった。」


 レオはそう言って、時々後ろを振り向き、僕の姿を確認しつつ、歩を進めた。

 僕はレオについて行った。



ご覧いただき、ありがとうございました。

まだまだ序盤なので、どうなるかお楽しみに。

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