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71話 新しい生を

「アルムさん」


 城内を歩いていると、顔なじみの騎士に声をかけられた。


「どうしたんですか?」

「王女がアルムさんのことを探していましたよ」

「ブリジット王女が?」

「あ。失礼、紛らわしい言い方でしたね。ブリジット王女ではなくて、シロ王女です」


 なんだろう?

 不思議に思いつつ、騎士に礼を言って別れ、シロ王女の部屋に向かう。


 扉をノックして声をかける。


「シロ王女、アルムです。なにやら、俺を探していると聞いたのですが……」

「あっ、お兄ちゃん! どうぞー!」

「失礼します」


 許可が降りたので部屋に入る。


 いつも通り、にこにこ笑顔。

 元気いっぱいのシロ王女がいた。


 それと、もう一人。


 黒のショートカット。

 幼さが残る顔立ち。

 子供から大人に成長する途中、という感じだ。


 ただ、ものすごく泣きそうな顔をしている。

 いや。

 頬が赤いところを見ると、照れているのだろうか?


 メイド服を来ているが、彼女のようなメイドがいるという記憶はない。


「シロ王女、そちらの方は……?」

「うぅ……アニキ、助けてください……」

「その声……まさか、シャドウか?」

「はいっす……」


 驚いた。

 女の子ということはわかっていたが……


 シロ王女が化粧をして、服を選んだのだろう。

 ここまでガラッと印象が変わるものなんだな。


 というか、いつも黒尽くめだから、こんな美少女だとは思っていなかった。


「見て見て、お兄ちゃん。シャドウちゃん、可愛いでしょ?」

「これは、シロ王女が?」

「うん! だって、シャドウちゃん可愛いのに、ぜんぜんおしゃれとかしていないんだもん。もったいないから、王女命令で着せ替えしてみた!」


 シロ王女はドヤ顔で言う。


 そこはドヤるところではないと思うのだけど……


「こんな恥ずかしい格好……うぅ、絶対、自分に似合わない。脱ぎたい、隠れたい……」

「だ、大丈夫か?」

「ダメっす……自分、もうお嫁に行けない……」


 大げさな。


「えー。でも、お兄ちゃんも可愛いと思うよね? 普段の黒尽くめより、絶対こっちの方がいいよね?」

「えっと……仕事に差し支えるとか、そういう観点を除いた場合になりますが、栄えることは間違いないかと」

「ひぁ!?」


 褒められ慣れていないらしく、シャドウが真っ赤になる。


「まあ……仕事中はともかく、プライベートならそんな格好もいいんじゃないか?」

「アニキは、こういうのが好き……?」

「黒尽くめよりは」

「……なら、考えるっす」


 納得してくれたようだ。


「というか、んー……」

「どうかしましたか、シロ王女?」

「格好だけじゃなくて、名前も変えたいよね。シャドウとか、可愛くないよ」

「えぇ!?」


 シャドウが悲鳴をあげた。


 ただ、それは俺も同感だった。


「確かに」

「アニキまで!?」

「シャドウっていうのは、コードネームのようなものだろう? それを名前にしてしまうのは、前々からどうかと思っていたんだ」

「でも、自分はずっとそう呼ばれてきたので……」

「なら、今日から新しい自分になればいいんだよ!」


 シロ王女がキラキラとした笑顔と共に言う。


 新しい自分になればいい。

 とてもいい台詞だ。


「どうだ? 俺もシロ王女に賛成だ」

「うぅ……」

「もちろん、シャドウが反対するのなら強制はしない」

「……なら、アニキが新しい名前をつけてくれるっすか?」

「俺?」

「はい。アニキなら、自分は……新しい自分になれるような気がします」


 俺でいいのだろうか?

 そんな疑問はすぐに消す。


 シャドウがこう言っているのだ。

 なら、彼女の期待に応えてやらなければいけない。


「ちょっとまってくれ」


 ふさわしい名前を考える。


 彼女はずっと闇に生きていた。

 でも、これからは闇だけじゃない。

 明るいところで生きていくことができる。


 諜報活動などはしてもらうものの……

 暗殺なんて仕事は、極力与えないつもりだ。


 なら……うん、そうだな。


「ヒカリ、なんてどうだろう?」

「……ヒカリ……」


 輝かしい未来を。

 そんな願いを込めて考えてみた。


「す……素敵っす!」


 シャドウは目をキラキラと輝かせた。


「そ、そんな素敵な名前をいただけるなんて……うぅ、自分は幸せ者だぁ」

「気に入ってくれたみたいでなによりだ」

「えへへ、よかったね。じゃあ、これからはヒカリちゃんだね!」

「はい!」

「あと、可愛い格好もお化粧もたくさんしようね!」

「そ、それはちょっと……少しずつ慣れさせてくださいっす」


 シャドウ改め、ヒカリの道がいいものになりますように。

 シロ王女とヒカリのやりとりを微笑ましく思いつつ、そんなことを祈った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 名付け親、つまりパパ。 アニキからパパになったわけですね。
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