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77話 第二王女と始める新しい生活

 パルフェ王女の小屋は研究室だけではなくて、生活に必要なものが一通り揃えられていた。

 寝室と客間も用意されている。


 俺はその客間を使わせてもらい……

 そして、翌朝。


「パルフェ王女」


 パルフェ王女の部屋をノックするものの、返事はない。


 ただ、気配は感じる。

 たぶん、まだ寝ているのだろう。


「起きてください、パルフェ王女。朝ですよ」


 もう一度ノックするものの、返事はない。


 3秒で鍵を解錠。

 部屋の中に入る。


「すぴかー……すぴくー……」


 パルフェ王女はベッドの上で寝息を立てていた。

 布団を蹴っ飛ばしていて、半分、ベッドからずり落ちていて、とんでもない寝相だ。

 こんな状態で快眠できるのだろうか?


「パルフェ王女、起きてください。パルフェ王女」

「む……うぅん……?」


 肩を揺すると、パルフェ王女はゆっくりと目を開いた。

 ぼんやり眼をこすりつつ、起き上がる。


 ……半裸だった。


 下着は身につけていない。

 やや大きいサイズの白衣を羽織っているだけ。

 とても目のやり場に困る。


 視線を逸らしつつ、もう一度声をかける。


「おはようございます、パルフェ王女。朝ですよ」

「……おー」


 まだ半分くらい寝ている様子だ。

 それでも少しずつ目が覚めてきているらしく、ゆっくりのっそりと動く。


 亀か。


「すでに朝食はできていますよ?」

「んー……メニューは?」

「フレンチトーストとスクランブルエッグとサラダ。フルーツ。他、要望があれば用意いたします」

「いいよ、それでいい。最高」


 パルフェ王女がこちらに両手を差し出してきた。


「えっと……?」

「着替えさせてくれるかな」

「いえ、それはさすがに……」

「今日から3日はボクの執事なんだから。ほらほら」

「……わかりました。なら、自分も気にしないことにします」


 この人は、きっと、羞恥心をどこかに置き忘れてきてしまったのだろう。

 だから気にしても仕方ない。

 気にする必要もない。


 そう自分を納得させて、パルフェ王女の着替えを手伝った。




――――――――――




「いやー、おいしいごはんだったよ」


 朝食を食べた頃には、パルフェ王女は完全に目が覚めていた。

 こちらが用意した食事の三倍を食べていた。


 健啖家でなにより。

 あと、自分が作った食事をこんなにも美味しそうに、たくさん食べてもらえると気持ちがいい。


「これからどうされますか?」

「もちろん、研究だよ。キミのね♪」

「やはりそうなりますか……自分はなにをすれば?」


 覚悟を決めて、問いかけた。

 解剖以外なら、大抵のことは受け入れるつもりだ。


「まずは身体測定といこうか」




――――――――――




 身長、体重、座高、視力、聴力……色々な検査をした。

 身体測定ではなくて、これはもう健康診断だ。


「おぉ、すごいね。これほどまでの健康体、初めて見たよ。魔法でも使っている?」

「そのようなことはしていません。ただ、執事は体が資本なので、日頃から鍛えてはいますが」

「どんなトレーニングを?」

「えっと……」


 一日に行うトレーニング量を告げる。


「……本気で言っているのかい、それ?」


 まさかの、パルフェ王女に引かれてしまった。


 ランニングは、30キロ以上。

 筋トレは1時間以上。

 瞑想や座学なども含めて、1日、3時間ほどのトレーニングを行っている。


 これくらいは、わりと普通だと思う。

 きっと、他の執事やメイドもやっているはずだ。


「いやー、その十分の一もやっていないと思うよ? 闘技場を舞台とする拳闘士も、そこまでのトレーニングはしていないかな」

「はは。パルフェ王女は冗談が上手なのですね」

「……キミの最大の謎は、その認識の違いかな」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] パルフェ王女の着替えを手伝ったことがブリジット王女に知られたらガチギレしそう
[良い点] ただの健康診断!投薬とか投薬とか投薬とかするのかと。ざんね…一安心です! [気になる点] 何故、彼は自分が普通だと認識しているのか…。面白いから良っか!
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