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78話 やりたいこと

「ところで」


 一通りの検査が終わったところで、ふと疑問に思う。


「パルフェ王女は、基本、魔物の研究をしているんですよね?」

「うん、そうだね」

「どうして、そのようなことを? 興味がある、というのはわかりましたが、なぜ興味を持っているのか、というのは聞いておらず……」

「んー……聞きたい?」

「可能ならば」


 今は、パルフェ王女が主だ。

 主の願いを叶えるため、できる限りのことは知っておきたい。


「ま、いっか」


 パルフェ王女は検査結果が書かれた書類を机の上に置いて、椅子をくるりと回転させてこちらを見る。


「魔物はとても不思議な存在で、ボクはその生態を解き明かしたい。ここまでは話したよね?」

「はい」

「なぜ解き明かしたいのか? その理由は、大きく分けて二つある」


 パルフェ王女は人差し指を立てた。


「まず一つ。ボクが王女だからだよ」

「それは……?」

「魔物の生態を解き明かすことで、魔物による被害を減らせるかもしれない。あるいは、魔物を使役することで労働力を大きく増やすことができるかもしれない。他にも、色々なことができるかもしれなくて……そう! 魔物の可能性は無限大なんだよ!」

「は、はい」


 ものすごい勢いで。

 そして、子供のように無邪気でキラキラした瞳を向けられて、ついつい反射的に頷いてしまう。


 前から感じていたけど、子供っぽいところがある人だな。


 いや。

 子供っぽいというよりは、ひたすらに純粋なのだろう。

 とにかく興味のあることに一直線。

 他のことは見えていない。


 それは短所かもしれないが……

 しかし、時に長所となる。

 事実、パルフェ王女は魔物の研究で秀でた才能を見せていた。


 パルフェ王女は、続けて中指を立てる。


「もう一つの理由は……」


 そして、これまで以上にテンション高く告げる。


「謎を解き明かしたいからだよ!!!」

「……はい?」

「魔物はどこからやってきたのか? 自然に発生したものなのか? あるいは、人工的に手が加えられたものなのか? 寿命は? 生態は? 趣向は? 感情はある? 仲間意識は? 家族愛は? その能力と、力はどこから? 他にも解き明かしたい謎がたくさんあるのさ!」

「はぁ……」

「これだけの謎の塊、放っておくことなんてできないね。目の前にパズルがあれば、それを解こうとする。当たり前のことだろう?」


 なるほど。

 どうやら、パルフェ王女は根っからの研究者気質みたいだ。


 後々のことは、一応、考えているが……

 それよりも、謎が謎のまま放置されていることに我慢できない。

 解き明かさなければ気が済まない。


 そこに深い理由なんてない。

 謎があるから解き明かす。

 山があるから登るという、登山家と似たようなものだ。


 ……だからこそ、パルフェ王女の研究は王国の力になる。


「ボクからも質問いいかな?」

「はい、なんなりと」

「ボクの研究が役に立つ、ってブリジット姉さんが言ってたけど、あれ、どういうことかわかる?」

「本人に直接聞いたわけではありませんが、ある程度の予想なら」

「どんなこと?」

「圧を与えるのでしょうね」

「圧?」


 普通に考えるのなら、魔物を戦力として使う。


 しかし、今回は帝国と真正面から戦うつもりはない。

 現体制を崩すことが目的だ。


 故に、魔物を使う。

 流通路を潰して。

 砦の周囲に配置して、常にプレッシャーを与えて。

 民を襲うフリをさせて。


 そうやって『不安』という名の毒を与える。

 そうすることで、帝国の地盤が揺らいでいくはずだ。


「はー、なるほど。そういう使い方もあるわけか」

「予想なので、正しいとは限りませんが」

「いや、うん。たぶん、合っているよ。ブリジット姉さんなら、そういう使い方をすると思う。言われて気づいたけどね。そこに、シロの発明品も加えて……あと、サンライズ王国も協力してくれるなら、色々なことができると思う」


 俺のいくらかの言葉で、すぐに話を理解して、ここまでの答えを導いた。

 さすが、というべきだ。


「協力していただけますか?」

「いいよ」


 あっさりと首を縦に振る。


「さっきも言ったけど、これでも王女だからね。国のためになるのなら、協力するよ」

「ありがとうございます」

「ただ、そのためにはもっと研究の精度を上げたいから……」


 ぐいっと、パルフェ王女が顔を近づけて、ニヤリと笑う。


「3日間、よろしく♪」


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