#2.王都?
そこは、見るからに廃れていた。
眼下に広がるのは、大きくて、巨大な城。目を引くものはそれで終わりだった。
城下町は完全に荒廃し、見るからに粗相だった。
僕は、この世界に転生した。
天の門番である、老人の指示通り。洞穴で目覚めて、北へ向かった。
途中、スライムとゴブリン、さらにはグリフォンに遭遇し、剣や魔法を確かめた。
どうやら、この世界の魔物の身体の色は黒いらしい。いずれの魔物も黒い体をしていた。
魔法も、炎と風の初級魔法である【ファイアーボール】、【ウィンドカッター】で倒すことができた。
幸いにも、2つの魔法の魔法陣はすぐに浮かび上がって発動することができた。
だが、グリフォンが出てきたときはヤバいと思った。
まず、巨大さに驚いた。
そして、魔法が効かず、少し怪我をしてしまった。
だが、途中から、気持ちを切り替え、剣で倒すことができた。
回復魔法のスキルは低く、あまりいい回復魔法は覚えていないが、初級の【ヒール】は使えたので、怪我を直すことも出来た。
なるほど、グリフォンは魔法が聞かないので、遭遇したら、武器で倒すと。
僕はつかさず、日記にメモする。
そうして、小走りに王都にたどり着いたのだ。
しかし、僕が見たものは、理想の王都とは言えない景色だった。
・・・・・ここが、王都か・・・・。
いささか疑問が残るも、僕は王都に足を踏み入れる。
だが、独特の匂いが王都の中心部に行けば行くほど漂う。
独特の匂い。これはまさしく、悪臭だろう。
そして、人子一人いない。
改めて、僕は、地図帳、および高校時代に使っていた地理の参考書を袋から取り出す。
そこにはこの世界の情報が載っている。
<6大国、および6大組織一覧:最も広い中央大陸に位置する6つの巨大な国>
※6大組織。世界中に支部がある。6大国の各国に1つの6大組織の総本部がある。総本部がある国は、最も加入者人口が多い国である。
●国名/総本部がある6大組織名/都の愛称/所持している国宝
1.フィルドランド王国/テイマーギルド/芸術の都/勇者の盾
→中央大陸の最北部にある。
2.ローヌベルグ王国/魔導士ギルド/世界の頭脳/勇者の兜
→中央大陸東側の、魔道国。王立魔道学院などを有する。
3.アドリア帝国/冒険者ギルド/騎士の都/勇者の鎧
→アドリア山脈北西部にある、山脈から吹き付ける風の寒冷な土地。崇高な騎士の王国
4.ミルデラン公国/商人ギルド/水の都/勇者の靴
→大陸南側のほぼすべての港町を掌握する、商人の国。
5.シープル諸国連合/職人ギルド/愛の故郷/勇者の剣
→大陸西側。ドワーフ、エルフ、猫人族などの他民族国家。ドワーフの作った勇者の剣が国宝。
6.サンフィレノ永世中立国/教会・教団/平和の都/勇者のマント
→大陸中央、およびこの世界の中央にある国。神話に出てくる【知識の大樹】を管理している。
うん、わかりやすい表とメモだ。
となると、フィルドランド王国は、テイマーギルドが強い。つまり、召喚士とかが多く居るということか。
そうなると、この悪臭は、動物や、魔物の匂いなのだろうか?
それにしても悪臭が強すぎる・・・・・・。
ここまでひどいとなると、原因は魔物や動物だけではないような・・・・・・。
いろいろと考察しながら進む。そうすると、僕は動く影を発見した。
「これはチャンスだ。王都での初めての人影だ。」
その影はゆっくりとこちらに近づいてきている。
影の形からして人ではないことに気付き、僕はそっと身を路地に隠す。
その影の正体は馬車だった。
その馬車について行くことにする。
その馬車と一緒に付いて行くとどうだろうか、悪臭の匂いがさらにきつくなる。
思わず鼻を押さえる僕。
嗅覚が変になりそうだな。
馬車は広場に到着する。
その広場が一番悪臭が漂っていた。
あまりの匂いのきつさに、広場から離れて、遠めで馬車の動向を注目する僕。
馬車に乗っていた人物は、荷台から、一目散に何かを捨てている。
「なるほど、町のゴミ捨て場か。通りで、悪臭がするわけだ。」
広場の悪臭の原因が分かった。
確かに荷台から下ろしているごみの中には、腐った食べ物や残り物が確認できる。
馬車はごみを捨て去っていく。
馬車の去っていった方向は城の方向であった。
僕は、あまりの悪臭に、ここを立ち去ろうとしたが、一瞬で立ち去るのを辞めた。
初めて見るものが現れた。
人影だ。しかも、1人、2人ではない。100人くらいの人影が、わんさか広場に集まってきた。
そして。
「おい。俺が先だ。」
「何言っているの?私が先。皆平等だ。」
馬車が捨てていったゴミの山に人が集まり、あるものは懐に入れ。
あるものは、何とその捨てられた、腐った食べ物を口に入れる。
その光景に息を飲む僕。絶句しかなかった。
その光景を目にし、僕は大体、この国の現状を知った。
僕の推測が正しければ、急いでこの国を離れ、さらに、別の大陸に行かねばならない。
6大国と呼ばれる王都でこの現状。
あまりにも貧しすぎる。国やテイマーギルドは何をしているのだ?と疑問に思う。
ここを拠点にするのは難しいな。
僕は振り返り、もと来た道を戻ろうとした、時だった。
「おい、お前。」
子供の低い声。
ショートヘアの少年が布を被り、弓を構えて、こちらを見ていた。
「お前の服、見るからに高そうな装備だな。城の連中だろ?」
少年の怒りの瞳。
「ちょっと待て。君は何かを誤解している。」
僕は少年に、誤解を解こうとする。
「うるさい、お前たちのせいで、僕の父ちゃんと母ちゃんは・・・・・・。」
少年は怒りと涙で満ちている。
「お前のせいだ!!」
「お前のせいだ!!」
声が大きくなる。
そうして、少年は僕に弓を放った。
ご覧いただき、ありがとうございました。
まだまだ序盤なので、どうなるかお楽しみに。
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