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69話 一息ついて

 帝国の現体制を崩す。


 ただ、すぐに実行に移すことはできない。

 決して失敗はできない。

 少しでも成功確率を上げるために、様々な情報を収集して、何度も何度も話し合う必要がある。


 今は、そんな準備段階だ。


 話し合いはブリジット王女が。

 俺は、意見を求められれば私見を述べる。


 帝国内部の協力者……ライラにコンタクトを取らなければいけないが、それは慎重にやらないといけない。

 皇帝派に気づかれたら終わりだからな。


 色々なものが慎重に。

 しかし、着実に前に進んでいた。


「ふむ」


 そして、今日もブリジット王女のために資料をまとめて、渡す。

 それを見たブリジット王女が悩ましげな顔に。


 一緒にいるシロ王女が小首を傾げる。


「どうしたの、お姉様?」

「いやー……さすがにちょっと疲れちゃって」


 ブリジット王女は首と肩を回す。


「凝っているんですか?」

「だいぶ」

「でしたら、肩を揉みましょうか?」

「アルム君、そんなこともできるの?」

「執事としての嗜みです」

「まあ、執事の範囲内なの……かな? うーん、最近、価値観がバグってきているから、よくわからないや。えっと……じゃあ、お願いしようかな」

「かしこまりました」


 ブリジット王女の後ろに回り、そっと肩に触れる。


 ガチガチだ。

 筋肉が凝り固まっていて、腫れているのかと勘違いしてしまうほど。


「これは酷いですね」

「え、そんなに?」

「このまま放置していたら、怪我の元になっていたかもしれませんね。早めに気づくことができてよかったです」

「お姉様、働きすぎだよ。休む時はちゃんと休まないと」

「でも、これから大きなことをするんだから、休んでなんて……」

「無理をするのは、その大きなことをする時だよね? 準備の段階で無理をしたらダメッ」

「うっ……ごもっともです、はい」


 妹に言い負かされていた。


「では、始めますね」


 まずは、指先で軽く触れる程度に。

 いきなり強く揉めば、凝り固まった筋肉を痛めてしまう。


 優しいフェザータッチを心がける。

 ゆっくり、ゆっくりと筋肉をほぐしていく。


「んっ……あ、はぁあ……やばい、これ……んっ、気持ちいいかも」

「なによりです」

「気持ちいい、けど……あう、良すぎるというか……んぁ」


 ブリジット王女がぴくぴくと震えている。

 いい反応だ。

 凝り固まった筋肉がほぐされることで、他の箇所も反応しているのだろう。


 このまま進めよう。


「ひゃ……あ、ん……んんんぅ。ふぁ……そ、そこはぁ……あんっ」

「少し強くしますね」

「えっ? こ、これ以上強く……? はぅんっ!?」


 ぐっと指を押し込む。

 ある程度筋肉がほぐれたから、今度は刺激を与えていくのだ。


「あう、こ、こんなにされたら、私ぃ……! んんんぅ、あぁ……はぅっ」

「わわわ……な、なんだか、お姉様、色っぽい……」

「だ、ダメ、シロちゃん……こんな私、見ないでぇ……あんっ」

「ドキドキ、わくわく」

「た、楽しみにしてるぅ……!?」


 二人はなにを話しているのだろう?


 まあいいか。

 今の俺は、ブリジット王女の肩こりを治さなくてはいけない。

 そのために指先に集中しないと。


 そうやって、念入りに、一生懸命に肩を揉んで、揉んで、揉んで……

 揉み続けること、おおよそ1時間。


「ふぁ……」


 なぜか、ブリジット王女は骨が溶けたかのようにぐったりとしていた。

 頬が赤い。

 吐息も熱い。


 風邪?

 いや、違うか。

 でも、どうしてこんなことに?


「お兄ちゃん、お兄ちゃん」


 シロ王女は期待に満ちた目をこちらに向けた。


「私も、お姉様のためにマッサージしてあげたい!」

「え」

「だから、やり方を教えて?」

「かしこまりました」

「え」


 シロ王女はなんて優しいのだろう。

 疲れた姉を自分で癒やしてあげようなんて、なかなか思うことじゃない。


 ただ、そんな妹を見て、なぜかブリジット王女は震えていた。


「わ、私、これ以上されちゃうの……?」

「では、実践形式でいきましょう」

「うん! お姉様に喜んでもらうの!」

「ま、まって!? アルム君もシロちゃんも落ち着いて、ね? 私はもう平気だから……」

「ダメ! お姉様、無理してるけど平気とか言うことあるもん」

「今日は、存分に癒やされてください」

「いや、あの、癒やされるというか、ちょっといけない気持ちになっちゃうというか……」

「お姉様、いくよ!」

「待って待って待って!? シロちゃん、そこは……ひゃあああああーーー!?」


 ……その日。

 ブリジット王女の悲鳴が城中に響いたとかなんとか。

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[良い点] 姉思いのwシロちゃんw 素晴らしいマッサージですねw [一言] たまにはホッコリ!
[一言] ふぅ・・・ 妄想の捗る実に素晴らしいお話ありがとうございますw 大事の前の一息は大事ですものね。うんうん。 …アルム君、やっぱりテクニシャンなのか(マテ
[一言] 読者側が一息つける絶妙な王女回でした(笑) 骨抜きにされて蕩けて良かったです。
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